英国の反トラスト法(独占禁止法)規制当局と文化相は現地時間8月6日、パラマウント・スカイダンスによる1100億ドル(約17兆3800億円)規模のワーナー・ブラザース・ディスカバリー買収を承認した。米国における反トラスト法上の広範な懸念から、パラマウントは買収手続きを来年まで延期することに同意している状況下ではあるが、同社は規制上の大きなハードルをまた1つ乗り越えたことになる。
英当局はこれ以上の規制審査を見送り、文化相も介入せず
英競争・市場庁(CMA)は6日、この買収は競争上の懸念を引き起こすものではないと判断し、パラマウントによるワーナー・ブラザース買収について、これ以上の規制審査を行わないことを決定した。
英国のリサ・ナンディ文化・メディア・スポーツ大臣は声明の中で、介入を見送った理由について、「主要サービスにおける独自の編集方針や、報道編集の独立性」を維持するといった、パラマウント側からの「確約」と「法的拘束力のある約束」を挙げた。
チャンネル5ニュースは独立維持、CBSやCNNとは切り離す
この買収により、パラマウントはチャンネル5ニュースとCNNインターナショナルを運営することになる。発表によると、同社は「チャンネル5ニュースが編集の独立性を維持することを確実にし」、その編集方針は「CBSニュースやCNNインターナショナルとは完全に独立した状態を保つ」ことを約束したという。
デビッド・エリソンCEO、CNN運営を巡り政治的中立と編集独立を訴え
デビッド・エリソンCEOはニューヨーク・タイムズへの寄稿記事の中で、ワーナー買収に向けられた厳しい目は「ワーナー傘下のCNNを託すに足る人物として、私が信頼できるかどうかに集中している」と述べた。エリソンは、「私の政治的信条、忠誠心、意図について様々な憶測」が飛び交っているとした上で、「私の心の中を誰かに覗かせることはできない」としつつも、自身はこれまで「定期的に」共和党と民主党の両党候補者に投票してきたと強調した。
「大半の米国民がそうであるように、保守と呼ばれる考えもあれば、リベラルと呼ばれる考えも持っている」と彼は述べ、さらに、「我々のジャーナリストは今後も事実に向き合い、特定の政党や大義ではなく、彼らが奉仕するすべての人々のために応え続けていく」と記している。
欧州委員会は7月に条件付きで承認、米12州と全米脚本家組合は提訴
来年6月までにワーナー・ブラザース買収が完了しなかった場合、パラマウントは違約金として約19億ドル(約3000億円)を支払うことに合意している。
英規制当局の承認は、7月の欧州連合(EU)による承認に続き、パラマウントのワーナー買収案が1歩進展したことを示す新たな節目となる。パラマウントの買収案はネットフリックスが独自の買収提案を取り下げた後の今年2月に発表されたものだが、欧州委員会は同案について、同社が合意した譲歩によって競争上の懸念は「完全に対処された」と評価している。この譲歩案には、欧州の映画配給会社ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズの株式売却が含まれている。
パラマウントのワーナー買収案は、全米脚本家組合(WGA)や米12州の司法長官などから厳しい監視の目にさらされており、両者は取引の阻止を求めている。この買収が「映画やテレビの価格上昇、品質低下、コンテンツ減少」を招くとして12州が提起したこの反トラスト法訴訟について、パラマウントはその判決が下るまで買収を2027年に延期することに同意している。



