大規模な自然災害が発生した際、被災現場からの不鮮明な情報や報道の偏りによって、被害の全体像を即座に把握することは容易ではない。特定の顕著な被災地点へ情報が集中する一方で、甚大な被害を受けながらも情報が孤立する地域が生じ、救助や復旧活動の遅れにつながる懸念は常に存在する。そうした災害対応における課題に対し、広域データの一元管理と迅速な共有という新たなアプローチで挑む動きがある。
テラ・ラボは、7月28日に発生した令和8年熊本地震への対応として、山田商会ホールディングやJUIDA-D3と連携した取り組みを開始した。航空機およびドローンを活用して取得した観測データを統合し、地理情報システム(GIS)上で被害状況を一元的に可視化する「共通状況図(Common Operational Picture: COP)」を構築。災害対応関係機関向けに「令和8年度熊本地震テラ・ラボ広域災害対策情報支援システム」として公開している。

このデータ基盤には、航空機による約22cm/画素の広域計測オルソデータや、約7cm/画素におよぶ高精度オルソデータが含まれる。道路や橋梁、河川をはじめとする主要インフラの損傷、さらには家屋の倒壊や土砂崩れ、液状化現象といった被害の広がりを、面的かつ時系列で正確に捉えることが可能だ。

共通状況図(COP)の提供は、災害発生時における関係機関の意思決定スピードを高めることを目的としている。国や地方自治体、消防、警察、自衛隊、インフラ事業者など、多岐にわたる組織が同一の客観的データをリアルタイムに共有可能となるためだ。


全体像の迅速な把握に基づき、優先すべき重点調査エリアの選定や、捜索・救助活動の効率的な指揮、さらには道路啓開や応急復旧の迅速化が期待できる。現場の不確実性を軽減し、限られたリソースを適切な場所へ投入するための情報基盤となるはずだ。
広域災害対策情報支援システムはウェブで公開され、一般の人も航空機やドローンが捉えた客観的な被害状況を直接確認できる。被災地の正確な現状を把握することは、適切な支援行動を起こすための判断材料にもなるだろう。こうした透明性の高い情報共有は、被災地の早期復旧・復興を支える大きな原動力となるはずだ。
出典:テラ・ラボ「テラ・ラボ 熊本地震における共通状況図 (COP) を公開 【第七報】」より



