人工知能(AI)に投資している組織はその投資が成果を上げているかを知りたがっている。その答えを得るために大半の組織は生産性や効率性、コスト削減に着目している。これらは妥当な指標だが、米ペンシルバニア大学の経営大学院ウォートン・スクールの研究は、リーダーが注目すべき別の指標があることを示唆している。組織はAIのパフォーマンス測定にあまりに多くの時間を費やし、人間とAIの協働を通じて生み出される価値を見落としている可能性がある。AIがもたらす最大の成果の一部はまさにそこにあるのかもしれない。もしそうなら、リーダーはAIの評価方法だけでなく、AIを活用して人々が達成した成果の評価方法についても再考する必要があるかもしれない。
人間とAIの協働がAIのパフォーマンスを変える理由
AIが以前の半分の時間で報告書を作成した場合、その効果は簡単に測定できる。AIが反復的な作業を引き受けたおかげで、従業員がより多くの仕事をこなせるようになった場合も同様に簡単に測定できる。だが人間とAIが互いのパフォーマンスを高め合うことで何が起こるかについてはそれほど簡単に測定できない。
AIは数秒でコンテンツを生成できる。だが、経験や文脈、そして答えが状況にそぐわないことを見抜く能力をもたらすのは人間だ。価値は人間とAIが互いをどのように補完するかから生まれる。それにもかかわらず、多くの組織は依然として従業員とテクノロジーを別々に評価している。
ウォートン・スクールの研究では、人とAIの協働ではどちらか一方が単独で取り組むより優れた成果が得られることが明らかになった。このことから、すべてのリーダーが問うべき実践的な疑問が浮かび上がる。従業員とAIが協働してより多くの価値を生み出しているとしたら、リーダーは自社がその価値を正しく認識しているかどうかをどうすれば判断できるのだろうか。
米ミシガン大学のビジネス教授であるデイブ・ウルリッヒはインタビューで、価値は与える側ではなく受け取る側によって定義されると語った。同じ原則がAIにも当てはまる。AIは答えを出したからといって価値を生み出すわけではない。人々がその情報を使ってより良い意思決定を行ったり、より良い成果を上げたりしたときに初めて価値が生まれる。このことは、組織がAIの出力だけでなく人々がAIを使って達成した成果にも同じくらい注意を向けるべきであることを示唆している。



