今日のビジネスシーンを率いるリーダーなら、若手優秀層がキャリアに求めるものに変化が生じていることに気づいているかもしれない。次世代のリーダーを目指す若者たちは、高額な報酬や華やかな肩書き以上のものを求めている。彼らはスプレッドシートや業績ダッシュボード、基本的なコーチングを超えた指導を求めているのだ。端的に言えば、彼らは「本物のメンターシップ」を求めている。
顧客リストやノルマ、プロジェクトの範囲だけを渡され、仕事を人間関係ではなく単なる「取引の積み重ね」として捉えるよう教え込まれる若手プロフェッショナルの話をよく耳にする。優秀な人材を惹きつけ、引き留めるためには、企業はこのギャップを埋めなければならない。筆者はこれまでのキャリアを通じて、特に同僚であり仲間でもあるトムの歩みを通して、このアプローチが持つ変革の力を目の当たりにしてきた。
若手アドバイザーから当社の中核を担う人材へと成長したトムの軌跡は、なぜメンターシップが繁栄する組織の生命線となるのかを見事に物語っている。自身の在任期間を超えて会社を成長させたいと願うなら、成功している組織が人材育成において何を正しく行っているかを理解することには価値がある。
多くの企業が提供できていない4つの柱
真のメンターシップが実践においてどのような姿をとるかを検討する前に、業界を問わず組織に影響を与えている問題を明らかにしておく価値がある。それは、プロフェッショナルを支える4つの異なる領域が軽視されているという問題だ。
トレーニング、コーチング、能力開発(デベロップメント)、そしてメンターシップは、プロフェッショナルの成長を支える4つの独立した柱である。トレーニングは能力を築き、コーチングはパフォーマンスを引き出し、能力開発は将来の機会に備えさせ、メンターシップは価値観、人格、信念を形作る。
多くの組織が犯している過ちは、4つすべてを無視しているということではない。むしろ、4つすべてを同時に提供することがめったにないという点にある。ある企業はトレーニングに多額の投資をしながら、能力開発を怠るかもしれない。四半期目標に対してコーチングを行いながら、数十年にわたってリーダーを形作る、誠実で関係性に根ざしたメンターシップを一度も提供しないこともある。柱が1つでも欠けていると、若手優秀層はそれを感じ取り、それを理由に離職していくケースが増えている。
コーチングとメンターシップの違い
コーチングとメンターシップは混同されやすい。コーチングは多くの場合、電話の件数、アポイントの設定数、成果物の完成といった目先の数値指標に焦点を当てる。これに対してメンターシップは、その人の「人間性全体」の育成に焦点を当てるものだ。
トムは、持続可能なレガシーを築くためには、目先の見返りを期待せずに次世代に投資する必要があることを早くから認識していた。彼はパフォーマンスを高めるための戦術ではなく、共有された価値観を忠実に守ることでメンティ(指導を受ける側)を導いている。
誰かをメンターとして指導するとき、ただ自分の価値観に同意するかどうかを尋ねるだけでは不十分だ。その価値観が実践において何を意味するのかを、行動で示さなければならない。トムにとって「敬意」とは、約束を守り、メンターの時間はメンティの時間よりも価値があるわけではないと認識することだ。「努力」とは、日々の地道な取り組みを厭わないこと。「誠実さ」とは、常に自分が仕える人々のために正しいことを行うことだ。これらの原則が、彼の人材育成の指針となっている。
自身のリーダーシップスタイルを評価する際には、こう問いかけてほしい。あなたは短期的な成果のためにコーチングをしているだけなのか、それとも長期的な人格形成のためにメンターシップを提供しているのか。
影響力の「マウント・ラシュモア」を築く
1人のリーダーだけで、若手プロフェッショナルが必要とするすべてを提供することはできない。
トムはよく、自身のキャリアを形作ってくれたメンターたちの「マウント・ラシュモア(自分にとっての4大恩人)」について語る。注目すべきは、彼ら一人ひとりがどれほど影響力を持っていたかだけではない。それぞれが異なる形のサポートを明確に体現していた点にある。彼らは合わせて、多くの組織が提供できていないもの、すなわちトレーニング、コーチング、能力開発、メンターシップを同時に提供していたのである。
ビジョナリー:能力開発
あるメンターはトムと向き合い、紙ナプキンを取り出して彼の今後5年間の未来図を描き出した。これはまさに純粋な能力開発だった。それはトムに、単に何を達成すべきかだけでなく、自分がどのような人間になりたいかに基づいて意思決定を行うための枠組みを与えた。
執行者:トレーニングとコーチング
別のリーダーは、トムに必要なアカウンタビリティ(成果に対する責任)を課し、成果を出し、マイルストーンを達成し、重要なスキルを習得するよう背中を押した。このメンターは、責任を伴わない能力開発は単なる願望にすぎないと理解していた。基準と能力を強化することで、彼は成長に確固たる土台を与えたのである。
規律を示す人:コーチングと能力開発
3人目のメンターは、情熱、規律、そして自分自身より大きな使命へのコミットメントを体現していた。彼はトムに対し、いかなる職務記述書にも完全には収まらない基準を取り入れるよう促し、自分で可能だと思っていた以上の存在になるよう後押しした。
信じる人:メンターシップ
そして最後に、私自身もトムの歩みに関われたことを光栄に思っている。彼が信念と自信を実践に統合できるよう支え、自らの可能性を信じ、確信を持って生きるよう励ましてきたからだ。これは組織が見落としがちな柱であり、多くのリーダーが切望しているものでもある。彼らは、成果だけでなく、自分の人格や使命という観点からも見てくれる存在を求めている。
4つのサポートがすべて揃うと、注目すべきことが起きる。次世代のリーダーは出口を探すのをやめ、その組織という家を築き始めるのだ。
メンターシップ文化を育む
私の経験では、繁栄する文化を築くには、次世代のリーダーの周囲に、彼らに挑戦を促し、刺激を与え、足元を固めてくれるメンターを配置する必要がある。
組織のプロフェッショナル育成への取り組みを高める準備ができているなら、次のステップを検討してほしい。
早期に適切な資質を見極める
意欲を欠く人にメンターシップを提供することはできない。レジリエンス、大胆さ、コミットメントを見極めるべきだ。トムは、約束を最後まで果たし、社交的な性格を持ち、自信を持って他者と関わる元学生アスリートを求めることが多い。求められる人物像は業界によって異なるが、粘り強さ、誠実さ、関係構築における知性という資質は一貫して重要である。
指標だけでなく価値観を軸に導く
業績ベンチマークについて話し合う前に、核となる価値観を確立する。次世代のリーダーは、自分のキャリアより大きなものを託された存在であることを理解すべきだ。誠実さ、人格、継続的な学びは、成果と同じくらい重要である。
その人全体に焦点を当てる
人々が人生のあらゆる側面でどのように振る舞っているかに関心を持つべきだ。職場でのプロフェッショナリズムから、職場外での健全な境界線に至るまで、真のメンターシップはウェルビーイングを含む。
受け取ったものを次へ返す
自分自身の評判を築くという考え方から、次世代に投資するという考え方へ転換する。リーダーシップの目標は、自分を証明する段階から、他者を育てる段階へ移行することにある。この移行を受け入れる組織は、個人を超えて存続する文化を生み出す。
メンターシップに投資することは、レジリエンスがあり、使命に突き動かされる組織を築くことを意味する。正しい理由で人に注ぎ込むとき、次世代があなたのために、そしてより重要なことに、彼らが仕える人々のために、どんな困難にも喜んで立ち向かう文化が生まれる。



