何日もかけて準備し、回答を練習し、面接に向けて身だしなみを完璧に整える。しかし、バーチャルミーティングに参加した途端、画面の向こうにいる唯一の人間は、コンピュータの画面に映る自分自身の姿だと気づく。もしAI面接から逃げ出したいと直感したなら、そう思うのはあなただけではない。そして、その直感は間違っていない。
AI面接は実際どれほど普及しているのか
AI面接は今や一般的になっている。周辺的な実験ではなく、ましてや時折行われる程度のものでもない。実際、米国、英国、ドイツ、オーストラリア、アイルランドの求職者2950人を対象とした調査「Greenhouse 2026 Candidate AI Interview Report」によると、全体のほぼ3分の2にあたる63%が、実際にAIによる面接を受けた経験があると答えた。この数字は、わずか6カ月の間で13ポイントも上昇している。
なぜ求職者は面接を辞退するのか
では、なぜこれほど多くの人が辞退しているのだろうか。問題はテクノロジーそのものではない。特にキャリアの浅い若手の求職者にとって、AI(人工知能)を使うことはもはや当たり前のことだからだ。最大の要因は「不透明さ」にある。Greenhouseの報告書によると、候補者の70%は、AIが自分を評価することを事前に一切知らされていなかった。さらに21%は、ビデオ会議室に入るまでその事実を知らなかったという。
先に進む前に、厳しい現実を一つ示しておきたい。候補者の38%は、面接にAIが含まれていたことを理由に辞退しており、さらに12%は、今後そうした面接に遭遇した場合には辞退すると答えている。
Greenhouseによると、辞退に至る最大の要因は以下の3点だった。
- 33%が、人間の介在が一切なく、事前に録画したビデオ面接をAIが採点する形式を理由に辞退した。
- 27%が、企業側がAIの利用方法を開示しなかったことを理由に辞退した。
- 26%が、採用プロセス全体を通じてAIに監視・調査されることを理由に辞退した。
求職者が不満を抱くのも無理はない。多くの人が、こうした採用プロセス全般にうんざりしている。仕事をこなす十分な能力を持つ候補者たちが、企業に対する不信感を最初の印象として抱き、次々と去っているのだ。
キャリアの浅い若手にとって、なぜ事態はより深刻なのか
2025年初頭に2918人の求職者を対象に実施されたGartner(ガートナー)の調査によると、面接においてAIが自分を公正に評価してくれると信頼している人は、わずか26%だった。さらに衝撃的なことに、25%が「AIが介在した瞬間に、その雇用主に対する信頼感が低下した」と認めている。企業の効率重視の姿勢が、自らの誠実さをアピールする機会を台無しにしているのだ。
キャリアの浅い若手にとって、AI面接はすでに標準的な選考システムとなっている。人と人とが直接対話する採用面接の時代を、そもそも経験していないと言っても過言ではないだろう。また、キャリアをスタートさせたばかりで人脈もまだ少ない時期には、面接こそが自身のスキルや才能、学歴をアピールできる唯一の場であることも多い。それにもかかわらず、AIを相手に実力を証明するよう求められることは、自信を喪失させ、就職の第一歩を踏み出す機会を奪うことになりかねない。
なぜ企業は懸念を無視してAIを使い続けるのか
多くの雇用主が採用プロセスで好んでAIを使用するのは、候補者を絞り込んで自社に適した人材を見つけるプロセスを迅速化できると信じているからだ。しかし、スピードは必ずしも有望な候補者の発見を保証しない。
辞退すべきか、受けるべきかを見極める方法
現在、企業の採用活動は停滞気味だ。実際、Indeed Hiring Labによると、2026年5月時点でシニア向けの求人は前年比で約15%増加したものの、エントリーレベル(未経験・若手向け)の求人は前年同期比で7.5%減少した。雇用市場は経験豊富な人材を優遇しており、キャリアの浅い若手は取り残されている。新卒者であれば、自分に合わないと感じる仕事であっても、すべてにイエスと答えなければならないように感じるかもしれない。だが、切迫感に判断を左右させてはならない。
すべてのAI面接を拒否する必要はないが、時には辞退することがキャリアにおいて最善の選択となることもある。では、どのように判断すればよいのだろうか。受けるべきか、それとも辞退すべきかを迷ったときには、自分自身に次の3つの質問を投げかけてみよう。
- 情報の開示を求める:ビデオ面接に参加する前に、企業にメールを送り、AIが使用される予定があるか、そして人間が実際に評価結果を確認するのかを問い合わせてみよう。これは極めて正当な質問であり、企業側の回答態度から、その企業の透明性について多くのことが見えてくる。
- 次の面接に向けた練習と捉える:AIが選考の評価を行うと知って不満を抱いたり戸惑ったりするのではなく、次に受ける本命の仕事のための練習機会だと考えよう。
- 担当者の名前と役職を記録しておく:仮にAI面接がうまくいったとする。ただ結果を待つだけでなく、採用・人事の担当者に直接連絡を取るようにしよう。そうすることで、人間同士のやり取りを通じて自身の熱意やコミュニケーション能力、人柄、配慮をアピールすることができる。
Greenhouseの報告書によると、AI面接を終えた候補者の51%が、その後企業から一切の連絡をもらっていない。不採用の通知もフィードバックも、のろしのような合図すらない。だが、それで落胆する必要はない。企業側の沈黙は学習の機会になり得るものであり、その企業の実態を雄弁に物語っている。
選択権は自分にある
一歩を踏み出し、最高の自分を見せるには、多大な勇気が必要となる。しかし、AI面接においては、いくら入念に準備したところで機械に好印象を与えることはできない。対面する人間であれば、緊張していることも理解してくれる。共感し、表面的な部分以外の強みも見抜いてくれるだろう。だからこそ、こうした不完全な選考システムから身を引くことは、自身のキャリアにとって最善の選択肢になり得るのだ。



