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リーダーシップ

2026.08.06 15:11

優秀なエグゼクティブのリーダーシップを蝕む「見えない労働」

stock.adobe.com

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子どもの頃、私は船長がどうやって眠っているのか不思議に思っていた。船長は指揮系統の頂点に立ち、船を操って大海原を渡る責任を負っているからだ。後に、その答えを知った。船長が休んでいる間も船が航海を続けられるようにする当直体制である。

船の責任は、船長があらかじめ定めた指示の下で動く士官に委ねられる。そこには、どの問題なら独自に対処でき、どの問題なら船長を起こす必要があるのかが明確に示されている。最終責任は船長に残るが、よく設計された体制が業務上の負担を十分に吸収することで、船長は本当に休むことができる。

ビジネスの世界では、あまりにも多くのエグゼクティブがこれに相当する仕組みを持っていない。

外から見ると、彼らは極めて規律正しく、すべてを掌握しているように見える。予定は綿密に整理され、意思決定に目に見える迷いはない。企業は成果を出し続けている。

しかし、目に見える業務量の背後には、まったく別の形の労働が存在する。それは、どこにも記録されない認知的・感情的な負荷だ。多くのリーダーにとって、その負荷は絶えず積み重なり、手つかずのまま、リーダーとしての能力と健康の双方を着実に蝕んでいく。なかでも特に大きな害をもたらすものが2つある。

家庭に潜む、リーダーシップを阻む要因

毎年、バスケットボールや野球、フットボールなどのスポーツでは、プレーオフに向けてチームが「ホームフィールド・アドバンテージ」を確固たるものにすることが重視される。結局のところ、大観衆の声援、慣れ親しんだ環境、手厚いサポート、移動によるストレスがないことといった要因により、主要なスポーツにおいてホームチームが歴史的に50%以上の試合で勝利を収めてきたからだ。

エグゼクティブにとっての「ホームフィールド・アドバンテージ」は、トロフィーをもたらすわけではないが、より高いレベルでのパフォーマンスを発揮する助けとなる。

エグゼクティブにとって、家庭は回復のために設計された環境であるべきだ。神経系がパフォーマンスモードから切り替わる場所である。しかし、ますます多くのリーダーにとって、家庭は回復の場とは程遠いものになっている。むしろ職場の延長となり、その日の精神的・感情的な残滓を持ち込む場所になっている。

学術誌『Journal of Vocational Behavior』に発表された2014年の研究によると、従業員が夜間に仕事から精神的に切り離せるかどうかは、パートナーが同様に切り離せるかどうかに密接に関連していることがわかった。家庭内の一方が緊張状態のままでいると、もう一方も緊張を解くことが難しくなる。そして、この影響は、その緊張を和らげてくれる子どもが同居していないカップルの間で最も顕著に現れる。

言い換えれば、回復は個々のエグゼクティブが意志の力やよりよい夜のルーティンだけでつくり出せるものではない。それは環境と、その環境がどのように整えられているかに左右される。

「常に稼働し続けること」がもたらすリーダーシップの代償

当直体制が存在するのは、船長であっても、誰も無期限に警戒し続けることはできないからだ。バッテリーが再充電を必要とする前に使えるエネルギーに限りがあるのと同じことが、エグゼクティブにも当てはまる。

ロックフェラー大学で慢性ストレスの生物学を数十年にわたり研究した神経科学者ブルース・マキューアンは、「アロスタティック負荷」という言葉を生み出した。これは、もともとの脅威が過ぎ去った後もストレス反応システムが作動し続けることで蓄積する消耗を指す。端的に言えば、よりリラックスした状態に戻れないまま、高い警戒状態にとどまり続ける状況である。

エグゼクティブをこの高ぶった状態にとどめる要因は2つある。1つ目は構造的なものだ。最後の砦として、あらゆる危機は最終的にエグゼクティブへとエスカレーションされる。この現実により、目の前の「嵐」が過ぎ去った後も、神経系は警戒状態のままになる。

2つ目はより個人的なものだ。レオン・フェスティンガーによる「認知的不協和」の研究は、人間には自分の信念と行動を一致させようとする欲求があることを示した。それができないとき、つまり、心の中では疑問に思っている決定を承認したり、内心疑っている戦略に対して自信を見せたりするとき、脳はこの不一致を「未解決の課題」として処理する。

脳はそのギャップを単に認識するだけでなく、解消するために働き続ける。多くの場合、疑念を実際よりも些細なことだと合理化することによってだ。その整合性を取る作業は絶え間なく続き、しかも本質的に見えない。

明らかな原因がない夜にも睡眠が乱れる。理由もなく一日を通じて怒りっぽくなる。身体的な疲れを超えた疲労感がある。そして何より、数時間前の会議での出来事を頭の片隅で処理し続けているために、家庭で目の前の家族と真に向き合うことが困難になる。

外から見れば、そのどれも認知的不協和には見えない。普段より少し疲れているリーダー、少し短気になったリーダー、少し気が散っているリーダーに見えるだけだ。こうした内面の不安や葛藤が長く解消されないまま残ると、リーダーの健康とエグゼクティブとしてのパフォーマンスを脅かしかねない。

リーダーシップには当直体制が必要だ

決して休まない船長が、より長く航海できるわけではない。航海の質は落ち、いずれ航海そのものができなくなる。当直体制とは、責任者が自らを消耗し尽くすことなく、船を進ませ続けるための構造である。エグゼクティブは、その仕組みを持たないまま会社を築いていることが多い。

時間がたつにつれ、彼らの判断力、存在感、健康、リーダーシップは最終的に損なわれる可能性がある。解決策は、もっと働くことでも、無理に乗り切ることでもない。必要なのは、当直体制に相当するものを構築することだ。真の回復のために設計された環境であり、休むべき時間に心が自分自身と闘わずに済むだけの内的整合性を備えた環境である。

forbes.com 原文

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