リーダーは往々にして、「静かな退職(クワイエット・クイッティング)」はモチベーションの低下が原因だと決めつけがちだ。しかし実際には、それは回避可能なマネジメント上のミスの結果として生じることがある。ここでは、優秀な社員が仕事への熱意を失う原因となる、企業が犯しがちな3つの間違いを紹介する。
問題が起きたときにしかフィードバックをしない
フィードバックを行うことには、通常、改善が必要な否定的な要素を伝えるというニュアンスが含まれる。しかし、肯定的なフィードバックも同様に効果的だ。マネージャーは、優秀な部下が「問題なく」成果を出していると思い込み、彼らへの配慮を怠りがちになる。しかし、優秀な社員であってもコーチングや承認を必要としている。優秀な社員を信頼することは良いことだが、すべての従業員は自身の成果を認めてもらいたいと望んでいるのだ。感謝の欠如はモチベーションをむしばみ、優秀な社員を「静かな退職」へと向かわせる原因となる。
マネージャーは、単に肯定的な事実を称賛するだけでなく、その優秀な社員が具体的にどのような行動をとり、それがどう好ましい結果につながったのかを明確に伝えるべきだ。継続的な肯定のフィードバックは、エンゲージメントを高める燃料となる。ギャラップ社による2024年の調査では、過去1週間に有意義なフィードバックを受けた従業員の80%が、仕事に完全にエンゲージしていることが示されている。長所を共有しつつ、改善が必要な領域も伝えることが、優秀な社員のモチベーションを維持し、離職を防ぐことにつながる。
「頼りになること」と「いつでも対応できること」を混同する
職場で頼りになる存在であることは、どの企業にとっても大きな強みだ。しかし、それを「24時間いつでも対応可能」であることと混同してはならない。優秀な社員なら何とかしてくれるからと直前に急ぎの依頼を投げたり、勤務時間外にメッセージを送ったり、頻繁に作業を中断させたりすることは、バーンアウト(燃え尽き症候群)を招くだけだ。彼らの信頼性に甘え、当たり前だと思う姿勢は、従業員のエンゲージメントを低下させ、不満を募らせる原因となる。
優秀な社員は、常に一級品の成果を出し続ける。だからこそ、ベストなパフォーマンスを維持するために、彼らには休息と仕事から切り離された時間が人一倍必要なのだ。優秀な社員に過度な負担をかければ、彼らの多くは自身の時間とエネルギーを過剰に守るようになり、仕事への情熱を失って他社への転職を検討し始めるだろう。
意見を求めながら、何のアクションも起こさない
優秀な社員の多くは、新しいアイデアを考案することを好む。彼らは常に業務環境を見極め、効率性や成果物を向上させる方法を模索している。賢明な企業は、常に従業員の意見を求め、それを行動に移す。しかし、多くの企業が、意見を求めながらもその後何もしないという過ちを犯している。
自分の声が届いていないと感じることほど、従業員のエンゲージメントを急速に低下させるものはない。提案を受け止めるだけで決して実行に移さなければ、優秀な社員から新たなアイデアが生まれることはなくなる。ブレインストーミングや1on1ミーティングは、実用的なものではなく、単なる形式的な儀式と化してしまう。やがて従業員はアイデアを共有すること自体をやめるだろう。企業は従業員が適切な提案をしてくれると信頼する必要があり、従業員は自社がその意見に対してアクションを起こしてくれると信頼できなければならない。
「静かな退職」は、職場のカルチャーが不十分であることの兆候であることが多い。優秀な社員は貢献し、成長し、インパクトを与えたいと考えている。しかし、彼らの努力が報われず、気づかれず、あるいはサポートも得られない状態が続けば、自然とエネルギーをセーブするようになる。こうした危険信号を早期に察知できるリーダーであれば、エンゲージメントの低下が退職につながる前に、優秀な人材を引き留めることができるはずだ。



