競争の焦点は知能から実装へ移っている
Hy3の強みは、モデルそのものの性能の高さではない。第三者機関Artificial Analysisの知能指数(Intelligence Index。AIモデルの賢さを複数のテストで採点し、横並びで比較できるようにした指標)で、Hy3は42点の中位グループにとどまる。中国勢の上位モデルに及ばず、欧米の最先端システムには大きく水をあけられている。
だが、ベンチマークでの首位が唯一の物差しだとは限らない。
テンセントがHy3で最適化しているのは、別の優先事項のようだ。AIエージェントを日々の実務で使えるものにする、という点である。Hy3が重視しているのは、最大25万6000トークンという長い文脈を扱っても内容を取り違えない安定性と、複数の手順にまたがる作業をやり切る力だ。企業が実験的なチャットボットの段階を抜け、AIを実際の業務に組み込み始めると、この2つの重要性はいっそう増す。
この違いが効いてくるのは、対話型AIだけでは事業は変わらないと気づく企業が増えているからだ。難しいのは答えを出すことではない。一連の業務を最後までやり切ることである。
WorkBuddyはこの変化を体現している。
2026年5月に国際展開を始めたWorkBuddyは、設定なしですぐ使えるエージェント型ワークスペースとして動く。利用者が普通の言葉で指示を出せば、システムがリサーチ、プレゼン資料、表計算、社内外のやり取りといった仕事を引き受ける。企業側が自前のAI基盤を構築する必要はない。
テンセントの社内評価では、WorkBuddy上で動くHy3のタスク成功率は90%を超え、平均完了時間は前世代より34%短縮された。
AIビジネスにおいては、実際の職場で仕事をやり切る力のほうが、学術的なベンチマークの点数よりも物を言う。


