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映画

2026.08.06 09:46

Z世代の映画館回帰が示す、共に体験することの価値

stock.adobe.com

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専門家たちは、映画産業がパンデミックとそれに続くロックダウンから立ち直れないかもしれないと予測していた。米国の興行収入は2020年に80%も急落し、映画スタジオは観客への直接配信を優先し、Netflix、YouTube、TikTokといったプラットフォームが人々の関心をより多く占めるようになった。映画館に行くことは時代遅れの概念であり、特に若者にとってはそうだ、という言説が支配的だった。

しかし、あらゆる予測に反して、若者が映画館復活の牽引役となっている。Z世代は最も映画館通いに積極的な層であり、過去1年間に映画館で映画を観たと答えた割合は87%に上り、ベビーブーマー世代の58%を大きく上回る。この状況の変化を生んだ要因は何か。そしてマーケターやブランドが得るべき最大の教訓は何だろうか。

映画館の復活は、熱狂的なファンやオンラインコミュニティ、さらには初めて映画館を訪れる人々の心をも掴む、大作ブロックバスター映画の波と重なった。世界の映画興行収入は、2026年に350億ドル(約5兆5100億円)に達すると予測されている。これはパンデミック以降、業界が達成していなかった節目となる。『スーパーマリオ ギャラクシー・ムービー(原題)』は、今年初の興行収入10億ドル(約1570億円)突破作品となった。マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael(原題)』は『オッペンハイマー』を抜き、伝記映画として史上最高の興行収入を記録している。そして、クリストファー・ノーラン監督による絶賛された『The Odyssey(原題)』も、同様の節目に達すると予測されている。これとは対照的に、Netflixの株価は過去1年間でほぼ50%下落した。

一方、20歳のケイン・パーソンズ監督による『Backrooms(原題)』や、26歳のカリー・バーカー監督が75万ドル(約1億1800万円)の予算で制作した『Obsession(原題)』といった低予算映画の文化的影響力と興行的成功は、業界における構造的な変化を浮き彫りにしている。両監督ともYouTubeで活動を始め、観客と共に歩みを進めながら、従来のゲートキーパーを飛び越えてきた。

若者たちが大スクリーンで映画を観ることを好むのは、それが現代社会において、接続を断ち、邪魔されることなく、画面やアプリ、アルゴリズムから解放されて数時間を過ごすことができる数少ない瞬間のひとつだからだ。映画館での鑑賞は集団的体験である。私たちは、友人や家族、そして見知らぬ人々と、同じ場所で、同じ時間に映画を観る機会を得る。対照的に、多くの人はストリーミングプラットフォームで映画やテレビ番組を1人で観ている。身体的な交流を奪われてきた世代にとって、映画館に行くことは社交活動なのだ。友人と集まり、一緒に映画を観て、その後に感想を語り合うことができる。

Z世代は人類史上、最も孤独な世代であり、65歳以上の高齢者層を含む他のどの年齢層よりも孤独を感じている。その主な要因はスマートフォンの普及だ。ソーシャルメディアは、対面でのやり取りなしに、つながっている感覚をもたらす。ストリーミングプラットフォームを利用すれば、家から一歩も出ずに何千本もの映画にアクセスできる。

ソーシャルメディアは、身体的な接触なしに人と人を繋げる。ストリーミングサービスは、家を出ることなく好きな映画を観ることを可能にする。Eコマースは、店に一度も足を運ぶことなく、食品や衣類、家電を購入できるようにした。当然の帰結として、10代は社交に費やす時間が減っている。平均的なアメリカ人が現在、社交に充てる時間は1日35分にすぎない。シリコンバレーは我々の生活から摩擦を取り除くことに成功したが、その利便性はコミュニティを殺しているのではないか。

映画館に行くという行為は、若者たちが共有する集団的な体験を求めるより広範なトレンドの一部だ。人間は社会的な生き物であり、生き延び、繁栄するために協力に頼っている。しかし現代社会は超個人化を前提に設計されており、我々の幸福に欠かせないコミュニティ基盤、集団的記憶、共有される儀式が剥ぎ取られてしまった。

その兆候はいたるところに現れている。ニューヨーク・ニックスが53年ぶりにNBAチャンピオンシップを制覇した際、ニューヨーク中が熱狂的な祝祭に包まれ、集団的な喜びが沸き起こり、5つの行政区すべてにまたがる多様なコミュニティがひとつになった。それはニューヨーク市民、そしてそれ以外の人々にとっても、歓喜を共有する瞬間だった。ワールドカップは、48カ国のサッカーチームと、210の国と地域から集まったファンを一堂に集め、サッカーという美しいゲームへの共通の情熱で結びつけた。チケットを購入できなかった人々に対しては、ファンゾーンが共に喜び、共に悲しむための共同スペースを提供した。そして映画の話に戻ると、マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael(原題)』は、映画館での上映をコンサートのような体験へと変え、観客は歌い、踊り、シアターを即席のダンスフロアへと変貌させた。

グローバルブランドは、メディア支出をビッグゲームや大ヒット映画、あるいはその年で最も期待されるコンサートに集中させがちである。しかし、文化的意義(レレバンス)を生み出す最大の機会は、実際の体験の前後に存在する。若者たちは、イベントが始まるずっと前から、そして終了した後も長く、その体験について語り合いたいと考えている。その会話こそが社会的な儀式であり、意味が生まれ、人間同士のつながりが構築される場所なのだ。

現在、ブランドはAIトランスフォーメーションやデジタル最適化、クリエイターとのパートナーシップに執着している。その一方で、Z世代はアルゴリズムから逃れ、より多くの時間をオフラインで過ごそうとしている。先進的なブランドは、単に体験型イベントのスポンサーになるだけでなく、若者たちを対面でつなぐ草の根のコミュニティスペースや文化プログラムにも資金を投じるようになるだろう。

forbes.com 原文

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