これらの企業はまた、新規の若手職の割合を4%減らし、中堅層の採用をほぼ同程度増やした。AIが標準化された業務をより多く担うようになると、行き場を失った若手候補者が中堅職をめぐって競争することになり、応募者の供給が増え、初任給への下押し圧力が強まる可能性がある。
AIは特定スキルの市場価値を下げ得る
AIが仕事のすべての部分に一度に影響を及ぼすことはまれだ。全米経済研究所(NBER)の研究は、AIの影響を受けやすい業務では、それに関連するスキルへの需要が低下することを明らかにした。業務レベルでのAIの影響度(エクスポージャー)が1標準偏差高まると、そのスキルへの相対的な需要は5年間で約2%低下した。
これは、その職が自動的に消えることを意味しない。従業員は自動化がなお難しい職務へと軸足を移すことができ、AIを活用する企業もなお成長し得る。リスクは、職務そのものは残っても、その中に含まれる一部のスキルが労働市場で価値を失うことにある。
生産性の向上は賃金上昇を意味しない
AIは企業が従業員を増やさずに生産量を増やし、所要時間を短縮し、コストを削減するのに役立つ。業務をより速く完了できるため、企業が責任範囲を統合したり、成果への期待値を引き上げたりすることも可能になる。
そうした生産性向上の恩恵が、自動的に従業員へ届くわけではない。企業は追加で得た余力を使って売上を増やし、利益率を改善し、採用を避ける一方で、賃金を比較的横ばいに保つことができる。AIの賃金への影響は、雇用主がその金銭的利益を、それを生み出している人々とどれだけ分かち合うかにも左右される。
AIは雇用主が何に対価を払うかを変える
PwCの調査は、AIが職務そのものをどのように再形成するかに着目し、分析をさらに一歩進めている。同社の「2026 Global AI Jobs Barometer」は、6大陸にわたる10億件超の求人広告を分析した。報告書は「重要なのは、自動化が職務をどのように再形成するかである」と述べている。
PwCは、AIによって人間の専門性への需要が高まる職務を「Professionalised(専門職化)」、その需要が低下する職務を「Democratised(民主化)」と呼ぶ。2021年以降、求人広告上の賃金は前者で37%上昇したのに対し、後者では26%だった。求人件数の伸びはそれぞれ39%、17%だった。


