経営・戦略

2026.08.20 16:00

成功する経営者は心拍数で決まる 身体感覚が導くAI超えのトレード術

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経験こそが、意思決定の成否を見極める力を生む

タームシートに同意するか否かの判断は、一度の意思決定で完結するものではない。それは、固有の歴史を持つ組織の中で、再交渉や人事異動、ときには誰も予期しなかったトラブルを経ながら、数四半期、あるいは数年にわたって続く一連のプロセスの始まりにすぎない。その判断が正しかったかどうかを決めるのは、「イエス」か「ノー」かという選択そのものではなく、その後の実行である。そして、その実行の成否は、単一の問いに答えるよう設計されたAIモデルでは評価できない要素に左右される。例えば、その組織が合意した内容を実際に受け止め実行へ移せるのか、現場の担当者が最後までやり遂げられるのか、そして参入する市場が、これまでの経験則が通用する環境なのかといった点である。

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こうしたプロセスを何度も経験してきた経営幹部は、紙の上では似たように見える案件であっても、数年後に全く異なる結果に至ることを理解している。このような長期に渡る実践のフィードバックは、外部のシステムには決してアクセスできない。一方、AIモデルは、人間が与えた前提条件や制約の範囲でしか機能しない。そして、それらは多くの場合、ある一時点のスナップショットに過ぎず、経営幹部が長年の実務を通して蓄積してきた経験とは異なる。同じギャップは、判断をAIに委ねる組織にも現れる。意思決定だけでなく、思考プロセスまでも委ねてしまうことで、本来であれば組織固有の経験とフィードバックによって磨かれるはずの判断力は蓄積する機会を失ってしまうのである。

自身の心拍を最も正確に感じ取ることができたトレーダーも、一見すると申し分のない案件に違和感を覚えた経営幹部も、決して勘だけで判断しているわけではない。彼らは、長年にわたる経験の中で積み重ねてきたパターン認識と、その結果として得られたフィードバックをもとに意思決定を行っている。そして、その判断力は年を追うごとに磨かれていく。AIはデータを活用することはできても、長年にわたる実体験や、意思決定を最後までやり遂げる当事者としての責任感と確信までを再現することはできない。

forbes.com 原文

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編集=朝香実

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