イーロン・マスク率いる宇宙開発企業スペースXが初の決算報告を発表し、四半期の支出が6倍に膨れ上がったことが明らかとなった。これが投資家やアナリストの警戒感を煽り、米国時間8月5日に同社の株価は再び急落した。
スペースX株の5日終値は13.61%安の約108.27ドルとなり、過去最安値である104ドルに迫った。
ファクトセットによると、4日にスペースXが発表した四半期決算は、売上高が78億1000万ドル(約1兆2268億円)、1株あたりの純損失が0.09ドルだった。市場予想の売上高69億ドル(約1兆833億円)、1株あたり純損失0.26ドルをそれぞれ上回り、最終損益は10億ドル(約1583億円)の赤字から5億4100万ドル(約849億円)の赤字へと縮小した。
2026年上期における設備投資が6倍に増加、AIに集中
同社は第2四半期に183億6900万ドル(約2兆8840億円)を支出したと報告した。そのうち158億2800万ドル(約2兆4850億円)はAI向けの投資であり、市場予想の132億ドル(約2兆724億円)を大きく上回った。今年上半期におけるスペースXの資本的支出は合計284億7600万ドル(約4兆4707億円)に達し、昨年の約69億6500万ドル(約1兆935億円)から6倍の増加を記録した。
エヌビディア製チップのみを使用する宇宙データセンター
マスクとブレット・ジョンセンCFOは、決算説明会において支出急増に対する懸念を払拭しようと努めた。ジョンセンは特にAIに関連して「すべての資本的支出が同じ性質を持つわけではない」とと強調した。マスクは株主に対し、スペースXがエヌビディア製チップのみを使用するAIデータセンターを宇宙空間に建設する計画であると発表した。
マスクはまた、スペースXの売上高が1兆ドル(約157兆円)を突破する時期について、2031年としていた従来の予測を前倒しし、2030年、早ければ2029年になるとの見通しを示した。
JPモルガンは目標株価を上げ、ウェルズ・ファーゴは引き下げ
一部の証券会社はスペースXの四半期決算に楽観的な見方を示している。目標株価を225ドルから240ドルに引き上げたJPモルガンのアナリストらは、スペースXは「極度な垂直統合」の恩恵を受けていると指摘しつつ、「AI分野における変化のペースは信じられないほど速い」と記した。AIインフラの強化と収益化の向上により、2027年にはAI関連の売上高が1000億ドル(約15兆7700億円)に押し上げられる可能性があると同社はみている。
一方で、ウェルズ・ファーゴのアナリストらは、AI投資に対する幅広い警戒感からスペースXの目標株価を230ドルから215ドルへと引き下げた。同社は、スペースXが「野心的なスタートを切った」ことや、来年度と再来年度の売上高の見通しが予想を上回ったことに触れつつも、設備投資額の見積もりも同様に膨れ上がっていると指摘した。
XTBのリサーチ・ディレクターであるキャスリーン・ブルックスは、ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「投資家の懸念は、支出の伸びが売上の伸びをどれほどのペースで上回っているかという点だ」と語った。



