NEWS Forbes JAPAN MEMBERSHIP 新機能|
記事ページ内の広告表示を最小限にしました

経済

2026.08.06 07:00

世界の原子力発電量が25年に過去最多に 中国が単独でけん引

7号機と8号機の建設が進む中国江蘇省の田湾原子力発電所。2024年11月6日撮影(CFOTO/Future Publishing via Getty Images)

米国の25年の原子力発電量の増加分は約3.1テラワット時で、ロシアの増加分は2.9テラワット時だった。南アフリカ、チェコ、ベラルーシ、ウクライナ、スロバキア、パキスタンの増加幅は小さかった。これらの増加分は、他の地域の減少によって一部相殺された。台湾の原子力発電量は9テラワット時近く減少し、ベルギーでも7.5テラワット時減少したほか、英国、スイス、韓国、スウェーデンも減少を記録した。

advertisement

原子力発電の成長の中心はアジアへ

地域別の数値は、原子力発電の成長の中心がいかに急激に移行しているかを示している。アジア太平洋地域の原子力発電量は、15年の約420テラワット時から25年には約845テラワット時へと2倍以上に拡大した。同地域は現在では世界の原子力発電量の30%近くを占める。

北米はわずかに規模が大きく、昨年の発電量は921テラワット時だったが、これは15年の952テラワット時から減少している。欧州ではさらに急激な減少が見られ、原子力発電量は15年の968テラワット時から25年には約22%減少し、759テラワット時となった。

先進国と発展途上国も対照的な動きを見せている。経済協力開発機構(OECD)加盟国の原子力発電量はこの10年間で約96テラワット時減少した一方、非OECD加盟国では366テラワット時近く増加した。OECD加盟国は既存の原子力発電所が多数あるため、依然として世界の原子力発電量の約3分の2を占めているが、もはや成長の原動力とはなっていない。

advertisement

発電全体に占める原子力の割合は拡大せず

25年の原子力によるエネルギー供給量は31エクサジュール(エクサは10の18乗)で、前年の30.7エクサジュールから増加した。一方、世界の総エネルギー供給量は592.2エクサジュールから600.3エクサジュールへと急速に増加した。

その結果、世界の総発電量に占める原子力の割合は5.19%から5.17%へとわずかに低下した。世界の原子力発電量は過去最多を記録したが、石油、天然ガス、石炭、水力、再生可能エネルギーに対する割合は拡大しなかった。

国ごとの数値には大きなばらつきが見られる。フランスの25年の総発電量に占める原子力の割合は約47%だった。フィンランドでは約33%、スウェーデンでは31%、ウクライナでは25%、チェコでは23%、米国では9.6%を占めた。

世界第2位の原子力発電国である中国は、急速な拡大とは裏腹に、総発電量に占める原子力の割合はわずか3.3%程度にとどまっている。中国の原子力産業は既に世界の発電を左右するほど大きな規模に達しているが、同国の巨大なエネルギーシステムの中では比較的小さな割合を占めているに過ぎない。したがって、同国の原子力の成長の余地は依然として大きいと言える。

全体像

25年の統計は、原子力発電が再び増加傾向にあることを示しているが、世界的な急増とは言い難い。米国は依然として世界最大の原子力発電国だが、同国の原子力発電量は近年、ほぼ横ばいの状態が続いている。日本と並び、フランスは25年に著しい伸びを見せたものの、欧州全体の原子力発電量は15年の水準を大きく下回っている。世界の発電量に占める原子力の割合も、実質的に変化していない。

中国は明らかな例外だ。過去10年間で、同国の原子力発電量は世界の増加分を上回った。現状では、こうした動向は世界的な原子力の復興というより、先進国の多くが既存の原子炉を使い続けている一方で、中国が急速に原子力発電を拡大していることを示すものと言えよう。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事