審査の結果、グランプリに選ばれたのは、流機エンジニアリング(東京都・港区)だ。同社は、独自のフィルター技術により、空気や水、粉じんなどあらゆる流体の環境課題を解決するソリューションを提供している。製品ラインナップは多様で、水の浄化や粉じんの集じん、作業環境の換気・熱中症対策、さらには悪臭やガスの除去・回収まで幅広く手がける。
主軸は1977年の創業当初から手がけている山岳トンネル工事専用の集じん装置。当時、長年粉じんを吸入することで発症する疾患「じん肺」が社会問題化しており、それを解決するものとして生まれた製品だ。90年からは、ビジネスモデルを製品の売り切りからレンタルに転換。それにより、国内では9割、世界でも6割のシェアをもつまでに成長した。
同社の装置は、2011年の福島第一原発事故に伴う除染作業でも取り入れられている。事故直後からがれき処理のための換気装置や集じん装置を開発し、放射性物質を含む濁水への水処理技術の現場実証にも取り組んだ。これらの技術は被災土壌を扱う中間貯蔵プロジェクトへと展開し、現在、中間貯蔵施設用の製品シェアは90%となっている。
同社の24年9月期の売上高は62億円。今見据えているのは、34年の売上高を100億円にすることだ。その達成に向け、代表取締役社長である西村聡は「EUや米国のパートナーと協業体制を構築しており、独自技術をグローバル基準で昇華させていく」と力強く語った。
プレゼンを受け、審査員の朝霧からは、「非常に高いシェアの要因は、優れた技術力なのか、あるいはニッチな用途開発なのか。競争優位性の源泉は?」という質問が投げかけられた。これに対し、西村聡は次のように答えた。
「当社は、『市場をつくる』ことを意識しながら事業を進めています。断トツで勝てる技術を製品開発に落とし込み、新たな市場を生み出すことを目指しています。『この市場で、この課題に対して、自社のこの技術が有効なのではないか』という筋道を立てながら、用途開発から進め、技術を市場に投下する。失敗の方が多いですが、『100個やれば1個あたる』という考えのもとで経験値を積み上げています」



