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リーダーシップ

2026.08.05 16:42

AI時代のリーダーに必要な「3つの対話」とは

stock.adobe.com

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1912年を想像してほしい。あなたは、世界最速のマシンの1つであったスタッツ・ベアキャットのハンドルを握っている。新型自動車の限界を試しているのだ。時速およそ80マイルで、エンジンは轟音を響かせ、風を顔に受けながら、ほんの数年前ならSFのように思えた速度で町の未舗装路を駆け抜けている。

信号もなく、車線表示もなく、まして速度制限などない。アクセルを踏み込み、カーブを勢いよく抜けた先に、農夫と馬に引かれた干し草の荷車が進路上にいるのが見える。

まずい

荷車を引く農夫は何も悪くない。そしてあなたにも、法的にはその速度で走る権利があった。だが、それで衝突やその後の混乱を防げたわけではない。

ここでAIの話になる。

組織は突然、はるかに強力な機械を手にすることになった。その可能性には胸が躍る。だが、この道がどこへ続くのか、次のカーブの先にどんな危険が潜んでいるのかは、まったく明確ではない。多くの人が一致しているように見えることは1つだけだ。私たちがどこへ向かっているにせよ、そこへたしかに猛烈な速さで進んでいるということだ。

私たちが共に仕事をしている多くのリーダーは、ここ数年、AIの実験や学習を重ね、その実力を観察し、それが自らのチームにとって何を意味するのかを理解しようと努めてきた。その成果は玉石混交だ。

AIと仕事をする日は、自信過剰なインターンと議論しているように感じることもある。

あなた:「それをしないように今言ったばかりなのに、なぜやったのか」

インターン:「おっしゃる通りです。たしかにそう言われました。次の依頼も無視しましょうか」

一方で、AIが本当に魔法のように感じられる日もある。この1年で、私たちの同僚の1人は5冊の本を書いた。その前の10年で書いたのは1冊だった。私たちが支援しているある小規模企業は、バックエンド全体をゼロから再構築した。開発チームが手がければ1年の大半を費やすような作業だ。費用はほとんどかからず、その作業の大部分は技術的な知識を持たない人々によって行われた。

これこそ、多くのリーダーが追い求めている未来だ。すなわち、有能な人材がより少ないリソースでより多くの成果を上げる姿である。その興奮は理解できる。AIはすでに、産業を変革する能力を証明している。しかし長期的に成功するために、賢明なリーダーは、先を急ぐ前に導入リスクを慎重に検討し始めている。

個人、チーム、企業、そして業界全体が突如としてこれほどのスピードで動き出すとき、インフラの整備とルールの策定が不可欠となる。それにもかかわらず、多くのリーダーは依然としてそのスピードに興奮するあまり、「カーブの先には何があるのか」と問いかけるために立ち止まろうとしない。

創薬を加速させ、科学的なブレークスルーを後押しし、チームがかつて1カ月かけて行っていた作業を1週間で片付けられるようにするその同じ技術が、システムの脆弱性を生み出し、巧妙な誤情報を拡散させ、監視を可能にし、かつてない規模でサイバー攻撃を自動化する可能性もあるのだ。

AIの利点は現実のものだ。しかし潜在的な欠点もまた現実である。だからこそ、リーダーはルールの定義に本腰を入れる必要がある。

誰もしていない対話

現在、ほとんどの組織はAIをテクノロジー導入プロジェクトとして扱っている。大手AIプロバイダーのプラットフォームに投資し、このツールが自分たちにどれほど多くのことをもたらせるかを発見している。だが多くのリーダーは、取り残されることへの恐れから、より難しい対話をいまだに避けている。ここにはどんなリスクがあるのか。限界はどこにあるのか。そしておそらく最も重要なのは、これらのツールはそもそも実際にどのように機能しているのか、という問いである。

従業員は、様子を見ながら待っている。AIがやって来ることは知っているが、この全体の中で自分たちがどこに位置づけられるのかを問うている。一部の仕事は進化し、一部はより生産的になり、一部は消えることもわかっている。それはあらゆる新技術で起きることだ。彼らはその厳しい真実には向き合える。耐えられないのは、対話から完全に締め出されることである。

いま世界が必要としているのは、チームやコミュニティと率直な対話を行い、最善の道筋を見つけようとするリーダーである。

そのために、10年にわたるAI戦略を策定したり、専門コンサルタントのチームを招いたりする必要はない。必要なのは、話し始める意思を持つリーダーだ。

どこから始めるべきか。

1. 導入を巡る対話

AIの活用について対話を始めるとき、多くのリーダーが最初に問うのは「AIは私たちのために何ができるのか」だ。

賢明なリーダーは異なるアプローチを取る。彼らはAIが役に立つことをすでに理解している。導入を急ぐのではなく、チームとともに、組織として何にAIを使い、何には使わないのかについて明確な姿勢を練り上げていく。特定のツールを社内で構築するコストを見積もり、それをプロバイダー提供の選択肢と比較検討している(あるいは、より優れたツールの登場を待つべきかも検討している)。

彼らは単にAIを使っているのではない。いつ、なぜこれらの新しいツールを導入するのかについて、極めて明確なロードマップを協働で作成しているのだ。そこには、AI導入プロセスで最も見落とされがちな部分、すなわちAIをどのように使わないかを巡る対話も含まれる。賢明なリーダーは今、意図的に線引きをしている。

このようなAI導入戦略は、人事ポータルに埋もれて誰も読まないポリシー文書として存在すべきものではない。組織のAI実装戦略を導く、生きた指針であるべきだ。

残念ながら、多くのリーダーは機会を逃すことへの恐れから、こうした対話を飛ばして実装へ直行している。恐れによって、あなたとチームがしっかりしたAI導入戦略を持てなくなることのないようにしたい。

2. 十分な理解に基づく利用を巡る対話

組織におけるAIの位置づけと導入方法が確立されたら、次の対話は、従業員がそれを使いこなし、主体性を持てるよういかに支援するかについてだ。

今日、すべての従業員が、毎月コーヒー数杯分の料金(またはローカルでホストする場合はほぼ無料)で、優秀なアシスタントを利用できる。他をリードする組織は、単にAIツールを購入してチームメンバーに手渡すだけではない。ツールをカスタマイズし、人々が安全にAIの実験を行える文化を築き、この技術が業務を向上・支援できる新たな方法を見出すために、絶えず適応し続ける。

これは、すべての企業が従業員にプログラミングを始めさせるべきだという意味ではない。また、従業員が現在の本来の職務を放棄して、新たに手に入れた「AIアート」のスキルに熱中すべきだという意味でもない。そうではなく、従業員がこれらの新しいツールの基本的な仕組みを理解する必要があるということだ。ビジネスのプロフェッショナルが、表計算ソフトの作成、スライド資料の作成、検索エンジンの利用方法を知っているべきであるのと同様に、AIに対して適切に指示(プロンプト)を与え、その出力に疑問を投げかけ、協働する方法を理解していることが求められるのだ。

リーダーにとって、これはいくつもの問いを投げかける。従業員の学習をどのように支援するのか。より優れた業務方法の真の成功事例を特定し、組織全体で共有しているのは誰か。安全に実験できる機会を設けているか、そしてそのガードレール(安全柵)は何か。どのAIツールが安全で、どれが不要なセキュリティやプライバシーのリスクをもたらすのか。

私たちが調査したいくつかの組織では、AIのプレイブック、いわば「AIバイブル」を作成することで恩恵を受けている。そこには、どのツールが承認されているか、データをどのように扱うべきか(また扱うべきでないか)、効果的なプロンプトの例、推奨されるワークフロー、そして責任あるAI利用に関する組織の基本原則が記されている。このような共通のガイドラインがなければ、従業員がそれぞれ独自のアプローチを模索することになり、不要な不整合やリスクが生じる可能性がある。

こうした十分な理解に基づく利用は、リーダー自身が知識を深めることから始まる。リーダーとして、コンピュータサイエンスの学位を取得する必要はないが、今日のAIシステムがチームにとって何ができて何ができないのかを、実務レベルで理解しておく必要がある。つまり、プロンプト、ツール呼び出し、メモリ保存、データプライバシー、そしてセルフホスト型またはエンタープライズ向けのAIソリューションがいつ適切であるかといった概念を理解することだ。すべてのリーダーは、チームにとって知識豊富なガイドにならなければならない。

3. 価値と効用を巡る対話

AIの優れたガバナンスは、あらゆる実装の前に次の大きな問いを議論することに尽きる。ここでAIを使うことは、重要なステークホルダーにとって本当に物事を良くするのか。そのステークホルダーは顧客かもしれないし、従業員かもしれない。理想的には、その両方だ。

もちろん、あらゆるAI施策はボトムライン(コスト削減)やトップライン(売上)を考慮すべきである。だが、AIがある仕事をできるからといって、それをさせるべきだとは限らない。特に、従業員や顧客が実験台にされてしまうならなおさらだ。

カスタマーサービスのチャットボットを考えてみよう。AIはコストを削減し、効率的に見えるかもしれないが、大切な顧客を延々とループのなかに閉じ込めた末にようやく人間と話せるようにすることで、苛立ちを生み、信頼を損なう可能性もある。顧客を失う余裕がないビジネスであれば、十分なベータテストと慎重な段階的展開なしに、顧客相手に試すことは適切な判断ではないかもしれない。

対照的に、電話を取る前から顧客の履歴や必要となりそうな商品・解決策の要約をカスタマーサービス担当者に提示するAIを考えてみよう。この場合、技術は従業員と顧客のいずれをも邪魔することなく助けており、迅速な導入は大いに理にかなう。

反復的で退屈な作業を排除するAI、従業員が自力では見つけられなかった洞察を浮かび上がらせるAI、顧客が求めるものをより多く届けるAIは、誰もが恩恵を受けられる価値を生み出す。

優れたリーダーは「ここでAIを使えるか」とは問わない。「それによって私たちの従業員や顧客は、より良い状態になるのか」と問う。

未来で成功したいなら

これから成功する文化には、適切な行動を自ら示すリーダーがいる。だから、自分がまだ解明しようとしていること、取り組んでいること、関心を持っていることについて正直であるべきだ。組織の誰もこれまでこの場所に来たことがないと認め、人々を自らの未来に関する対話に巻き込むことだ。

AIの可能性は現実であり、刺激的である。私たちはこれまでになく速く進むことができるし、実際にそうなるだろう。その舵取りをするリーダーは、アクセルを床まで踏み込み、うまくいくことを願うだけではない。この新しい技術とともにどのように成長するかを、前方の道に注意を払いながら、あらかじめ決めるのである。

すべての答えを持つ人はいない。だが、この移行期を生き残るリーダーは、減速し、今日からルールを書き始める意思を持つ人々である。

forbes.com 原文

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