NEWS Forbes JAPAN MEMBERSHIP 新機能|
記事ページ内の広告表示を最小限にしました

資産運用

2026.08.06 15:15

日本に決定的に足りない金融教育「実践の場」。資本市場の未来を変える挑戦とは

こうした課題に向き合うため、実践型の金融教育の取り組みが始まっている。そのひとつが、日本最大級の大学生企業分析コンテスト「Gyoseki Competition(Gyoseki大会)」だ。

advertisement

第4回大会には、国内外の大学の投資サークルや経済系ゼミに所属する約170チームから応募があり、ファイナリスト6チームによる決勝大会が今年3月、日本橋兜町で開かれた。

参加チームの出身校は、東大、京大、早稲田、慶應、一橋などの名門校や地方国立大学のみならず、米ハーバードやイェール、中国の清華大学など、世界で50以上にのぼる。

そしてGyoseki大会は、単なる金融コンテストではない。

advertisement

大会にエントリーした学生たちは、10月から12月まで約3カ月にわたり、毎週開催される現役の投資家や金融プロフェッショナルによる勉強会で、ファンダメンタル分析の実践的スキルを磨く。

学生たちは自ら財務モデルを構築し、課題として与えられた銘柄の業績予想を立てる。分析内容をリサーチレポートとしてまとめ、分析の深さやプロセス、予測の精度、財務モデルの論理性などから選ばれた上位6チームが、翌年3月の決勝大会でプレゼンテーションを披露する。

実際の運用会社や投資銀行で求められる思考プロセスを、学生時代から経験できるというわけだ。

手弁当の勉強会から始まった

この大会を率いるのは、ファンダメンタル投資家向けの情報管理システムを開発・提供するGyosekiの創業者で代表取締役の加藤寛之だ。ドイツ証券でキャリアをスタートした加藤は、Point72の米国本社でポートフォリオマネージャーを担い、ゆうちょ銀行で超長期戦略に携わったあとに独立。現在は、一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻(一橋ICS)の客員教授も務める。

大会創設のきっかけは、ゆうちょ銀行在籍時代の2019年、手弁当で始めた大学生向けの勉強会だった。

「第一子が生まれ、次の世代に向けて何か貢献できないだろうかと考えていたタイミングでした。そこで、都内の大学で活動している投資サークルに声をかけて、ファンダメンタル分析の勉強会を始めたのです」

最初は2週間に1回程度、大学の教室やコミュニティーセンターを借りた数十人程度の小さな勉強会だった。だが、大学の講義や教科書では教わらないプロ投資家のノウハウや、金融業界のリアルなキャリアパスについて包み隠さず伝えるうち、評判を聞きつけた学生たちの輪がどんどん広がっていった。

「そのうち、『日々努力している学生たちの実力を直接プロに見てもらいたい』という思いが湧いてきました。学生たちからも『学んだことを発表する場がほしい』という声が上がり始めたのです。もともと後ろ盾のない勉強会だったのでコンテストのパートナー企業を集めるのには苦労しましたが、数年のうちに金融業界で活躍する卒業生が現れ始めたことが実績となって協賛を得ることができました」

こうして22年、Gyoseki大会がスタートした。現在では、Point72やBlackRockなどの世界有数の金融機関がパートナーとなっている。加藤が単なる金融コンテストではない「実践の場」をつくることにこだわったのは、何よりも学生たちがそれを求めていたからにほかならない。

次ページ > グローバルな金融機関が注目する「実践の場」

文=中居広起

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事