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サイエンス

2026.08.08 15:00

部下が明らかな「正解を見落とす」理由、脳の仕組みが生む非注意性盲目

stock.adobe.com

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テクノロジーに詳しい筆者は、身の回りで自然とITトラブルの相談役に収まるようになった。93歳の母や友人、家族の操作をサポートするとき、会話はいつも決まったパターンをたどる。

彼らが操作方法がわからないと電話をかけてきて、画面上のボタンやメニュー、オプションを探すよう伝えると、ほぼ決まって「そんなものはない」という答えが返ってくる。もう一度よく見るよう促したり、今何が見えているかを説明してもらったりすると、数分後に突然「あった!」と言うのだ。興味深いのは、画面上は何も変わっていないという点だ。ボタンは最初からずっとそこにあった。

このような現象を何度も目の当たりにするうちに、なぜこれほど多くの人が、目の前にあるものを「存在しない」と本気で思い込んでしまうのか不思議に思うようになった。

多くのコミュニケーションの課題は、このようにして始まる。チームを率いた経験があり、自分にとっては一目瞭然の解決策や機会、あるいは課題を、なぜメンバーが見落としてしまうのか疑問に思ったことがあるなら、心理学者の見解がヒントになるだろう。

人が目の前にある解決策や情報を見落としてしまうのには、脳の仕組みに根ざした明確な理由がある。このメカニズムを理解することは、AIが説得力のある回答を提示し、人々を誤った方向へと誘導しやすくなっている現代において、さらに重要性を増している。

一目瞭然の解決策を見落とすことから課題が始まる

心理学者のダニエル・シモンズとクリストファー・チャブリスが行った最も有名な心理学実験の一つが、この現象を説明する手がかりになる。この実験の有名な動画では、2つのチームがバスケットボールのパスを回しており、被験者は一方のチームのパスの回数を数えるよう指示される。動画の途中で、ゴリラの着ぐるみを着た人物が画面の真ん中を横切り、立ち止まって胸を叩き、去っていく。しかし、被験者の約半数はこのゴリラにまったく気づかなかった。周囲で起きている他のすべてのことではなく、パスの回数を数えることに注意が集中していたからだ。

心理学では、これを「非注意性盲目(inattentional blindness)」と呼ぶ。私たちの目は脳が処理できる量をはるかに超える情報を集めているため、脳は注意を向けるべき情報を常にフィルタリングしているのだ。

ほとんどの場合、このフィルタリング機能はうまく作用している。周囲にあるすべての物体、音、動き、詳細な事実に気づいていたら、何かに集中することはほぼ不可能になるからだ。問題は、集中を助けるこのシステムが、目の前にあるものを見えなくさせてしまう原因にもなるという点だ。

だからこそ私は「ボタンがない」と言う人に対して、単に注意を払っていないだけだと考えるようにしている。彼らは本当にそう信じ込んでいるのだ。脳が「答えはここにあるはずだ」とあらかじめ決めてしまっており、その予測から外れたものにはほとんど注意が向けられなくなっている。

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