これらはすべて、感情知能(EQ)の例だ。検証済みの感情知能モデルはいずれも、「自己認識」「自己管理」「社会的認識」「関係管理」の4つのスキルを前提としている。多くのリーダーはこれらを「育成できる能力」ではなく「持っているか否かの特性」として扱う。
そこで問われるのは、リーダーが日々の現場でチームのEQを高めるには、具体的に何をすればよいのかということだ。
パーソナル・オペレーティング・マニュアル
先日開催されたPragmaticoの全社オフサイトミーティングで、ハラミーヨはエグゼクティブコーチのアダム・ウェバーが考案した「パーソナル・オペレーティング・マニュアル(自分の取扱説明書、POM)」と呼ばれるドキュメント手法を自身のチームで実践した。参加者はまず個別に書面で、次にグループの前で声に出して、次の5つの問いに答える。
・自分が最も力を発揮できるのは……
・自分が調子を崩すのは……
・良くも悪くも、自分について分かっているパターンは……
・自分がプレッシャーを感じているときは、こう見える……
・自分を支援したり、よい意味で追い込んだりするうえで最も役立つ方法は……
「POMを通じて、何カ月分のSlackメッセージやZoomでの会話からは決して表に出てこないような、その人の新たな一面を知ることができる」とハラミーヨは語る。「同時に、自分自身のパターンについて、これまできちんと言葉にしたことのなかったことを、声に出して話すことにもなる」
自分の「サイン」を共有するには、まずそれを自分で理解していなければならない。その意味で、POMは本質的に自己認識のエクササイズである。だからこそ、リーダーが最初に自分の答えをグループに共有することが重要なのだ。締め切りが遅れると人にきつく当たってしまう、あるいは圧倒されると受信トレイに逃げ込んでしまうと認めれば、3階層下のメンバーも同じように弱さをさらけ出しやすくなる。チームは、リーダーがEQの高い行動を体現する姿を見ることで、EQが重要だと学ぶのだ。
聞いたことをどう生かすか
社会的認識は、たいてい推測に頼る作業だ。合図を見つけ、間を読み、気分を推し量り、自分の解釈が正しいことを願う。POMは、その推測の大部分を本人の直接の証言に置き換える。この手法は、チームの内面の働きに、本人の言葉を通じてリーダーがアクセスできるようにするものだ。
Pragmaticoのオフサイトで最も有益だったのは、誰か1人の癖ではなく、会社を率いる2人がプレッシャー下でどう振る舞うかについての洞察だった。
ストレスを感じると、ハラミーヨは卓越性を重視する方向に傾く。スピードを落とし、基準を引き上げる。一方、共同CEOのランディ・ストックリンはスピードを重視する方向に傾く。期限を縮め、プロジェクトを全速力で前に進める。


