NEWS Forbes JAPAN MEMBERSHIP 新機能|
記事ページ内の広告表示を最小限にしました

AI

2026.08.10 11:00

シンギュラリティとは何か、私たちはもう到達したのか

stock.adobe.com

stock.adobe.com

シンギュラリティ(技術的特異点)は長らく、テクノロジーをめぐる発想のなかでもとりわけ魅力的で、同時に恐ろしいものであり続けてきた。それは、機械の知能が人間の知能を追い越し、私たちにはもはや制御も予測もできない速さで進歩し始める地点のことだ。

何十年もの間、これはおおむねSFと学術的な思弁の領域にとどまっていた。ところが今日のAIは、コードを書き、自律性を高めながら動作し、開発者ですら予期しないやり方で複雑な目標を追い求めるようになっている。そこで重要な問いが浮かび上がる。私たちはシンギュラリティの最初の兆しを目にし始めているのか、それともまだはるか手前にいるのか。

テクノロジー業界でもとりわけ影響力のある人物の何人かは、その時が近いと考えている。グーグル・ディープマインドのデミス・ハサビスCEOは、人類はシンギュラリティの「山麓」に立っていると述べた。OpenAIのサム・アルトマンCEOはさらに踏み込み、「私たちはもう、いわばシンギュラリティのなかにいます」と最近宣言した。イーロン・マスクも同じように大づかみな主張をしている。

彼らが正しいとすれば、その影響は計り知れない。シンギュラリティはこれまで、欠乏の終わりや働かねばならない状態からの解放といった話から、大量失業、人類の絶滅、そして私たちの知る文明の崩壊まで、あらゆるものと結びつけて語られてきた。

とはいえ、AIをつくり、売っている側の発言は、ある程度割り引いて受け止めるべきだ。彼らの会社は、AIがますます強力になって世界を一変させると投資家や企業、そして一般の人々に信じてもらうことで成り立っているからだ。

では、シンギュラリティとは正確には何なのか。汎用人工知能とはどう違うのか。到来したと判断できる証拠は何か。そして今日のAIは、その境界線を越えるところまでどれだけ近づいているのか。

シンギュラリティとは何か、AGIとどう違うのか

この概念の出発点としてよく挙げられるのが、英国の数学者I・J・グッドである。彼は1965年、機械はいつか、知能を持つ機械を設計する能力で人間を上回るかもしれないと論じた。そうなれば機械は自分よりさらに有能な後継版をつくれるようになり、改良が改良を呼ぶフィードバックループが始まる。

ここがシンギュラリティと汎用人工知能(AGI。artificial general intelligence)の分かれ目だ。AGIとは、人間にできる知的作業のほぼすべてをこなせる機械を指す、理論上の概念である。一方シンギュラリティは、機械が人間の知能を超え、自らの発展を自分で牽引し始める地点を指す。

単純化して言えば、AGIは能力の水準を表す言葉であり、シンギュラリティはその次に起こりうる事態を指す言葉だ。

次ページ > 実際、どこまで近づいているのか

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事