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健康

2026.08.05 10:21

ウェルネスは新たな「ハッピーアワー」か? 社交スタイルの変化で、220億ドル(約3兆4600億円)分の酒が売れ残る

Adobe Stock

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社交の場にお酒が欠かせないものでなくなったら、何が起きるだろうか。

何十年もの間、米国のビジネス界にはお決まりのパターンがあった。午後5時に退社し、部門長が同僚を誘って割引価格で酒が飲める店(ハッピーアワー)へと向かい、カクテルを片手に一日の仕事の疲れを癒やすのだ。今日、その慣習が静かに、しかし決定的に変わりつつある。

今日、ハッピーアワーはかつてのような文化的影響力を失っている。そして、その背景にあるデータは、より大きなトレンドである「ウェルネス最優先」を物語っている。ウェルネス産業全体は著しく持続的な成長を遂げており、2025年には6.7兆ドル(約1050兆円)を突破、今後数年で10兆ドル(約1570兆円)に迫ると予測されている。健康やウェルネスを重視するライフスタイルへの需要が社交のあり方を再構築するなか、世界のアルコール業界は推定220億ドル(約3兆4600億円)相当の売れ残った蒸留酒(スピリッツ)を抱えており、これは過去10年間で最大の在庫未処理だという。

ワシントンD.C.のウェルネスファシリテーターで、ヨガやピラティスも教えるアリサ・ウィルミナは、26歳でワインソムリエの資格を取得した後、ヘルス&フィットネスのキャリアに身を投じた。転身の理由を尋ねると、彼女は明快に答えた。「自分の未来をコントロールしたかったのです。病気になる『前』に、健康管理をしたいと考えました。これは、食事や生活からすべての楽しみを奪うという意味ではありません。今のウェルネスとは、将来の幸福のために、より健康的な選択をしようという意識的な気づきであり、努力なのです」

従来のハッピーアワーの静かな衰退

仕事終わりのバーの賑わいは、3つの大きな変化によって揺さぶられている。

第一に、リモートワークやハイブリッドワークの普及により、オフィスからバーへの自然な移行が弱まった。物理的に同じ場所にいる従業員が減ったため、自発的なグループの集まりはまれになり、計画するのも難しくなっている。かつて同僚たちを付き合いの飲みに引き寄せていた社会的引力は消散してしまったのだ。

第二に、人々はより早く帰宅するようになり、睡眠やワークアウト、家族との時間を優先している。また、深夜の飲酒をコーヒーを片手にした懇親会やウェルネスをテーマにした集まりに置き換える人もいる。

最後に、社交そのものが再定義されている。特に若い世代の間では、ランニングクラブ、フィットネスクラス、ピクルボールリーグといったアクティビティ主導のコミュニティが、アルコールを中心としたつながりに取って代わりつつある。「飲みに行こう」から「一緒に何かをしよう」へと重点がシフトしているのだ。

これに、企業における一体感の全体的な低下が重なり、かつてのハッピーアワーというモデルは、ますます時代遅れのものに見え始めている。

供給過剰に陥る蒸留酒業界

消費者の習慣が変化した一方で、宅飲みが急増したパンデミック期に、アルコールメーカーは積極的な拡大路線を取った。フィナンシャル・タイムズ紙によると、世界大手の蒸留酒メーカー5社(ディアジオ、ペルノ・リカール、カンパリ、ブラウンフォーマン、レミーコアントロー)は現在、ウイスキー、コニャック、テキーラ、ラムにわたり、共同で220億ドル(約3兆4600億円)相当の熟成蒸留酒の在庫を抱えている。

ストリ・グループは最近、米国向け2ブランドの在庫を売却する計画を発表した。ディアジオは米国とスコットランドの両蒸留所での生産を一時停止することを決定。ジムビームは、主要蒸留所の1つにおいて2026年通年でウイスキーの生産を行わないと発表した。ブラウンフォーマンは人員を削減し、製樽工場を売却、スコッチの蒸留所を閉鎖した。コニャックの生産者は、フランスと中国の間の貿易摩擦により在庫処分目的の値下げを余儀なくされ、輸出が鈍化している。かつて米国で最も急速に成長していた蒸留酒カテゴリーであるテキーラでさえ、数年前のようなペースでは売れていない。

ウェルネスがアルコールに取って代わるとき

こうした変化の根底にあるのは、より深い文化的変化だ。人々は単純に、お酒を飲む量を減らしているのである。

「人生は一度きりです。しかし、その一度きりの人生をどう生きるべきでしょうか。意識的で健康的なライフスタイルに変えることには、大きなメリットがあります。健康状態が良ければ、年齢を重ねてもより多くのことができます」とアリサは語る。「『うわべだけの健康』ではなく、本当に健康であることが、今や新たなステータスなのです。これは私たちの社会、特に若い世代にとって、重要な転換点であり瞬間です」

ギャラップ社の報告によると、現在お酒を飲むことを選ぶ米国人はわずか54%にとどまり、これは過去90年間で見られなかった低水準である。そして、健康への意識が中心的な役割を果たしている。世界中のウェルネス市場が力強い成長を遂げており、北米、欧州、中東・北アフリカ地域が最大の伸びを記録している。

同時に、アルコールは睡眠を妨げ、不安を高め、炎症を悪化させ、肝疾患やがんの長期的リスクを高める中枢神経抑制剤であるとの理解が広まりつつある。また、「ソバーキュリアス(あえてお酒を飲まないことを好む姿勢)」の台頭により、禁酒は我慢するものではなく、パフォーマンスを最適化するためのものとして再定義された。多くのプロフェッショナルにとって、アルコールは今や、明晰さ、フィットネス、生産性を妨げる障害とみなされている。

1月末が近づくなか、「ドライ・ジャニュアリー(1月はお酒を飲まない運動)」のようなムーブメントがこのリセットを加速させている。1カ月間の禁酒に挑戦するこの試みは、ホリデーシーズン終了後にアルコールとの関係を見直すことを促し、カクテルの代わりにハーブティーや機能性飲料を手にし、お酒なしで社交を楽しむきっかけとなっている。

消費者にとって、短期的には蒸留酒の値下げという恩恵があるかもしれない。しかし、業界にとって長期的な問いはより本質的なものだ。ウェルネス最優先の時代において、未来の社会的つながりは、バーの伝票というよりも、体験を共有することに近くなるかもしれない。そして、熟成倉庫に眠る220億ドル(約3兆4600億円)は、業界がまだその変化に十分追いついていないことを示唆している。

「このシフトは好むと好まざるとにかかわらず起きています。ソーシャルクラブは今やウェルネスクラブになりつつあります。一緒に飲む代わりに、一緒に5キロ走ろう、という具合に。アルコールは常に存在し続けるでしょうし、私もソムリエとして今でもワインが大好きで、これからも愛し続けるでしょう。ただ、今はワインの杯数を減らし、休息時間を確保することに重きを置いています。本当の意味で、マインドセットの変化が起きているのです」とアリサは語った。

Forbes.com 原文

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