あるクライアントから、応募した企業からついに連絡があったと興奮気味に電話がかかってきた。彼は次のステップがリクルーターとの電話面接だと思い込んでいた。しかし、メールを開くと、実際に人と話す前に「Hirevue(ハイヤビュー)」での面接を完了するようにとの指示が書かれていた。
マーケティングの専門職である彼は驚愕した。技術的な評価が古くから一般的である、ソフトウェアエンジニアやデータサイエンスの職種に応募したわけではなかったからだ。彼はHirevueについて聞いたこともなく、採用プロセスの次のステップとして、面接の質問に対する回答を動画で録画することを求められるとは夢にも思っていなかった。
そして、パニックが襲ってきた。
各回答の準備時間はわずか30秒、回答時間は2分しかないことを彼は知った。やり直しはできない。録画ボタンを押した瞬間、その回答が最終回答となる。
多くの求職者は、スキルテストとはソフトウェアエンジニアなど技術系専門職のコーディング能力を評価するためのものだと思い込んでいる。しかし、それはもはや事実ではない。企業は、マーケティング、営業、財務、人事、カスタマーサービス、オペレーションなど、あらゆるビジネス職種の候補者をスクリーニングするためにこれらのツールを活用しており、リクルーターや採用マネージャーが実際に話をする前の段階で行われるケースが増えている。
Hirevueは、多くの大手企業が採用プロセスの初期段階で候補者を評価するために使用しているAI搭載プラットフォームだ。このソフトウェアは、リクルーターや採用マネージャーが閲覧できるように、録画の要約を作成する。
これらの面接は非常に困難な場合がある。企業はHirevueを使って「状況設定型の質問」を投げかけ、業務関連のシナリオを通じて、候補者がスキルを持ち、そのスキルを用いて成果を出せるかどうかを検証したいと考えているからだ。今や企業は、リクルーターや採用マネージャーと話をする前に、候補者がこれまでの経験を実際の職場の状況に応用できるという証拠を求めている。
企業が採用のハードルを増やしている理由
企業がなぜ採用プロセスを変更しているのか、そして実際に何を求めているのかをより深く理解するため、筆者はHirevueのチーフ・サイエンス・オフィサーであるマイク・ハーディに話を聞いた。
「多くの候補者は、これらの選考ツールが応募者を素早くふるい落とすために存在していると考えている。しかし、本当の目的は、単に採用を迅速化することではなく、より良い採用決定を下すことだ。現在は、求人が少なく候補者が多い『候補者過多』の時期にある」とハーディは語る。「非常に多くの候補者がAIを使ってレジュメ(履歴書)を作成しているため、どれも似たり寄ったりの状態になっている。さらに、AIの登場によって応募がかつてないほど容易になった。リクルーターはもはやその膨大な応募量を処理しきれない。これが、企業に候補者のスクリーニング方法の再考を迫っているのだ」
「企業はもはや、候補者を評価するためにレジュメや従来の面接だけに頼ってはいない。採用プロセスの次の段階に進める前に、自身のスキルを実際の職場の状況に応用できるという証拠を求めている」とハーディは指摘する。
この新たな採用ステップで成功する方法
朗報は、これらの面接に向けて準備ができるということだ。他のあらゆる面接と同様に、成功の鍵は準備にかかっている。
状況設定型の質問への対策を立てる。 自分が直面した具体的な状況、取った行動、および達成した成果を明確に描写する必要がある。これらの質問は、レジュメに書かれていることだけでなく、その仕事に活かせるスキルを評価するのに役立つ。回答を整理する最良の方法の一つが、「STARメソッド」(Situation=状況、Task=課題、Action=行動、Result=結果)の使用だ。準備に役立つ、この手法の使い方についての詳細なForbesの記事(英語)も執筆しているので参考にしてほしい。
企業と職種をリサーチする。 マイクはこの点を強調しており、筆者も全面的に同意する。企業のウェブサイトを研究し、製品やサービスを理解し、職務記述書を確認して、雇用主が最も重視しているスキルや責任を特定しよう。このプロセスにおいて、筆者がこれまでに使った中で最も優れたリサーチツールはPerplexity.aiだ。
自分の経験を相手のニーズに合致させる。 面接の前に職歴を振り返り、企業が求めているスキルを実証する実績、数値で測れる成果、および具体例を特定しよう。レジュメの言葉をそのまま一言一句繰り返すのは避けるべきだ。問題をどのように解決したか、どのような成果を上げたか、あるいはどのように貢献したかを示す具体的な事例を用いて、内容を生き生きと伝えよう。
話の内容(コンテンツ)に集中する。 多くの求職者が、自分は「話をするのが苦手だ(ストーリーテリングが下手だ)」と言う。だが幸いなことに、企業はあなたの話術を評価しているわけではない。彼らが耳を傾けているのは、回答の実質的な中身、つまり、課題にどうアプローチし、何を行い、どのような結果を得たかだ。洗練されたパフォーマンスを見せることよりも、内容の方がはるかに重要である。
回答を書き出して練習する。 最善の準備方法の一つは、面接の前に、想定される状況設定型の質問への回答を書き出しておくことだ。のちにリクルーターや採用マネージャーから、これらと同じ「行動質問(行動特性質問)」の多くを尋ねられる可能性は極めて高い。今行う準備は、面接プロセス全体を通じて役に立つはずだ。
まとめ
この新たな採用ステップに初めて遭遇したときは、気後れするように感じられるかもしれない。そして、Hirevueの面接に臨む前に練習を重ねることが、ベストを尽くすための最善の方法だ。しかし、企業がなぜこうしたアセスメントを導入しているのかを理解し、出題される可能性の高い質問に備えれば、自信ははるかに高まり、本当に重要な面接である「採用マネージャーとの直接対話」へと進める確率もぐっと上がるだろう。



