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2026.08.05 08:47

ダイヤモンドが量子コンピューティングの「最良の相棒」になり得る理由

Adobe Stock

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従来の量子コンピューティングは、外部の振動から遮断するための高価な隔離設備や、宇宙空間よりも低い温度まで冷却するための膨大な冷却インフラを備えた巨大な建物の中で行われてきた。しかし近年、量子コンピューティングは小型化が進んでいる。例えば、Quantum Artの手のひらサイズの100万量子ビットシステムがそうだ。あるいは、指輪にはめ込んでも見映えのしそうなダイヤモンドを文字通り自社で製造し、それを用いて量子計算を実行するQuantum Brillianceのような企業もある。

コンパクトなサイズや冷却が不要という利点に加え、ダイヤモンドの大きな強みは、量子コンピューティングを難解な物質論や複雑な物理学の領域から、エンジニアリングと製造の領域へと移行させ得る点にある。

「ダイヤモンドは非常に硬いため、室温であっても結晶内に多くの振動や擾乱を生み出すほどの熱エネルギーは存在しない」。Quantum BrillianceのCTO(最高技術責任者)マーカス・ドハティは、最近のポッドキャスト「TechFirst」でこう語った。「その結果、デコヒーレンスがほとんど発生しない。量子システムにおけるデコヒーレンスは、多くの場合、振動によって引き起こされるからだ」

つまり、量子ビットを望みの場所に正確に配置できるということだ、と彼は付け加えた。しかも、その周囲にかさばって重く、大量のエネルギーを消費する冷却装置を組み立てる必要もない。これは、量子コンピューティングをデータセンターやクラウドだけでなく、エッジにも展開できることを意味する。

その鍵を握るのが、ドハティが「窒素-空孔(NV)中心」と呼ぶ、Quantum Brillianceがダイヤモンドに組み込む構造だ。ダイヤモンド中の炭素原子を窒素に置き換え、隣接する原子を取り除くことで、人工的な原子のように振る舞う欠陥が生まれる。これらのNV中心は、光とマイクロ波を用いて量子情報を保存・操作でき、他の多くの量子システムを乱す熱ノイズの影響を受けない。

ダイヤモンドは非常に剛性が高いため、格子振動が最小限に抑えられ、量子コヒーレンスの維持に役立つ。この安定性により、エンジニアは必要な場所に量子ビットを正確に配置でき、極低温装置なしで動作させることができる。

量子センシングにおいては、数百万個のNV中心を同時に使用でき、磁場、電場、あるいは温度変化の超高感度検出器として機能する。量子センシングとは、量子系を物理世界の超精密検出器として利用する技術であり、量子粒子を意図的に外部信号にさらす。これらの信号は量子状態をわずかに変化させ、その変化を測定することで、古典的なセンサーでは検知できないほど微小な影響を科学者は捉えられる。

一方、量子コンピューティングにおいては、量子もつれやマルチ量子ビット演算を可能にするため、NV中心を相互作用が可能な距離に配置する必要がある。

物理は成立している、とドハティは言う。むしろ難しいのは製造だ。スケールアップのため、同社は最近立ち上げた自社ファウンドリで独自にダイヤモンドを育成している。量子コンピューティング対応のダイヤモンドについては、シリコンウエハーのようなグローバル市場も、標準化されたファウンドリプロセスも存在しないのだ。

もちろん、街の宝飾店で手に入るものでもない。

「シリコンウエハーのようにダイヤモンドウエハーを購入し、標準的な半導体ファウンドリで年間数百万個のデバイスを製造することは、まだできない」とドハティは語る。「ダイヤモンド量子技術産業の重要な構成要素の1つは、それを可能にすることだ。つまり、適切な規模と品質でダイヤモンドを製造できるファウンドリを構築することである。当社の量子ダイヤモンドファウンドリは、その方向への一歩であり、量子グレードのダイヤモンドの商用供給網を築いている」

同社はまず超高純度のダイヤモンドを育成し、次に炭素13のような擾乱を引き起こす同位体を除去する。最後に、従来の半導体と同様に電流の流れを制御するためのNV中心、ならびにn型・p型領域を導入する。

量子センシングはすでに市場が形成されており、Bosch、Lockheed Martin、Q-CTRLといった企業が、航法、防衛、産業用途向けの実地展開可能なセンサーを実証している。昨年、米国防高等研究計画局(DARPA)はQ-CTRLに対し、量子航法システムの開発・提供のため、総額約2500万ドル(約39億4000万円)の契約を2件発注した。この分野で、Quantum Brillianceは2028年までに年間約1000台の量子センシングユニットを製造し、2030年までには年間およそ10万台へ拡大することを目指している。

量子コンピューティングについては、話が異なる。

Quantum Brillianceは、2031年までに、誤り訂正を用いて多数の物理量子ビットから構成される最初の論理量子ビットの実証を計画している。2033年までには、プロセッサあたり64論理量子ビットを大規模製造することを目標としている。

これは他の量子コンピューティング競合企業と比べれば遅い。Quantum Artは2033年までに100万量子ビットの巨大システムの出荷を目指している。だが、Quantum Brillianceには製造のスケーラビリティという利点がある。

現在、Quantum Brillianceの量子コンピュータは標準的な19インチラックユニットに収まり、CPUやNVIDIAのGPUを含む古典的プロセッサを同じ筐体に統合している。同社はすでに米国、ドイツ、オーストラリアの顧客にシステムを納入しており、そこにはオークリッジ国立研究所への3件の導入も含まれる。この小型化は、量子コンピューティングが最終的にエッジも含め、必要とされる場所ならどこにでも配置され得ることを意味する。

「我々が2033年といったタイムラインについて語る理由は、製造プロセスを成熟させるのに時間がかかるからだ」とドハティは言う。「これは1960年代のシリコントランジスタ時代と非常によく似ている。当時も、信頼性のあるファウンドリとプロセスを構築するのに10年を要した。ダイヤモンド量子コンピューティングは『第2波』の技術だ。他のシステムは精緻だが、大規模な製造は困難だ。我々のアプローチは初期段階では時間がかかるが、一度確立されれば、数百万台のデバイスへとスケール可能なのだ」

数百万台のデバイス。量子コンピューティングの世界では、そうそう耳にする言葉ではない。

forbes.com 原文

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