その不正の構図はかつてマルチ販売員組織を構成し、連鎖商法だと批判された健康食品販売、ハーバライフに例えられている。アックマン氏は問題が起こっていることを認め、バリアントが「ハーバライフと同じような局面にある」と述べた。
アックマン氏は「バリアント株の250ドルから80ドル以下への急落は、2013年末にハーバライフ株がほぼ2倍の80ドルとなった急騰を連想させる」と述べた。この2つの例とも、株価の動きはビジネスの実態ではなく投機を反映しているとの認識だ。これは、ウォール街で最も議論されている論点であるが、つまるところ、ハーバライフは株価が上がっているのに業績は悪化。一方、バーレントの売り上げや会計運用を精査しようとしている現在の市場の動揺は、同社のビジネスモデルや収益見通しに変化を与えていないという。
ハーバライフの株価は2014年、約50%下落した。市場予想を下回る売り上げと、同社に対する連邦当局による一連の捜査が公になったためだ。これに対しアックマン氏は「バリアントの株価は、現在の懸案が解決に向かうにつれ底を打ち、回復に向かう」と主張している。
ただ、アックマン氏の動向を注視している関係者にとって、この比較は違った解釈をされているようだ。ハーバライフの株価が上昇していた2013年に、アックマン氏は10億ドルの空売りポジションをとっているため、さらに同社株が上昇すれば同氏のヘッジファンドは崩壊するのではないかとの憶測をメディアに呼び起こしている。
また、Pershing Squareはバーレントの主要株主であることから、空売り筋に否定的なリポートを書かれ、複数の規制当局からの検査を受けており、アックマン氏に批判的な筋はバーレントの業績悪化が同氏の倒産につながるという疑念を広めようとしている。
しかしながら、約2時間にわたる投資家との電話会議でアックマン氏は、Pershing Squareの投資ポートフォリオのおよそ半分は長期投資、もしくは経営参画のためのもので、過度の市場変動に対応していると繰り返した。この、長期保有株が同ファンド保有株の一部が清算を迫られた場合の大規模な不安定化要因の償却リスクを軽減してくれるというのだ。
アックマン氏によれば、これまのところ償却は市場環境が良かった2014年よりも少ないという。しかしながら、9月と10月のバーレント株の暴落でPershing Squareの苦境は悪化の度合いを速めている。
電話会議でアックマン氏は短期の株価下落でPershing Squareが保有株を投げ売りする事態には陥らないとの立場を表明した。
今四半期、Pershing Squareは前年同期比19%減と運用成績が悪化しているのに、投資対象を変更しなかった。「良質な資産を保有しているのに、運用対象となっている株価が安過ぎるからだ」とアックマン氏は主張している。