AI

2026.08.04 12:00

アリババ、世界最大級のオープンなAIモデル「Qwen3.8-Max」発表、Fable、ChatGPTに挑む

JUN LI - stock.adobe.com

JUN LI - stock.adobe.com

中国のIT大手アリババは8月3日、自社として「最も高性能」と位置づけるAIモデルを発表した。同社によれば、このモデルは性能試験でAnthropicのFableやOpenAIのChatGPTと同等か、それ以上の結果を出したという。これは米国との開発競争が加速するなかでの発表となった。

アリババが発表したQwen3.8-Maxは、パラメータ(モデルが情報をどう処理するかを決める数値)の数が2兆4000億に達し、オープンなAIモデルとしては世界最大級となる。オープンモデルとしての公開は来週の予定だ。

このモデルは、実際の業務、調査・研究、自律的なコーディング、そして長期タスクの遂行(long-horizon execution。多くの手順を順に踏まなければ終わらない作業を、最後までやり通す能力)に対応するとアリババは説明している。

Qwen3.8-Maxは、利用者が何も指示を出さないまま何時間もコードを書き続けられる。アリババによると、ある社内テストではこのモデルが16日間かけてAIコーディングツールを構築・改良した。自分でコードを書き、テストし、エラーを直し、さらに手直しを重ねるという一連の作業を独力で進めたもので、時間が経つにつれて効率が上がっていったという。

アリババが公開したテスト結果を見ると、Qwen3.8-Maxは、マルチモーダル推論(テキストや画像など異なる種類の情報を組み合わせて考える力)、視覚エージェントとコーディング、オフィス業務の処理、実世界の理解、視覚認識の各分野でAnthropicのFable 5を上回っているように見える。OpenAIのGPT5.6-Solとの比較でも、同等かそれ以上の数値が示されている。

8月3日の米国株式市場では、取引開始直後にアリババ株が4.8%上昇した。これに先立つ香港株式市場でも7%高となっていた。

アリババのモデルは、規模の面で中国のスタートアップMoonshot AIのKimi K3と肩を並べる。Moonshot AIはKimi K3について、パラメータ数2兆8000億の史上最大のオープンAIモデルだと主張していた。Kimi K3やQwen3.8-Maxのようなオープンモデルは、開発者が自分でダウンロードして動かし、改変することができる。一方、ChatGPTやAnthropicのClaudeのような商用独自モデル(プロプライエタリモデル。提供元だけが中身に手を加えられる非公開のモデル)では、基盤となる仕組みが公開されていない。OpenAIもAnthropicも、自社モデルの総パラメータ数を明らかにしていない。

Qwen3.8-Maxの全容が明らかになる前から、アリババはこのモデルについて、他の主要なAIモデルと肩を並べ、Anthropicの旗艦モデルFableに次ぐ性能になると主張していた。

今回の発表は、中国のAI企業が米国勢との差を詰めようと動いてきた流れのなかで行われた。米国は輸出規制によって、エヌビディアのH200をはじめとする最先端のAI半導体の入手を制限してきたが、それでも中国勢は追い上げを続けてきた。米政府は、中国企業が禁輸対象のAI半導体を米国から中国へ密輸したり、海外子会社を通じてプロセッサーを買うことで輸出規制を回避したりしていると主張している。

先月には、財務長官のスコット・ベッセントが、中国のAIモデルが米国のモデルから蒸留(既存のモデルに大量の質問を投げて得た回答を教師データに使い、その能力を別のモデルへ移す手法)されたものではないか、トランプ政権として調べる方針だと述べた。この発言が出たのは、アリババの出資を受けて2023年に設立されたMoonshot AIがKimi K3を公開した直後のことで、ベッセントは米政府が「知的財産の窃取」を支持することはないとも付け加えた。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事