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2026.08.04 09:51

量子コンピューティング入門:その仕組みと未来への可能性

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2年前、私はIBMの量子コンピューティングプログラムについて、同社と約6カ月にわたり深い議論を重ねた。同社は主要アナリストに、量子コンピューティングがもたらし得る影響をより広く理解してもらい、自社の取り組みと戦略を知ってもらおうとしていた。議論の多くは創薬に関するものだった。1970年代後半に大学で医学部進学課程を専攻していた私にとって、非常になじみのある分野である。

それ以前、私は量子コンピューティングの研究に多くの時間を割いてこなかった。当時の私たちの仕事は、AIや、XR(エクステンデッドリアリティ)、VR(仮想現実)、モバイルコンピューティングにおけるその他の進展に関するものだったからだ。

今年に入って、AIと量子コンピューティングに取り組む2社と議論する機会があり、この先端技術について、はるかに深い理解が必要だと気づいた。そこで私は夏に、主要大学の1つで量子コンピューティングの基礎と、その潜在的な影響に関する講座を受講した。

この授業を通じて私が理解したのは、量子コンピューティングとは、古典的な電子工学ではなく量子物理学の法則を用いてコンピューターを構築する新しい方法だということだ。ノートPCやスマートフォンを置き換えることを目的とするものではなく、最速のスーパーコンピューターでさえ解くのに苦労する特殊な種類の問題を扱うためのものだ。学生、開発者、そして好奇心旺盛な読者にとって、量子ビット、重ね合わせ、量子もつれ、そして現在のハードウェア上の限界という基本的な考え方を理解することは、この分野が今後10年でどのように進化していくかを追うための土台となる。

古典コンピューターはビットを扱う。各ビットは、ある時点で0または1のどちらか一方にしかなれない。量子コンピューターでは、量子ビット(qubits、Quantum Bits)と呼ばれる、イオン、光子、微小な超伝導回路のような物理現象が、0の状態、1の状態、あるいはその両方の「混合」状態に同時になり得る。この「混合」こそが、量子コンピューターに問題の可能な解の「空間」をはるかにうまく探索させる。

これを理解する1つの方法として、オンとオフの切り替えスイッチではなく、調光スイッチのようなものとして概念化してみるといい。ビットはオンかオフだが、量子ビットはその間の任意の段階を取り得る。そして計算上は、方程式の中で0と1を用いて表すことができる。多くの量子ビットを組み合わせると、可能な結果の数は指数関数的に増える。つまり、小規模な量子コンピューターであっても、古典コンピューターの能力を超える問題を解ける可能性があるということだ。

重ね合わせと量子もつれ

量子コンピューティングの構成要素となる量子物理学の2つの概念が、重ね合わせと量子もつれである。重ね合わせでは、量子ビットは測定されるまで、0と1が同時に存在するような、多数の状態を同時に取り得る。その後、量子ビットは1つの状態へと「収束」する。これは、古典コンピューターが解を逐次評価するのに対し、量子ビットは多くの解を並列に評価できることを意味する。

教授が示した例の1つは、10枚のドアのうち1枚の後ろに犬がいて、その犬がいるドアを選ばなければならないというものだった。つまり、犬がいるドアを見つけるには、それぞれのドアを1枚ずつ開ける必要がある。

では、その犬が1万枚のドアのどこか後ろにいるとしよう。古典コンピューティングでは、犬を見つけるまで1枚ずつ開けなければならない。しかし量子コンピューティングでは、1万枚すべてのドアを開け、犬の所在を見つけやすくする。

量子もつれ:量子もつれは、量子ビット同士を相関させることを可能にし、1つの量子ビットの状態が測定されたとき、それが同じ場所にあっても別の場所にあっても、その状態を知ることができる。量子計算において、もつれた量子ビットは、別々に計算できる独立したシステムではなく、相互依存するシステムのように振る舞う。重ね合わせと量子もつれにより、量子計算は誤った答えを減らし、正しい答えを指数関数的に増やすことができる。

量子コンピューターの主要な用途

量子コンピューターは、一般にあらゆることにおいて高速なわけではない。特定の種類の問題において高速なのである。現代暗号の多くの基盤である大きな数の素因数分解は、量子コンピューターが古典コンピューターよりもはるかに高速に解ける問題の1つだ。この過程では、ショアのアルゴリズムとして知られる量子コンピューターのアルゴリズムが、古典コンピューターよりも巨大な数をはるかに高速に素因数分解できる。これは現在の公開鍵暗号にとって問題となる。そのため、量子時代にも安全な「耐量子」暗号を開発する取り組みが進んでいる。

もう1つ極めて重要な領域が、量子系のシミュレーションである。自然そのものが量子力学の法則に支配されているため、量子コンピューターは、化学や材料科学の問題を古典コンピューティングよりも直接的に解ける可能性がある。量子コンピューティングには、医薬品開発を加速し、電池性能を向上させ、電子機器やエネルギー用途の材料を進歩させる可能性がある。量子コンピューティングの潜在的な応用分野としては、最適な物流経路や最適なシステム構成を見つけるといった最適化問題もある。

NISQ時代:現在の限界

現在の量子コンピューターは、まだプロトタイプにわずかに毛が生えた程度の存在である。これらはNISQ、すなわち「ノイズのある中規模量子(Noisy Intermediate-Scale Quantum)」の領域で動作している。「中規模」とは、数十、あるいは数百個の量子ビットを持つ可能性があることを意味するが、フォールトトレラントな量子コンピューティングに必要とされる数百万個の高品質な量子ビットには到底及ばない。

「ノイズ」とは、システムとその環境の間で生じる望ましくない相互作用を指し、それが量子ビットを乱し、誤りや量子情報のデコヒーレンスを引き起こす。ノイズがあるため、NISQコンピューターは、誤りが支配的になる前に、短い量子回路、つまりアルゴリズムの数ステップだけを含むものしか実行できない。ノイズのあるコンピューターで有用な出力を得るために、誤りを訂正する方法や、量子と古典を組み合わせたハイブリッドアルゴリズムの開発が進められている。

なぜ未来にとって重要なのか

量子コンピューティングはまだ黎明期にあるが、将来に向けた大きな可能性を秘めている。誤り訂正が可能な大規模量子コンピューターが開発されれば、複雑なシミュレーション、安全な通信、集中的な最適化に依存する科学分野に革命をもたらし得る。

一方で、量子コンピューターの開発そのものが、アルゴリズムや教育の分野においてパラダイムシフトを引き起こしている。いずれにせよ、少なくとも現時点で学生や専門家が有益に踏み出せる第一歩は、基礎となる概念について一定のリテラシーを身につけることだ。量子ビットとは何か、重ね合わせと量子もつれは何を意味するのか、そしてなぜノイズと誤り訂正がこれほど重要な考慮事項なのかを理解することである。そうしたリテラシーは、量子のツールキットが成熟したときにそれを活用するためにも、科学と世界最高水準の技術応用においてますます重要な分野になると見込まれるこの領域の主張や可能性を批判的に考えるためにも、人々を備えさせることになる。

forbes.com 原文

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