リーダーシップ

2026.08.04 09:03

セバスチャン・ペイジ:優れたリーダーシップの裏にある心理学

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今日のリーダーシップは、目立つかどうか、つまり、誰が最も大胆に語り、最も決断力をもって行動し、最も自信をみなぎらせているかによって判断されることが多い。

しかし、セバスチャン・ペイジは、真のリーダーシップはイメージではなく、自己理解から始まると考えている。

「キャリアの階段を上るにつれて求められる真のリーダーシップスキルは、話すことではなく聞くことだ」とペイジは言う。「リーダーとして傾聴力に優れていれば、より良い意思決定ができるようになる」

ペイジは、グローバルな資産運用会社であるT. ロウ・プライスの最高投資責任者(CIO)を務めている。5000億ドル(約78兆3000億円)以上の投資を運用するプロフェッショナルチームを統括している。

しかし、ペイジは単なる「数字の人」ではない。複雑なアイデアを実践的なものに落とし込むことで、ビジネスリーダーや意欲的なプロフェッショナルの間で知られる、受賞歴のある研究論文の執筆者でもある。

彼の最新の著書『The Psychology of Leadership: Timeless Principles to Improve Your Management of Individuals, Teams, and Yourself(リーダーシップの心理学:個人、チーム、そして自分自身のマネジメントを向上させる不変の原則)』は、スポーツ心理学者との長年の共同研究と、フォーチュン500企業での実地検証から得られた知見に基づいている。

「リーダーシップについては、いまだに多くの誤解が蔓延している」とペイジは言う。「まず、人々はリーダーを何よりもコミュニケーションの達人だと考えがちだ。私たちはインスピレーションを与えてくれる人物を求めており、それが人々の心に描くリーダー像だ。また、その人物は決して諦めず、ストレスを一切見せず、決断力に満ちている。しかし実際には、優秀なリーダーの多くは、その正反対であることの方が多い」

彼はさらに説明する。「優秀なリーダーにとって、ビジネスにおいて最も難しいスキルは、目標に固執することではない。いつ撤退すべきかを見極めることだ。『戦略的撤退』は、リーダーシップにおいて極めて重要なスキルである。なぜなら、私たちが投資するプロジェクトや取り組みは時にうまく機能しないことがあり、何かを断念して、より成功の可能性が高い取り組みに再投資するという決断を下すのは非常に困難だからだ」

彼が持つもう一つの直感に反する見解は、ストレスは有用であり得るということだ。「私が知る最高のリーダーたちは、実際にはストレスを受け入れ、それを活性化のエネルギーやパフォーマンス向上のための燃料へと再構成している」と彼は言う。また、優れたリーダーは「『戦略的忍耐』という極めて重要なスキルを備えていることが多い。決断が差し迫っている時期を察知することも大切だが、機が熟すのを待つことの戦略的優位性を理解することも重要だ」

「目標誘発性盲目」の危険性

ペイジは、意図が正しくとも、リーダーシップの実践が予期せぬ結果をもたらすことがあると警告する。「私たちは測定可能な目標が大好きだ。それはモチベーションを高め、組織の足並みを揃えるのに役立つ。『人類を月へ送りたい』といった測定可能な目標は、信じられないほど強力だ」と彼は語る。「だからこそ、私の原則は『副作用に注意せよ』ということだ。目標にとらわれるあまり、目標とは無関係でも、人生やビジネスにおいて依然として重要であるはずのあらゆるものを見失ってしまう『目標誘発性盲目(ゴール・インデュースド・ブラインドネス)』は、心理学の研究で十分に立証されている」

彼は具体的な例を挙げる。「例えば、ウェルズ・ファーゴは新規口座をできるだけ多く開設するという測定可能な目標を掲げていた。その結果、架空の口座を開設するという不祥事を起こした。フォルクスワーゲンは排ガス排出量を削減しようとするあまり、排ガス試験を不正に操作し始めた。これらは本来、最高の企業文化を持っているはずの、世界に名だたる優良企業だ。何十年にもわたり成功を収めてきた企業であるにもかかわらず、目標誘発性盲目に陥ってしまった。これは現実に起きていることであり、深刻な問題なのだ」

さらにペイジは、極めて個人的な体験を付け加える。「私はキャリアの初期に死にかけたことがある。完全に働きすぎていたのだ。原因不明の感染症にかかり、1週間入院し、生死の境をさまよった。自分の体をケアしていなかった。まさに純粋な目標誘発性盲目だった。これを避けることが極めて重要だ」

成功の方程式を逆転させる

ペイジは、よくある前提を覆す。「『目標を達成すれば幸せになれる』と考えるのが一般的だが、私が言いたいのは、『大体において幸福であれば、目標を達成できる』ということだ」と彼は言う。「この概念については、ハーバード大学のショーン・エイカーの功績を称えるべきだろう。彼はポジティブ心理学について多くの研究を行っており、著書『The Happiness Advantage(幸福優位の法則)』の中で、この方程式を逆転させることについて語っている」

ポジティブ心理学を学べば、その提唱者であるマーティン・セリグマンに行き着くだろう、とペイジは言う。「私が研究を行っていたときに非常に気に入ったポジティブ心理学のアクロニム(頭字語)が一つある。それが『PERMA(パーマ)』だ。これは、人々が長期的に繁栄し、生き生きとするための要素を示している。Pはポジティブ感情(Positive emotions)、Eは没頭・エンゲージメント(Engagement)、Rは良好な関係性(Positive relationships)、Mは意味・意義(Meaning)、そしてAは長期的な達成・実績(Long-term accomplishment)を表している」

良好な人間関係を維持し、自分の仕事に意味を見出し、より長期的な目標に焦点を当てれば、長期的にはリーダーとしても個人としてもパフォーマンスが向上する、とペイジは主張する。「ビジネスの世界はあまりにも短期志向に偏っている。私たちは10年先を見据え、より長期的に考える必要がある」

仕事の意味、人間関係、および人間的な側面

「企業社会において、自分たちがしていることの『意味』について語られることがいかに稀であるか、驚くほどだ」とペイジは言う。「十分な議論が全くなされていない。結局のところ、自分がしていることを、より大きなミッション(使命)に結びつけることが重要なのだ」

彼はよく知られた比喩を紹介する。「ある建築家が3人のレンガ職人のところへ歩み寄り、1人目に『何をしているのか』と尋ねた。1人目は『疲れたよ。レンガを積んでいるんだ。大変な仕事さ』と答えた。建築家は2人目のところへ行った。2人目はもう少し元気そうに『壁を作っているんだ』と答えた。そして3人目のところへ行くと、その職人は『とてもワクワクしているよ。昼も夜も働くつもりだ。素晴らしい大聖堂を建てているんだから』と言った」

ペイジはこれを、自身の専門分野である資産運用の世界に直接結びつける。「私の分野である資産運用に当てはめるなら、スプレッドシートに向き合っているアナリストに声をかけたとする。1人目は『スプレッドシートのバグを修正している』と答えるかもしれない。2人目は『市場を上回る成果を上げる方法を探している』と言うかもしれない。そして3人目のアナリストなら、こう言うかもしれない。『人々のより豊かな引退生活を築いているのだ』と」

彼はまた、些細な方法であっても人間的なつながりが重要であることを強調する。「世間話は単なる世間話ではなく、人間的なつながりであり、本当に重要なことだ」と彼は言う。「人間関係において、それが長期的な幸福をもたらす最大の要因であることを示す研究もある」

フィードバック、信頼、および問いかける勇気

ペイジは、自己認識こそがリーダーシップの基礎であり、リーダーが意図的に自己認識を養う方法について語る。「職場においてフィードバックは非常に重要だ」と彼は言う。「そして、すべてを一変させるちょっとした工夫がある。それは、自分からフィードバックを求めることだ。これだけで状況は劇的に変わる。リーダーはその実践の模範となるべきだ。チームのメンバーや同僚のところへ行き、『さっきの私の対応はどうだった?』と尋ねる。真摯にフィードバックを求め、相手が安心して意見を言える環境を整えること以上に重要なことはない」

また、チームを繁栄させるのは信頼であると彼は言う。「それは多くの場合、2つの重要な要素に集約される。1つは信頼、つまりお互いを信頼しているかどうか。そして2つ目は、相互の尊重だ。相互の尊重とは、常に親切で、過剰に同調することではない。『あなたを尊重しているからこそ、時間を割いてあなたの視点に耳を傾ける』という意味なのだ」

最も難しく、最も人間味のあるスキル

ペイジのリーダーシップ観は、挑戦的であると同時に極めて人間味にあふれている。「人々は自立性を求めている」と彼は言う。「マイクロマネジメントを行えば、それを奪うことになる。リーダーがすべての答えを持っているという神話は、もう捨てるべきだ。私たちは実際にはすべてを知っているわけではないのだから、リーダーはもっと頻繁に、そして堂々と『私にはわからない』と言うべきなのだ」

そして最後には何が残るのか。「リーダーシップとは、単に何をするかではない」とペイジは言う。「それは、あなたがどう考え、どう感じ、そして他者の人生においてどのような存在として現れるかということなのだ」

真のリーダーシップは役員室で始まるのではない。心の中で始まるのだ、と彼は示唆している。

forbes.com 原文

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