厄介なメールを受け取ったリーダーが苛立ちをチーム全体にぶつけるのを見たことはないだろうか。わずか数分のうちに、1つの感情的な反応がその人のリーダーシップを形づくり、周囲の人は実際よりも全てが順調に進んでいるかのように振る舞う。
リーダーの感情が個人的なものにとどまることはほとんどない。会話や意思決定を通じて驚くほどそのまま表に出る。感情調整とは自分の感情に気づき、その感情を引き起こしているものを理解し、状況に適した対応を選ぶ能力のことだ。怒りを抑え込むことや対立を避けることではない。感情に支配されることなく、感情を情報として活用することを意味する。
米イェール大学の感情知性センター所長であるマーク・ブラケットが2025年10月に説明したように、感情調整には、自分の目標や価値観に沿った反応を助ける意図的かつ習得可能なスキルが含まれる。
リーダーにかかるプレッシャーは高まっている
こうしたスキルの必要性はますます無視できないものになっている。50カ国超のリーダー1万796人から得た回答に基づいたDDIの調査『グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト』2025年1月版では、71%が現在の役職に就いて以降、ストレスが大幅に増えたと回答した。ストレスを抱えるリーダーのうち40%は自分のウェルビーイングを守るためにリーダー職を辞めることを考えたことがあった。
従業員はそれぞれ不安を抱えている。アメリカ心理学会は2025年5月、調査対象となった米国の労働者の54%が雇用不安で大きなストレスを感じていると報告した。プレッシャーはあらゆる1対1の面談や人事評価で感じられる。それを調整できないリーダーは反応的になる可能性がある。するとチームは仕事ではなくリーダーを管理するためにエネルギーを使うことになる。
ストレスから「この状況は負担が大きい」と感じる。
感情調整ができていないと「ほかの人も皆、私が抱えているストレスを味わうべきだ」と考える。
リーダーに見られる感情調整不全とは
感情調整不全は必ずしも声を荒らげたり、怒って会議から退出したりする形で現れるわけではない。洗練され、自制がきいているように見えることもある。問題となるのは、リーダーの感情状態がリーダー自信の判断やコミュニケーション、行動に影響を及ぼし始めたときだ。
一般的な兆候には、次のようなものがある。
・状況を理解する前に反応する。リーダーは何が起きたのか確認する前にコメントやメール、ミスに反応する。
・質問を挑戦と受け取る。説明を求められることを抵抗ととらえ、意見の相違を個人的な攻撃と受け止める。
・異常に支配的になる。ストレスにより、過度な進捗確認、土壇場での修正、本来は誰かに任せるべきだった判断が増える。
・優先順位を衝動的に変える。事実が変わっていなくても、苛立たしい進捗報告を受けた途端、それが緊急事態になる。
・言葉で伝えないことを口調で伝える。短い返答や露わな苛立ち、緊張感の漂う会議によって、従業員は何が問題なのかを推測しなければならなくなる。
・立ち直るのに苦労する。喫緊の問題が過ぎ去った後も、その感情が長く続く。



