ごく最近まで、インファンティーノが各国の協会幹部から絶大な人気を集めていたことはまぎれもない事実である。約10年前に初当選して以来、彼はFIFAの収益を大幅に増加させた。ワールドカップの出場枠を32カ国から48カ国に拡大したほか、資金力に乏しい小規模国の「サッカー発展」の擁護者としての地位を確立することで、彼は各加盟協会からの支持を確固たるものにしてきた。
ここ数カ月間、彼は2027年3月の会長選での再選に向けて猛烈なロビー活動を展開している。今年5月のFIFA総会では、今後4年間で各協会への分配金を20%増額し、少なくとも総額27億ドル(約4200億円)に引き上げる公約を掲げた。ロイター通信によると、この公約はFIFAの育成助成金として数百万ドルを受け取るバヌアツやブータンのような小規模国の支持を固める上で極めて効果的だという。彼は特にアフリカサッカー連盟(54票)と南米サッカー連盟(10票)の加盟国から圧倒的な支持を得ているほか、オセアニアサッカー連盟(11票)やアジアサッカー連盟(46票)もおおむね彼を支持している。ただし、アジアサッカー連盟(AFC)は今回のワールドカップ民営化案には批判的な姿勢を示した。
FIFAは先週初め、新会社「FIFAフォワード・エンタープライズ」の株式20%を評価額200億ドル(約3兆1400億円)で売り出し、今年度中に推定42億ドル(約6600億円)の資金を調達する計画を発表した。FIFAは新会社の筆頭株主としてとどまり、大会や試合の日程策定、ガバナンス、規制に関する決定権は引き続き維持すると説明していた。
しかし、この構想に対する反発は瞬く間に広がった。「サッカーはFIFAが売り飛ばしていいものではない」などの非難があがり、ワールドカップ(FIFAは出場枠を64カ国に拡大することを検討中)が、投資家のための単なる金儲けの手段に成り下がると警告した。また、決定プロセスそのものも各連盟の怒りを買った。計画が公表されるまで事前の協議が一切なかったためだ。
インファンティーノのシニアアドバイザーを務めるカルロス・コルデイロはこの計画への抗議のために辞任し、FIFAのケビン・ラムールCOOも、この独断的なスキームの不透明さによってスタッフが「騙された」と怒りを露わにしている。UEFAとCONCACAFの加盟国は満場一致で反対を表明し、AFCも批判的な立場をとった。


