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経済・社会

2026.08.05 17:15

ロシアが追加派兵を要請か、北朝鮮が兵士の命と引き換えにするものは

silver bug - stock.adobe.com

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ウクライナのゼレンスキー大統領は7月25日、ロシアが北朝鮮兵士の追加受け入れを準備していると明らかにした。追加派兵の規模は3万人で、ロシア南西部のボロネジ州で受け入れる準備が6月から始まったという。北朝鮮製弾道ミサイルをロシアに追加供与する準備も進められているとした。

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北朝鮮は2024年10月、ロシア南西部のクルスク州に兵士を派遣。これまでの推計では派兵規模は1万4千人にのぼり、約7千人が死傷したとの情報もある。死亡した北朝鮮軍兵士の遺品などから、北朝鮮兵士は当初、ウクライナ軍のドローン(無人機)攻撃に対応できず、多数の死傷者を出した。その後、少人数に分散し、一人がおとりになる間に他の兵士がドローンを撃墜する戦法を駆使し、大幅に死傷率が改善したとされる。

北朝鮮軍はこれまでウクライナ領に侵入したことはなかった。ただ、ウクライナ東部のドンバス地方では膠着状態が続いている。北朝鮮は2022年7月、ウクライナの親ロシア勢力が打ち立てた「ドネツク人民共和国」と「ルハンスク人民共和国」を国家承認した。ロシアによる同年10月の「両国」の併合も、北朝鮮は合法だとしている。このため、北朝鮮の立場では、ドンバス地方はロシア領であり、ロシアを防衛するために同地方への侵入は問題ないということになる。

ただ、北朝鮮が3万人をドンバス地方に投入しても、血みどろの戦いに陥る可能性が高い。陸上自衛隊東北方面総監を務めた松村五郎元陸将によれば、これまでの地上戦では膠着状態になると、敵対する両陣営は直接射撃されることを避けて、それぞれ前線から約800メートル離れた場所に布陣していた。ところが、ドローンの出現により、現在は距離が約10キロまで伸びたという。敵味方で計20キロの地帯が「キルゾーン」になり、容易に前進できない状況を生んでいるという。

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松村氏によれば、ウクライナ軍が使用しているドローンは、最短3日ほどでソフトウェアが更新されるという。松村氏は「スマホの更新と同じくらいのスピード。AI(人工知能)を駆使し、ロシア軍のドローンに対するカムフラージュ、行動パターン、配置などを分析し、見破って攻撃する」と語る。

ラトクリフ米中央情報局(CIA)長官は7月15日、ウクライナのAI搭載ドローンは「殺傷能力を高めた兵器」に進化したと指摘。新たに前線に投入されたロシア兵の生存時間は「推定でわずか20分から30分にすぎない」とする分析結果を紹介した。

北朝鮮軍がクルスク州での戦闘である程度奏功した戦法も、進化したウクライナ軍のドローンには太刀打ちできない可能性が高い。逆の見方をすれば、北朝鮮は兵士の投入によって、最新の対ドローン戦術を習得できる。米ランド研究所の元上級アナリストで朝鮮半島の安保事情に詳しいブルース・ベネット氏も「北朝鮮の追加部隊がウクライナの戦争の現実に適応するには時間がかかるかもしれない。しかし一度成功すれば、クルスク州で得たとされる成果を再び収める可能性が高い」と語る。

また、韓国外交省で長く北朝鮮核問題に取り組んだ、韓国の金健国会議員はSNSに、北朝鮮は追加派兵の条件として、ロシアから核兵器や原子力潜水艦、偵察衛星などの最先端軍事技術の獲得を狙うだろうと投稿した。ロシアは、政治的に不安定な北朝鮮に対して核技術などを譲渡することに極めて慎重になるとみられるが、北朝鮮は何らかの対価を得る可能性がある。

もちろん、北朝鮮が得た対価の一部が遺族に渡る可能性はあるが、大半は軍や党、政府のエリート層に回ることになるだろう。

文=牧野愛博

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