━━「波長全部」というのはどういう意味ですか。
竹内 光の波長の違いです。赤外光のものもあれば、可視光の緑や青も使われる、というように、いろんな波長のレーザが使われるということです。私が言った「波長全部」というのは、それらを全部含めた市場全体のことです。我々が得意な深紫外だけだと市場規模はもう少し小さくなりますが、それでも全体を考えると何百億円規模になりそうなので、すごく魅力のある市場だと思っています。
━━この市場の発見には、何かきっかけがあったんでしょうか。
古川 量子コンピュータがずいぶん話題になって、最初はIBMの超伝導方式が先行していたんです。その後、中性原子やイオントラップ、光量子タイプといった様々な方式が出てきました。そうした方式ではレーザ、つまり光が重要な役割を果たすため、「レーザが必須になる」という話になってきたんです。そこで私たちも、量子コンピュータ向けレーザ市場の可能性に注目するようになりました。
━━いつぐらいから取り掛かり始められたんですか。
古川 私たちが量子用途を認識し始めたのは4年ぐらい前ですが、私たちが創業したときは、青紫色のレーザーを発生する酸化物結晶の実用化を目指してオキサイドを立ち上げました。当時はブルーレイ向けの用途を想定していて、パナソニックさんやソニーさんが私たちの結晶を使う方式の開発を進めていました。しかし、その後ノーベル賞にもつながった青色半導体レーザが実用化されたことで、私たちの結晶を用いる方式は主流にはなりませんでした。
ところが、量子コンピュータの発展によって状況が変わりました。中性原子方式やイオントラップ方式などでは様々な波長の光が必要になり、その光を作り出すために単結晶を用いた波長変換技術が重要になってきたのです。
面白いですよね。私たちがやっている技術そのものは創業当時から大きく変わっていません。ところが、その技術が活躍する市場や用途が大きく広がった。今では半導体向けのレーザや量子コンピュータ向けのレーザにも展開していますし、事業領域も単結晶だけでなく、デバイスやレーザへと川下側に広がってきました。
━━範囲がどんどん広まっていくんですね。
古川 そうですね。私たちがやっていることの根幹は結晶技術です。その強みを生かしながら、応用分野や事業領域を広げてきました。
302nm帯のレーザ開発に取り組む企業もありますが、私たちは材料から手掛けている強みがあります。そうした材料技術の優位性を生かして、高性能で信頼性の高いレーザを実現できていると考えています。


