経営・戦略

2026.08.20 13:30

普通のコンサルは消える 創業5年で売上100億円を超えるグロービングのAI戦略

福田浩基|グロービング取締役CSO(写真左)・田中耕平|グロービング代表取締役社長(同右)

福田浩基|グロービング取締役CSO(写真左)・田中耕平|グロービング代表取締役社長(同右)

AIの急速な発展によって、コンサル業の存在意義が問い直されている。人月型の「普通のコンサル」は消えると言い切るふたりの経営者。既存のコンサルとも、AI企業とも異なるアプローチで業態の再定義に挑む。

advertisement

戦略コンサルティングとAI事業を両輪とするグロービングの成長速度が際立っている。2021年3月の事業開始から3年半で東証グロース市場に上場し、わずか1年半後の26年4月にはプライム市場へ移行。事業開始から5年で売り上げは100億円を超え、営業利益は40億円越えを見込み、直近の第3四半期にはAI関連の売上比率が50%近くに達した。AIがコンサルティング業の前提を突き崩す今、経営を担うふたりに針路を聞いた。

──グロース上場から1年半でのプライム移行は異例の早さ。なぜ急いだのか。

田中耕平(以下、田中)いずれ移行するなら、基準を満たした時点で早く済ませたほうがいいと、上場前から考えてた。プライム上場企業にしか投資できない機関投資家は多い。移行すれば投資家層が広がり、会社の信用力も上がる。市場変更を先に終えてしまえば、あとは事業の成長に集中し、業績で投資家の裾野を広げていける。我々は時価総額1兆円、10兆円という目標を口にしているが、大事なのは数字ではなく、それに見合う社会的インパクトをもつ会社に早くなること。プライムは通過点にすぎない。

advertisement

──AIコンサルを掲げる競合は多い。突出した成長を支える強みは何か。

田中:従来のコンサルティングは、外部から提言し、実行はクライアントに委ねるのが基本形だった。我々は創業時から、実行に踏み込んで事業を実際に動かし、成果が出るまで手伝うことを信条にしてきた。それをさらに推し進めたのが、経営人財を顧客企業の中枢に送り込む「ジョイント・イニシアチブ(JI)」だ。企業のなかに入り、一定の権限をもって動く。

「伴走型」を掲げるファームとも違う。並走するのではなく、先頭に立って引っ張る。社内では登山ガイドになぞらえて「シェルパ」と呼んでいる。提言を本業とする大手は、どうしても実行の手前で止まる。事業を動かし全社変革を主導できる人材を揃え、成果に責任をもつ。これを真摯にやり切れる会社は、実はほとんどない。

福田浩基(以下、福田)「顧客のほうを向く」という当たり前のことが、実はいちばん難しい。大手ファームは組織が肥大化し、ジュニアを何人投入していくら、という人月ビジネスが常態化している。我々の言う「戦略コンサルティングの再定義」とは、この歪みを本来の姿に戻すことだ。頭数ではなく成果に報酬をいただき、2年でも3年でも企業のなかに入ってやり切る。忘れられていたクライアントファーストへの回帰こそ、お客様に最も評価されている部分だと思う。

──決算からは利益率の高さも際立つ。なぜ稼げるのか。

田中:契約の起点が違う。「これだけのビジネスインパクトを出すので、フィーはこの金額です」と最初に合意して入る。ほかのファームが5人で組む案件を我々は3人で担うなど、AIを活用し少数精鋭でサポートすることも珍しくない。当初は「足りるのか」と心配されるが、従来を上回る成果を出すと驚かれる。若手が担っていた作業はAIに置き換え、人員構成もマネジャー以上と若手がほぼ半々。一人当たりが生み出す価値の大きさが、高い単価と利益率の源泉だ。

福田:大手はピラミッド型の組織で、ジュニアの稼働で売り上げを積む。我々は逆で、半分以上がマネージャー以上の「鉛筆型」だ。実際にプロジェクトを推進し、人を動かせるのはこの層だ。シニアが結果まで責任をもつからこそ、高い単価にお客様も納得する。

次ページ > AI関連の売上比率が50%に

文=加藤智朗 写真=ヤン・ブース

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事