──直近ではAI関連の売上比率が50%に達し、なかでも顧客とのAI共同開発案件の伸びが著しい。
福田:業績を牽引しているのはAIだが、単なる導入支援ではない。AIブティックは実装だけを請け負い、経営の何につながるかを設計しない。逆にコンサル会社は戦略を語るが、実装が伴わない。我々は戦略から実装までを自社のエンジニアも含めて一貫して担う。もうひとつの違いは目的設計だ。効率化だけでは現場は「自分は不要になるのか」と反発する。人材育成や売り上げ拡大まで含めて「会社が良くなる」かたちで導入するからこそ、共同開発の相手に選ばれている。
田中:共同開発では、コンサルタントとAIエンジニアがクライアント企業に入り、クライアント社内の暗黙知を学習させたAIを一緒につくる。ある導入先では、会議の効率化ツールで無駄な会議が減り、議事録作成の工数はほぼゼロになった。企画資料の作成支援ツールは、あえてAIに答えを書かせず、改善すべき箇所の指摘に徹する設計にした。若手が思考のプロセスを学べるようにするためだ。資料作成の効率が30%上がり、人材育成にも効くと評価されている。
暗黙知のAI化で顧客の「経営OS」へ
──今後の成長戦略の中核に「経営OS」を掲げている。何を指すのか。
田中:JIで経営人財を送り込み、同時にAIをクライアント企業のなかに埋め込む。企業が自ら成長し続ける基盤をつくる、これが経営OSだ。AI側の要が、今開発している「暗黙知プラットフォーム」だ。企業内に眠る判断のノウハウをAIに学習させる基盤で、このうえに各社の業務に特化した「意思決定AI」を載せていく。整えば、数カ月かかる開発が数週間で成果に到達するようになる。なお、暗黙知はクライアントの資産で、他社への流用は絶対にしない。差別化の源泉が消えてしまうからだ。
福田:経営の意思決定は4つの工程に分けられる。問いを設計する、リサーチ・分析する、論理的な答えを出す、実行して回す。中間の2工程は、すでにAIのほうが圧倒的に速い。人間に残るのは、最初の問いの設定と、最後の実行だ。しかも競合がAIで1週間単位に戦略を変えてくる時代には、3年の中期計画を粛々と回すやり方は通用しない。実行人材が戦略の頭脳を併せもち、週単位で軌道修正する必要がある。中間工程を暗黙知プラットフォームと意思決定AIが担い、問いと実行をJIの経営人財が担う。この組み合わせが機能したとき、我々はクライアント企業のOSになる。
5年後以降は、その先も見ている。AIと経営のノウハウが蓄積されれば、クライアントに提供するだけでなく、企業をグループに迎えて我々が経営するという道も開ける。ファンドのように数年で売却するのではなく、永続保有を前提にノウハウを注ぎ込み、共に成長し続ける。それこそが最大の社会貢献になるのではないか。そんな構想も視野に入れている。
──今年2月の「アンソロピック・ショック」以降、コンサル上場企業の株価は軒並み調整した。逆風をどう見るか。
田中:コンサルタントの仕事がAIに置き換わるという見立ては、我々が以前から公言してきたことだ。それが想定より早く現実になっただけ。人月型の「普通のコンサル」は消えていく。我々は消える側ではなく、再定義する側だ。


