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サイエンス

2026.08.04 18:00

体色を一瞬で変える「スパイダーマン・トカゲ」、派手な色の裏にある真実

ムワンザ・フラットヘッド・ロック・アガマ(stock.adobe.com)

2019年に『Biology Letters』に掲載された研究はまさに、このトレードオフを調査したものだ。アガマ科の近縁種を対象に、トカゲの模型を野生の環境に置いて行なったこの研究の結果、捕食者に攻撃される頻度は、最も派手な体色のパターンを持つ個体の方が、地味な色の個体をはるかに上回ることがわかった。

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ダイナミックに体色を変える近縁の種を研究している爬虫類学者によると、こうした種のオスは、あたりが暗くなったり、ひどく驚いたりした時は、地味な茶色に戻る傾向があるという。つまり、生殖面でのメリットが、目立つことのリスクを凌駕している時にだけ、派手な「コスチューム」をまとい、リスクの方が上回っていると判断した瞬間に、それを脱ぎ捨てるということだ。

岩山に立つスパイダーマン・トカゲ(stock.adobe.com)
岩山に立つスパイダーマン・トカゲ(stock.adobe.com)

一般の印象とは異なる「スパイダーマン・トカゲ」の真実

カメレオンの場合は、カモフラージュの目的や、気分によって体色を変える。アガマ科のトカゲでも同じだと思いたくなるが、この種に関しては、カメレオンとは真逆の理由が、より真相に近い。こちらでは、もともとの茶色がかった地味な体色が、実は周囲に紛れこむためのカモフラージュであり、派手な色の表出は、そこから意図的に逸脱した状態なのだ。まさに、注目を集めるために色を変えているのだ。

このトカゲは、生涯の大半を、生息場所の花崗岩の色に紛れるようにして過ごす。「スパイダーマン」化は、いわば計算された例外的瞬間だ。これは、周囲の環境に対する受け身の反応ではなく、ライバルの登場や、自分を受け入れそうなメスが近くにいるタイミングを見計らって実行に移される。

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これはまた、表面的には「ネットで写真が拡散した」という印象しかない動物でも、その体内では、進化による大きな作用が働いていることを、改めて思い知らせてくれる事例でもある。

アメコミのヒーローを思わせる色を持つことで、ソーシャルメディアで多少有名な存在になった岩場に棲むトカゲは、その体内に、ホルモンによって駆動するシグナル送出の仕組みを擁している。これは、常に取っ組み合いの争いにエスカレートすることなく自らの地位を伝えたり、求愛の意図を相手に示すための手段であり、どのマーベル・コミックスのヒーローよりも効率的な、爬虫類ならではの争いの解決法と言えるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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