グロースIPO175社のうち、8割が初値を下回る。何が上場後のパフォーマンスを分けるのか。データから読み解き、新興市場のリアルな全体像に迫る。
本誌が2023年以降にグロース市場に上場した175社の株価パフォーマンス(26年月末時点の終値ベース)を検証したところ、公募価格基準では57.7%(101社)、初値基準では79.4%(139社)が上場時より株価を下げていることがわかった。公募価格は上回っても、上場当日の初値を維持できない企業が大半を占める。
株価パフォーマンス上位100社で見ても傾向は同様だ。公募・初値ともに上昇しているのは36社。公募価格は上回るものの現在の株価が初値を下回る企業29社、両方で下げた企業34社の「初値を下回る企業(計63社)」が過半数を占める。上場年別に見ると、23年上場組は初値ベース平均11.0%、24年上場組は同10.0%の上昇にとどまるのに対し、25年上場組は同33.6%の上昇と、直近の上場組のほうがパフォーマンスは良くなる傾向があらわれた。
初値ベースの上昇率上位には、事業承継や宇宙・ドローン、エネルギーインフラなどテーマ性を持つ企業が並ぶ。首位は技術承継機構(初値ベース486.3%上昇)、2位はパワーエックス(399.1%上昇)、3位はTerra Drone(256.2%上昇)、4位はLiNKX(251.2%上昇)、5位はクオリプス(157.4%上昇)。
一方、東証プライム相場を牽引するAI・半導体のメガトレンドは、グロース市場のIPO銘柄には一様に波及していない。上位100社に含まれるAI・半導体関連7社のうち、初値ベースで上昇したのはAeroEdge(84.5%上昇)とAiロボティクス(52.5%上昇)の2社のみ。なかでもAeroEdgeは公募ベースで539.8%増と際立った。残る5社は下落しており、半導体分析のクオルテックが27.4%低下したほか、Ridge-iやLaboro.AI、ファーストアカウンティング、HmcommといったAI関連は軒並み30~40%台の低下となった。Ridge-iなどは公募価格は上回ったが初値水準は維持できず、テーマ性があっても初値維持は容易ではない実態が浮かび上がった。
そもそも本誌が今回の調査を始めたひとつのきっかけが、市場関係者の間でささやかれる「VC出資先は(上場後に)伸びづらい」(大手監査法人IPO担当)との声だった。実際に上位100社を分析すると、VC無(36社)は初値ベース平均34.6%・公募ベース平均91.1%の上昇。VC有(64社)は初値ベース平均7.5%・公募ベース平均45.1%の上昇にとどまった。公募ベースで見るとVC無はVC有の約2倍の上昇率だが、初値ベースでは約5倍とその差は拡大した。個別銘柄のばらつきも大きいが、いずれもVC無が優勢という結果だ。その象徴とも言えるのが、上位に並ぶ技術承継機構やパワーエックス、ククレブ・アドバイザーズなどだ。技術承継機構は公募ベースでも691.5%増と圧倒的な上昇率を記録した。
別の角度から、初値時点でどれだけ先取りされていたかという視点で見ると、対照的な2社が浮かび上がる。アイビスは初値が公募価格の約2.9倍まで買われた状態からスタートしたが、そこから公募ベースで415.8%増まで、初値ベースでも77.5%上昇した。一方、テクノロジーズやZenmuTechは、初値が公募価格の3倍超まで買われており、公募ベースでは150~200%超の上昇となっているものの、初値ベースでは17~18%台の低下となっている。同じように初値の時点で強く先取りされていても、その後の値動きは明暗が分かれており、先取りの度合いだけで上場後のパフォーマンスが決まるわけではない。
上場はゴールではなく、スタートラインにすぎない。IPO後にどれだけ成長力を示せるかが問われている。
グロースIPO企業の株価パフォーマンスランキング100
注:グロービングはプライム市場へ区分変更 ファンド出資をVC扱いとした




