企業が「未来の働き方」への投資を続ける一方で、レイオフ(人員削減)が「効率化」と位置づけられていることには、ある種の皮肉を感じざるを得ない。大手IT企業では2026年、パンデミック以降で最多となる数千人規模のレイオフが相次いだ。人員再編の多くは、AI施策の推進や、よりスリムなチーム運営への合理化と結びつけられている。
Metaは今年、従業員の約10%を削減した。同時に、AIインフラ予算と主要株主向けのインセンティブへ投資を振り向けている。
Amazonは、管理階層と業務上のボトルネックを減らす取り組みの一環として1万6000人の職を削減した。AIとクラウドサービス(AWS)における最重要分野へリソースを再配分するためだ。
Oracleは、単独のテック企業では今年最大規模のレイオフを実施し、従業員約3万人を削減した。
法人向けソフトウェア開発のオーストラリアAtlassianは10%、金融ソフトの米Intuitは17%、ネットワーク機器開発の米Cisco Systemsは4000人と、レイオフを実施する企業は後を絶たない。
こうしたレイオフは、世間向けには「データセンターや自動化、プロダクト開発、その他のAI活用基盤を含むAI能力へ投資を振り向ける必要がある」と説明されてきた。
もちろん、レイオフをめぐっては「AIウォッシング」への強い疑念もある。これは、実際には業績不振などAI以外の要因によっていずれ起きていた人員削減について、企業がAIを主因として掲げることを指す。
結局のところ、AIウォッシングは企業を表面上よく見せ、レイオフにもっともらしい口実を与える。
以前フォーブスに掲載された記事では、雇用主がAIブームに早急かつ過剰に賭け、AIへの期待と約束を理由に従業員を解雇した結果、のちにその判断を後悔する場合に生じる品質低下のコストについて述べた。
本稿ではこの議論をさらに深め、以下の点について検証したい。雇用主は未来に投資し、それを設計していると言いながら、その未来の設計者自身を設計プロセスから排除することが、どうして可能なのか。



