つまり、最近の従業員は自身の効率性を隠している。新しいスキルを学んだり、プロセスを再考したり、ビジネスが次に必要とするものに備えたりするためにその時間を使う代わりに、彼らはPC画面上でカーソルを動かして操作している振りをしているのだ。ドキュメントを開いたままにし、メッセージへの返信を遅らせることで、後からでも忙しくしているように見せかける。同調査では、生産性監視ツールを導入している企業で働く従業員のうち、63%が、監視されていることでかえって活動を偽装する傾向が強まったと回答している。
このパターンは組織図の上層部にも及んでいる。同じ調査では、マネージャーの73%が「自身のボスに対して生産性を偽装している」と認めている。従業員にこのような行動を取らせる原因が何であれ、彼らを管理する側の人々にも全く同じ現象が起きているのだ。
また、仕事を早く終えても何の影響もないとしたらどうするかという質問に対し、71%がすぐにログオフすると回答した。仕事が終わればやめてもよいと許可された労働力は、忙しく見せるための時間をでっち上げるのではなく、大半がそこで仕事を止める。組織図のどのレベルにおいても、人々は組織が評価するものに対して合理的に反応しているだけなのだ。
この米国での調査結果は、例外的なものではない。Indeedがドイツでハイブリッドワークを行うオフィスワーカーを対象に実施した調査では、3分の2が、より生産的、あるいは熱心に取り組んでいるように見せるための意図的な行動をとったことがあると回答した。4分の1以上がオンラインステータスを不自然にアクティブに維持しており、56%が、雇用主は測定可能な成果よりも「存在感(席にいること)」を重視していると考えていた。
これこそ、指標が目的化されてしまったときに起こることだ。人々は、組織が求めているシグナルを送り出すことを学習する。
存在感が測定されれば、彼らは視界に入り続ける。メッセージの数が測定されれば、メッセージを送信する。完了したタスク数が測定されれば、仕事をより多くのタスクに細分化する。AIの利用量が測定されれば、より多くのトークンを消費する。
企業はより多くの活動(アクティビティ)を手に入れる。しかし、それが必ずしもより多くの価値をもたらすとは限らない。
なぜAIの生産性指標は従業員の価値を見誤るのか
従業員を無駄な作業へと駆り立てるこうした代替指標は、評価や雇用に関するより重大な意思決定にも影響を及ぼす可能性がある。そのリスクは、Meta(メタ)のレイオフをめぐり、同社の従業員26人が最近起こした訴訟で浮き彫りになった。


