事業継承

2026.08.03 08:31

リーダーが次のリーダーを育てる組織のつくり方

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あるディレクターが「私はもっとできると思います。そうしたいのです」と言ったとき、私には何よりうれしい言葉に聞こえた。私の返答はこうだった。「わかった。では、それを証明してほしい」。私は彼女に、自分の強み、潜在能力、関心により合った新しい職務記述書を書くよう課した。この取り組みが、より大きなリーダーシップを発揮でき、昇進の余地もある新たな役割をつくる出発点となった。彼女は現在、当社のリーダーシップチームで重要なVP職を務めており、私の後継候補の1人である。

数年前、あるメンターが私に「人を育てなさい。そうすれば、その人たちが事業を育てる」と教えてくれた。これは私のリーダーシップにおける大きな転機の1つとなり、意欲的な従業員により多くの裁量を与えるきっかけを幾度となく与えてくれた。また、後継者を育てることを、私のリーダーシップスタイルの中核に据えることにもつながった。

事業の観点から見れば、後継者計画は継続性を保つうえで理想的である。しかし、先を見越した後継者計画は、事業継続や安心して休暇を取れることをはるかに超える意味を持つ。多くのリーダーは、自分が取って代わられることへの恐れから、後継者計画を避ける。その恐れを克服できるかどうかは、自分の周囲にどのような文化を築くかにかかっている。縄張りを守ることではなく、他者を育てることが評価される環境であれば、後継者を育てることはリーダーシップの自然な延長となる。

強固で後継者を育てやすい文化を築くための6つの方法を紹介する。

1. 協働型のリーダーシップを実践する

健全な組織は、1人の意思決定だけに頼ることはできない。1人で考えるよりも、2、3人の頭脳で課題を突き詰めるほうが、大抵は優れた結果をもたらす。後継者候補があなたとともに事業を動かせるだけの力を備えていれば、日々の仕事の質は、あなた1人で成し遂げられるものをほぼ常に上回る。

当社の経営陣は、共に問題を解決する。「私のやり方に従うか、さもなくば去れ」という姿勢ではなく、全員がプロセスに当事者意識を持てるようにしている。これにより、誰もがリーダーシップを体験できる。リーダーが事業の重要な意思決定に関与していると感じると、実行と成果により深くコミットするようになる。

2. 従業員に安全に失敗させる

当社のある事業部門リーダーが、あるクライアントとの取引規模を拡大する機会を得た際、大幅に低い価格を提示した。私は当社の価格設定は標準化されており、そこまで低くはできないと伝えた。しかし、そのリーダーはクライアントが将来的に成長し、失われた利益はいずれ取り戻せると確信しており、「信じてください」と言った。

私は、その販売を止めて会社の最終利益を守るべきか、それともそのリーダーに裁量を与え、当面の収益性をリスクにさらすべきかを決めなければならなかった。その人物の意欲を理解していた私は、もし失敗しても、その埋め合わせをしようと奮起するだろうと考えた。そこで彼を信じることにした――そして結果的に、失敗に終わった。

短期的には会社の収益性を損なった。しかし、その事業部門リーダーは自分の判断に責任を持ち、新規事業を獲得し、料金を引き上げるあらゆる機会を捉えた。長期的には、最初にその案件をまったく獲得していなかった場合よりも、会社は高い収益を上げることができた。

この話の教訓はこうだ。人には安全に失敗させるべきである。小さな失敗は、かけがえのない学びをもたらす。責任あるリーダーは、仲間が自分自身や事業を大きく傷つけることなく失敗できるよう、境界線を設ける。最悪のシナリオを見極め、それを受け入れられるなら、従業員に挑戦させるべきだ。

3. 自分のチームを擁護する

ある日、私はチームに「私たちのネットワークで最も重要な人物は誰か」と尋ねた。彼らは1人ずつ、当社のシニアリーダーの名前を挙げた。私は「私のアシスタントだ」と答えた。彼女は組織全体の情報を把握している存在であり、日々何が起きているかを最も包括的に理解している。この会話は、私のチームの見方を変えるきっかけとなった。全員の仕事における彼女の重要性をよりよく理解するにつれ、私のアシスタントに対する彼らの態度は変わり始めた。過小評価されている仲間を引き上げるリーダーは、より健全で幸福度が高く、一体感のあるチームを支える。

4. 責任を委ねる

私が出張や私用の旅行で不在にするときは、責任者を持ち回りにしている。この責任を経営陣のメンバーに任せる場合でも、私のアシスタントに任せる場合でも、誰もが確実にその課題に応え、毎回私の期待を上回ってくれる。全員が何をすべきか、問題が生じたときに誰と話し合うべきかを理解している。こうした当事者としての機会が、私のチームに新たな形で成長する力を与えている。

5. チームに投資する

当社では、リーダー職にいる全員がエントリーレベルの職務から始め、昇進してきた。私自身もそうである。リーダーとしての仕事は、内発的な意欲を持つ従業員を見極め、そのスキル向上や学びの継続を支援するためにできる限りのことをすることだ。信頼され、権限を与えられていると感じる従業員は、ほぼ常に期待以上の成果を出す。

6. 現実的な期待値を設定する

仕事を9時から5時までの職務と捉える従業員もいれば、生涯にわたるキャリアとして深く関与する従業員もいる。自分の従業員がそれぞれどちらのカテゴリーに当てはまるのか、自分自身に正直になるべきだ。より多くを望む人には、専門性の成長を支える機会を提供する。自分のチームの人々と、彼らが何を望んでいるのかを知ることだ。

最も効果的な後継者計画は、あらゆる階層の従業員を育成し、巻き込み、力づける文化を通じて築かれる。リーダーシップ開発が一時的な取り組みではなく継続的なものであれば、企業はより強い意思決定、より幅広い視点、より厚みのあるリーダー人材のパイプラインから恩恵を受けられる。そうなれば、後継者計画はリーダーを置き換えることではなく、リーダーを絶えず育て続けることになる。

forbes.com 原文

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