暗号資産

2026.08.03 11:30

「ビットコインの終焉」を巡る耐量子技術の攻防──約73兆円は守られるか

stock.adobe.com

stock.adobe.com

「ビットコインが消えるまであと4年だと思う」。金(ゴールド)投資アプリVaultedの最高経営責任者(CEO)、デービッド・マカルバニーはポッドキャスト「On The Margin 」でそう語った。「4年以内に量子コンピューティングが実現し、それがビットコインの終わりになる。数学上の問題をすべて瞬時に解けるからだ」。

「それが4年後なのか、5年後なのか、2カ月後なのかはまったくわからない」と彼は付け加えた。2026年半ばの時点では、そうした機械は存在しない。だが、その脅威には現在、すでに数字が伴っている。

公開鍵が露出したビットコイン700万枚、時価総額は73兆円超

「少し残念なのは、攻撃者がインフラチームやセキュリティチームより先に、攻撃者が問題を理解した点だ」。鍵管理企業Sodotの創業者イド・ソファーは、同番組で語った。「新たな攻撃経路が現れるたび、最初に直面するのは私たちだ」。

Galaxy Digitalが2026年3月に紹介したProject Eleven推計では、公開鍵がブロックチェーン上に記録され、誰でも確認できるアドレスに約700万BTCがある。当時価格で約4700億ドル(約73兆7900億円)に達する規模だ。Glassnodeは5月、該当残高604万ビットコイン、供給量の30.2%と見積もった。

いずれも推計であり、プロトコル上の集計ではない。Galaxyはこのリスクを「現実のものだが、存亡に関わる危機にはほど遠い」と表現した。

対象には、公開鍵を直接記録するサトシ・ナカモト時代のアドレスに加え、1度送金した後も再利用されたアドレスが含まれる。公開鍵が誰でも確認できても、ただちに資産が盗まれるわけではない。

量子コンピューターが公開鍵から秘密鍵を割り出せるようになった時、初めて盗難が可能になる。現時点では、そうした性能を持つ機械は存在しない。

50万未満の量子ビットで解読、2032年までに実現50%

「ビットコインやイーサリアム、ソラナ(Solana)を使っていると、現時点では、それぞれが使用を許可する錠前(暗号方式)に縛られる。今は各チェーンが認める1種類の鍵しか選べない」。BOLTS Technologiesの最高経営責任者、ユン・アウは「On The Margin」で述べた。「量子技術の進歩を目にすれば、こうした錠前は破られ得る。それこそが人々の恐れていることだ」。

量子技術が進歩するにつれ、こうした暗号の解読に必要とされる量子ビット数は大幅に減っている。グーグルの研究者クレイグ・ギドニーは2025年5月、、100万未満のノイズ量子ビットを使えば、RSA-2048を1週間以内に解読できるとの試算を示した。2019年に示した2000万量子ビットから、必要数は20分の1未満へ減った。2026年4月のグーグルのホワイトペーパーは、ビットコインの楕円曲線暗号を破るのに必要な量子ビット数を50万未満とした。

イーサリアム財団の研究者ジャスティン・ドレイクは、公開鍵から秘密鍵を割り出せる「Qデー」が2032年までに来る確率を50%、2030年までを10%と見積もった。

Project Elevenが2026年4月に実施した「Q-Day Prize」では、ジャンカルロ・レッリが一般公開された量子コンピューターを使い、15ビット楕円曲線鍵から秘密鍵を導き出した。実際に使われる鍵は256ビットであり、15ビット鍵を解読できても、実用鍵を破れる水準にはほど遠い。それでも、前年には成功しなかった規模の実験が、実機上で成立するまでに進歩した。

次ページ > 利用者が暗号方式を選択、BOLTSが耐量子試験を実施

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事