OpenAIは「GPT-5.6 Luna」のAPI利用料を80%引き下げ、API利用料を100万入力トークンあたり1ドルから20セントに、100万出力トークンあたり6ドルから1.20ドルに引き下げた。「GPT-5.6 Terra」は20%安くなる一方、最新の「GPT-5.6 Sol」は据え置きとなる。OpenAIは、システムの効率性の向上がこの値下げを可能にしたと説明している。
この値下げは、「ChatGPT」が極めて大きな規模に達したタイミングで行われた。調査会社Sensor Towerは6月、ChatGPTアプリの月間アクティブユーザー数(MAU)が10億人を突破したと推計しており、これはコンシューマー(一般消費者)向けアプリとして史上最速のペースだ。
OpenAIはその後、同社の全サービスにおけるアクティブユーザー数が10億人、ビジネス顧客が200万社を突破したと発表した。10億人のユーザーすべてが有料顧客というわけではないが、アカウント数やアプリのアクティビティを測定したものだが、それでも大きな転換点を示している。
この値下げは、3つのより大きな変化を浮き彫りにしている。
第一に、オープンウェイトモデルとの競争が、プロプライエタリ(非公開)なプロバイダーに値下げを迫っていること。第二に、AIの普及がこれまでのコンピューティング革命よりもかなり速いスピードで進んでおり、各種機関が適応するための猶予がほとんどないこと。そして第三に、基盤モデル市場がインフラ産業の様相を呈し始めており、規模、資金、および運営の効率性において、限られたひと握りの大手プロバイダーが有利になりつつあることだ。
オープンウェイトモデルからの挑戦
OpenAIの決断は、AI導入コストを厳しく精査する企業からのプレッシャーが高まっていることを反映している。チャットボットを介してテストする段階では安価に見えるモデルも、数十億トークンを処理する顧客サービスシステム、コーディングプラットフォーム、あるいは研究用ワークフローに組み込まれると、高額なコストが発生する。AIエージェントは、1つのタスクを完了するまでに、検索、推論、ツールの呼び出し、そして作業の修正を何度も繰り返す可能性があるため、その費用はさらに膨らむ。その規模になると、100万入力トークンあたり1ドルと20セントの差は、調達における深刻な問題となる。
オープンウェイトモデルは、買い手の交渉力を強めている。Moonshot AIのKimi K3や、DeepSeekの「DeepSeek V4」、Zhipu AI(智譜AI)の「GLM-5.2」は、高性能なモデルを低価格で提供でき、多くの場合、外部の開発者がダウンロードしたりカスタマイズしたりできることを示している。7月にリリースされたKimi K3は、総パラメータ数2.8兆、アクティブパラメータ数1040億、コンテキストウィンドウ100万トークンの「混合エキスパート(MoE)」モデルである。開発元はモデルの重み(ウェイト)も公開しており、企業や研究者は独自にモデルの検証、修正、デプロイ(展開)を行うことができる。



