サイエンス

2026.08.03 17:00

富士額の遺伝子は「存在しない」、最新研究が明かす生え際の仕組み

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「富士額の遺伝子」は存在しない

富士額について、古典的に言われてきた「1つの遺伝子、1つの優性対立遺伝子」という説明を裏づける確かな証拠はない。遺伝学者ジョン・マクドナルドが詳細に記録しているように、この主張は、それを支える家系研究や双生児研究がないまま教科書に入り込んだようである。どこから来たのか、正確なところは誰にもわからないらしい。

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検証を難しくしている実務上の問題が2つある。第1は判定基準だ。ごくわずかなへこみは、どこから「ピーク」になるのか。形質の頻度については、調査ごとに大きく異なる推定値が示されてきた。2009年に「Dermatologic Surgery」に掲載された研究では、測定した女性の81%が該当するとされた。これは、研究者たちが同じものを測っていなかったことを示す手がかりである。

第2は年齢だ。男性の生え際はこめかみ部分から後退し、しばしば中央部より速く進む。そのため男性型脱毛症によって、生まれつき富士額ではなかった男性にも、いかにもそれらしい偽の富士額がつくられる。成人を対象にした研究は、部分的には脱毛を測っていることになる。

現代的な見方では、生え際の形は顔の形態の一部であり、1つの遺伝子がスイッチを切り替えるのではなく、多くの遺伝子がそれぞれ少しずつ結果を動かす多遺伝子性の形質である。2012年に「PLOS Genetics」に掲載された研究は、顔の形に関するこうしたゲノムワイド研究の典型であり、小さな効果を持つ変異がいくつか見つかっている。これは、連続的な形質を内側から見たときにまさに現れる姿である。

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また、このピークが自然選択の対象だったと考える理由もない。進化生物学者は、適応ではなく構造上の副産物として存在する特徴を、建築用語から借りて「スパンドレル(進化における構造的副産物)」と呼ぶ。富士額はその有力な候補だ。祖先がそれによってより多く食べられた、より有利に配偶できた、あるいはよりよく守られたことを示すものは何もない。顔の作られ方から自然にこぼれ落ちてくる形にすぎないのだ。

名称そのものも副産物である。英語の「ウィドーズピーク」は、尖った生え際が未亡人の喪服のフードに似ており、早い死別を予告するという古い英語圏の考えに由来する。その迷信には、後にハリウッドが悪役に劇的なV字の生え際を与えるようになった慣習と同じく、何の根拠もない。富士額であることは、結婚、健康、将来の生え際について何も予測しない。

そこに記録されているのは、地理が形成されつつある一瞬の光景だ。発展途上の地表にある2つの野原が、いつもより少し低い位置で交わっているということでしかない。

forbes.com 原文

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