AIはエントリーレベル(新卒・未経験層)の仕事を消し去るのだろうか。
答えは「ノー」だ。ただし、「イエス」でもある。
あなたが目にしてきた見出しやSNSの投稿は、AIがエントリーレベルの仕事に終止符を打ちつつあると告げている。特にホワイトカラーの知識労働セクターにおいて、AIが管理業務レベルの若手向けの基礎業務の層を消し去るため、若者や新卒者の失業への懸念が高まっている。
しかし、それは極めて主観的な見方だ。
最近のデータによれば、AIはエントリーレベルの仕事への需要を消し去るどころか、むしろエントリーレベルの採用を加速させる可能性があるのだ。
雇用主はエントリーレベルの採用を増やしている
従業員1000人規模のメディアエージェンシー、Brainlabsは、2023年10月に19人のエントリーレベル人材を受け入れた。それに対し、2026年4月の同期入社組は64人となり、エントリーレベルの採用は237%増加した。
Brainlabsの創業者兼グローバルCEOのダン・ギルバートはこう説明する。
「Brainlabsは創業以来、アカデミープログラムを運営し、その時々で最も重要なスキルをエントリーレベルの採用者に常に教えてきた。10年前、AIは教えるべきスキルには含まれていなかった。まだ広く展開されていなかったからだ。2023年10月以降、私たちはこれらのコホートを活用し、古いやり方を学んだ後にAIを後付けするのではなく、初日からAIとどう働くかを実際に教えている」
237%の急増について、ギルバートはこう語った。
「私たちは、ツールへの支出を節約するために若手ポストを削ってこれを実現したわけではない。AIを適切に使えるように訓練されたジュニアは、より早く価値を発揮できるようになるからこそ、こうしたのだ。AIワークフローを構築・運用できる1年目のストラテジストは、以前なら5人のチームが必要だった仕事をこなせる。チームを縮小するのではなく、チームに求められる成果物が変わるのだ。つまり、同じ人数でより多くのクライアントを引き受けられるようになるか、同じクライアントに対してより良い成果を出せるようになる。いずれにせよ、人員は減るのではなく増える」
さらに、Ramp Economics Labの調査とRevelio Labsによる労働力データ(米国の2万1000社以上を対象)によると、AIに多額の投資を行っている企業は、導入から2年間で全体の従業員数が10%増加している。エントリーレベルの人員はそれよりさらに速く、12%増加している。
これが起きうるのは理解できる。というのも、筆者が最近ポッドキャストのためにGoogleの採用担当バイスプレジデントであるブライアン・オンにインタビューした際、彼はこの大手テック企業ではエントリーレベルの採用が減少するどころか、実際には加速していると語ってくれたからだ。
では、なぜインターネット上で相反するストーリーが飛び交っているのだろうか。一方でAIがエントリーレベルのキャリアで失業を招いていると言われながら、他方でBrainlabsやGoogleのような企業がその逆を証明しているのはなぜか。



