2026.08.02 10:44

スターリンク値上げでプライベートジェット業界が混乱、コスト転嫁の行方

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来月、スターリンクの衛星ベースのインターネットサービスを利用して機内接続を提供しているプライベートジェットの所有者や運航会社が支払う料金が、最大100%値上げされる。

今月上旬に発表された今回の値上げは、2026年8月7日から実施される。

「アビエーション・グローバル・アンリミテッド(Aviation Global Unlimited)」プランは、最大1Gbpsのダウンロード速度、無制限のデータ通信、およびGPSを提供する。

スターリンクがサービスを提供するすべての地域で接続が可能だ。

料金は航空機1機あたり月額2万ドル(約320万円)である。

「アビエーション・リージョナル・アンリミテッド(Aviation Regional Unlimited)」プランは、陸上、領海、および選択した大陸から12海里以内のエリアをカバーする。

最大500Mbpsのダウンロード速度、無制限のデータ通信、およびGPSを提供する。

料金は航空機1機あたり月額1万2500ドル(約200万円)である。

しかし、このプランでは、メキシコ湾上空を飛行する南フロリダと南カリフォルニアの間のフライトや、南側の飛行ルートが制限区域外となるニューヨークと南フロリダの間の洋上ルートなど、広範囲にわたるサービス対象外エリアが発生することになる。

これまでのプランは月額1万ドル(約160万円)だった。

チャーターおよび機体共同所有(分有)の飛行時間において全米第10位のプライベートジェット運航会社であるベイカー・アビエーション(Baker Aviation)は、消費者への直接販売は行っておらず、スポットのチャーター便やパッケージ化されたジェットカードを販売するブローカーに便を提供する卸売市場で事業を展開している。

同社のティム・リビングストンCEOは「当社にとっては月額42万ドル(約6730万円)のコスト増となる。まだスターリンクと交渉を続けており、より良いフリート(保有機)向けプランが適用できないか探っている」と述べ、さらに「サーチャージなどの項目を個別に追加する予定はない。市場の動きに合わせて全体の運航コストが上昇することはあるかもしれないが、そこは市場の成り行きに任せたい」と付け加えた。

ベイカー・アビエーションはチャーターの見積料金にスターリンクのコストを組み込むことができるかもしれないが、個人所有者はそのコストを飲み込まざるを得ない。

ある『アビエーション・ウィーク(Aviation Week)』誌の読者は、同誌にこうメッセージを寄せている。「私は2024年にスターリンク・アビエーションを導入した最初のボンバルディア・グローバル6000のオーナーの1人で、機器と設置に30万ドル(約4810万円)以上を投資した。時期によって米国と欧州を行き来しているため、新しいリージョナル(地域限定)プランはまったく選択肢に入らない。これでは年の半分は私の飛行機でサービスが利用できなくなってしまう」

分有プログラムや定額制ジェットカードを販売する運航会社にとって、問題はより深刻だ。増加したコストを顧客に転嫁できるのか、あるいは転嫁すべきなのかという点である。

この市場における2大プレーヤーであるネットジェッツ(NetJets)とフレックスジェット(Flexjet)は、いずれも保有する機体の少なくとも一部にスターリンクの導入を進めている。

ネットジェッツはコメントを控えたが、フレックスジェットは分有オーナーに対する価格引き上げの予定はないとしている。

フレックスジェットのテクニカルサービス担当プレジデントであるジェイ・ヒューブライン氏は「業界最高の機内接続ソリューションであるスターリンクをプライベート航空会社として初めて導入した企業として、当社はWi-Fiを必須のサービスと考えている」とした上で、「そのため、この費用は分有権の購入費用に含まれている」と語った。

全米第5位の運航会社であるフライエクスクルーシブ(flyExclusive)の広報担当者は「スターリンクは、より高速で信頼性の高いインターネットを提供することで、機内体験を根本から変えた。これは顧客にとって価値のある投資だと確信している。他の運航会社と同様、当社もコストと価格設定を継続的に評価しているが、最優先事項は卓越したオーナーシップとチャーターの体験を提供することだ」と述べている。

スターリンクの導入を発表し、ジェットカードや分有プログラムを展開している他の大手運航会社のうち、ノーザン・ジェット(Northern Jet)とフライ・アライアンス(Fly Alliance)の担当者は、いずれもジェットカードや分有プログラムの顧客に対して追加料金を請求することはないと述べた。

しかし、少なくとも1社の運航会社は、スターリンクの設置を一時的に見合わせていると語った。

ニコラス・エアー(Nicholas Air)は4月、イーロン・マスクが展開する同サービスの導入を発表していた。

同社のニコラス・コレンティCEOは『コーポレート・ジェット・インベスター(Corporate Jet Investor)』誌に対し、次のように語っている。「この突然かつ大幅な価格変更を受け、当社は長期的な影響を評価し、運航を保護し会員の最善の利益にかなう最善の決定を下すために設置を一時停止した」

コレンティ氏はさらに、「事前通告がほとんど、あるいはまったくない状態で価格を2倍にすると顧客に通知できるサービスや製品プロバイダーなど、ほかに存在するだろうか。ほとんどの業界において、こうしたアプローチは商業的に無謀とみなされるだろう。これは、古くからある『おとり広告』の手法のようだ」と付け加えた。

『コーポレート・ジェット・インベスター』誌の編集者も、今回の決定のタイミングに疑問を投げかけている。

アラスデア・ホワイト氏は別の記事の中で次のように指摘した。「スターリンクの今回の動きは、航空機向け通信接続市場の競争がさらに激化する中で行われた。ユーテルサット・ワンウェブ(Eutelsat OneWeb)の低軌道ネットワークを利用するゴーゴー(Gogo)の『ガリレオ(Galileo)』システムはシェアを拡大しており(同社は3年間の価格保証も提供している)、対応する航空機の種類も増えつつある。ハネウェル(Honeywell)は数カ月以内に『JetWaveX』製品の発表を目指している。ビアサット(Viasat)もテレサット(Telesat)とともに低軌道対応機能の追加に取り組んでいる。さらに、アマゾンの新しい低軌道衛星コンステレーションもある」

この記事では、アマゾンが「アマゾン ウェブ サービス(AWS)事業を通じて、世界最大規模の企業や起業家の多くと広範な関係を築いている」ことを強みに、強力な競合相手になる可能性があると指摘している。

複数のチャーターブローカーによると、顧客がスターリンク搭載の機体を明示的に指定することはよくあるという。あるブローカーは「今回の値上げが何を意味するのかは、実際に顧客が選択を迫られる局面に至るまでわからないだろう」とコメントしている。

forbes.com 原文

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