人工知能(AI)は今、職場のほぼあらゆる会話に入り込んでいる。企業は導入を急ぎ、従業員は時代に取り残されないよう、AIの習得に奔走している。
AIが重要な職場スキルとなり、場合によっては必須のスキルにもなりつつある一方で、経営幹部はいまなお、長期的な成功を最も左右するのは技術力ではないと考えている。それは、感情知能、勤労意欲、指導を受け入れる力、モチベーション、問題解決力、プロ意識、他者とうまくやっていく力といったライフスキルである。
ほぼすべての企業がAIを使える従業員を求めている。しかし実際に誰が採用され、昇進し、リーダーとして信頼されるのかという点では、新たな調査によれば、決め手となるのはAIやプロンプトエンジニアリングの学位や資格ではない。ライフスキルである。
ハイポイント大学のリサーチセンターは最近、500人超の経営幹部を対象としたライフスキルとAIに関する調査結果を公表した。テクノロジーとAIの時代へと進み続けるなかで、リーダーが従業員にとって最も重要だと考えるスキルを理解することは重要だ(AIに特化した職務で採用される場合を除く)。
HPUの学長、ニド・クベインは、単なる知識ではなくライフスキルを教えることの重要性を指摘し、こう述べている。「私たちは学生の成功に強く注力し、提供する教育が競争の激しい市場のニーズに合致するよう不断に取り組んでいます。だからこそHPUは長年にわたり、ビジネスリーダーに意見を求める調査を行ってきました。その結果は、『最高峰のライフスキル大学』としての私たちの使命を改めて裏づけるものです。人工知能が職場を変えつつある最中にあっても、雇用主は、不可避の技術的ディスラプションを超えて通用するライフスキルを備えた卒業生を必要としていると、引き続き私たちに伝えています」
AI時代でもライフスキルが勝る
経営幹部に「AIの時代において、感情知能、勤労意欲、モチベーション、協調性といったライフスキルは、候補者を採用する際に今も重要か」と尋ねたところ、経営幹部の90%が「はい」と回答し、ライフスキルに対する圧倒的な支持が示された。
ライフスキルはキャリアの成功に不可欠
AIの技術スキルのみを持つ候補者と、ライフスキルを持つ候補者のどちらかを選ぶよう求めたところ、勝者はライフスキルを持つ候補者だった。経営幹部の75%が、ライフスキルを持つ候補者を選んだ。
理想のリーダーはライフスキルとAIスキルの両方を備える
ライフスキルが重視されているとはいえ、AIスキルの重要性を軽視することはできない。「あなたの組織における理想的なリーダーは、どのような割合で構成されるか」と尋ねたところ、「100%ライフスキル」と答えた経営幹部はわずか7%で、「100%AIスキル」と答えた割合も同じく7%だった。残りの87%は、リーダーにはその両方が必要だと回答した。
ライフスキルは教えるのが難しい
組織は従業員に新しいソフトウェアの使い方を教え、AI研修コースを提供することができる。しかし、フィードバックを受け入れること、扱いにくい人物と協働すること、挫折の最中にもモチベーションを維持すること、そして一般的なリーダーシップの資質を養うことを教えるのは、はるかに難しい。
経営幹部の半数近くは、現在の大学卒業生はライフスキルよりもAIや技術スキルの方が優れていると考えている。学業的な知識やAI技術への精通を超えた教育的背景は、仕事を探す大学卒業生や、経営幹部への道を歩む従業員にとって重要になる。どれも重要であることに変わりはないが、2人の候補者が採用や昇進の選考対象となった場合、ライフスキルを含む教育を受けた候補者が優位に立つ。
AIはライフスキルの価値を高める
大きな誤解の1つは、AIが人間の仕事の重要性を低下させるというものだ。私は繰り返し、AIは人間に取って代わらないと述べてきた。過去のForbes記事でも、AIはあなたとあなたの会社を「本来の姿」により近づけると書いている。
AIは能力を増幅する。先に挙げたライフスキルを持つ人は、AIを正しく使うことで、それらのスキルがさらに強化されることに気づくだろう。この考え方は、組織が事業を進める方法にも当てはまる。顧客体験と業務効率のバランスは、その好例である。顧客体験を重視する企業であれば、そのAI戦略はより良い体験を生み出す助けになる。しかし、顧客体験を顧みず業務効率ばかりを重視する企業であれば、AIは効率化を促進する一方で、顧客体験を損なうことになる。
最後に
電気技術者であり、コンピュータプログラマーであり、スティーブ・ジョブズとともにアップルを共同創業したスティーブ・ウォズニアックも、HPUの調査に同意している。ウォズニアックはこう述べた。「AIスキルを持つ人材は価値がありますが、ライフスキルも備えた人材こそ、労働市場で最も求められるプロフェッショナルです。今回の最新調査は、HPUがライフスキル教育に継続して注力していることを裏づけています」
この調査が物語っているのは、テクノロジーが優れたリーダーシップのあり方を変えたわけではないということだ。それは、常に重要であり続けてきた資質にスポットライトを当てたにすぎない。
活躍するリーダーは、最も多くのプロンプトを知っている人や、最新のAIツールの使い方を知っている人ではない。問題を解決し、信頼を築き、人を率いる人である。同時に、そうした強みを置き換えるのではなく増幅するためにAIを使う人なのだ。



