経営・戦略

2026.08.02 09:26

採用ミスの代償は150万ドル(約2億4000万円) AIより効く「スコアカード」の使い方

Adobe Stock

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数週間前、私のエグゼクティブアシスタントは応募者に同じメールを14回送った。「面接をキャンセルする必要があります」。その全員が、AIによる最初の選考を通過し、カレンダーに時間を確保し、私のチームのディレクター職について私と話す準備を始めていた。私たちは求人を掲載し、100人を超える有資格の応募者を集め、職務記述書に照らしてAIで評価した。私は彼女に、選考を通過した上位候補者の面接を入れるよう頼んだ。するとさらに150件の応募が届き、気づいた時には私のカレンダーに30件を超える面接が入っていた。

その瞬間、プロセスがその背後にある思考を追い越してしまったのだと気づいた。私は介入し、すべての候補者を自分で再評価し、面接リストをおよそ半分に減らす判断を下した。

候補者の一部から返信があった。彼らは怒っていた。そして、その怒りは正しかった。私たちは彼らに期待を持たせておきながら、お粗末な対応を見せてしまった。判断を下したのは私であり、過ちも私のものだった。私は急ぎすぎ、スピードには常に代償が伴うこと、そしてその代償はたいてい速く動くことを選んだ本人ではなく、面接のために1週間の予定を組み直した人に降りかかることを忘れていた。

私が小規模でやったことは、雇用市場全体では産業規模で起きている。Enhancvが2026年4月に求職者1066人を対象に実施した調査では、50.5%が過去1年に少なくとも1回、人間から一言もなく不採用にされたと答え、68.5%はAIが関与していたことを雇用主から知らされたことがないと答えた。候補者の半数が、自分には見えず、問いただすこともできず、存在すら知らされていないシステムによってふるいにかけられている。AIがその問題を生み出したわけではない。AIはそれを産業化したのだ。

そこで私は、見方によっては勇敢とも無謀ともいえることをした。14通の面接キャンセルメールについてLinkedInに書いたのである。その投稿は大きな反響を呼んだ。ある読者は、私が「仕事探しが文字通り狩りのようになっている時代に、人々を軽く弄んでいる」と言った。別の読者は、採用上の失敗を投稿にすること自体が問題だと主張した。もちろん、私を擁護し、自分を許すべきだと言ってくれる人も多かった。意見が割れたことこそが要点である。いまの採用はそれほどむき出しの状態にあり、1件の面接キャンセルでさえ、企業が人を尊重しているのかどうかを問う審判になり得る。

AIは採用を本当に改善しているのか、それとも速くしているだけなのか

スピード面の効果は本物だ。ResumeBuilderがビジネスリーダー948人を対象に実施した調査では、企業の82%が履歴書の審査にAIを使っていると回答し、51%は採用プロセスのどこかですでにAIを運用している。求人を掲載し、数百件の応募を取り込み、基準に照らして順位付けする作業は、いまや数週間ではなく数時間で終わる。少人数のチームを率いるリーダーにとって、その魅力は明らかだ。

だが、大量処理の効率性は、採用の効率性と同じではない。内定までの時間が最も短い企業は、入社直後の離職率が最も高い企業でもあることが多い。雇用主の都合に合わせて最適化されたスピードと、適切な人材を見つけるために最適化されたスピードは、同じ目的ではないからだ。問題は、AIが候補者を選別することではなかった。問題は、ほとんどの企業が何を基準に選別するのかを定義していないことにある。AIは分類するのが得意だが、その質は与えられた基準の精度を超えることはない。

人間のために設計された採用プロセスとはどのようなものか

私の考え方を立て直した枠組みは、ジェフ・スマートとランディ・ストリートによる『Who: The A Method for Hiring(採用の科学)』に由来する。20人超のビリオネアと300人のCEOへの1300時間超のインタビューに基づいて構築されたこの手法は、多くのマネジャーが達成するおよそ50%に対し、90%の採用成功率を報告している。中核となる行動は、気恥ずかしいほどシンプルだ。誰か一人と話す前に、その役割における成功とは何かを決めるのである。

スマートとストリートはこれを「スコアカード」と呼ぶ。そこには、その役割のミッション、採用された人が1年目に実現すべき具体的な成果、そして実際に仕事ができる人と単に面接がうまい人を分けるコンピテンシー(行動特性)が明記される。スコアカードは職務記述書より前、候補者探しより前、そして誰かが面接を予約するはるか前に作るものだ。もし私が最初にそれを書いていれば、応募が届く前に自分が探している人材を正確に把握していただろう。カレンダーを開く前に応募を締め切っていたはずだ。30枠の面接が予約されることはなく、14人があのメールを受け取ることもなかった。

そのステップを飛ばす代償は、候補者だけにとどまらない。スマートとストリートは、直接費用、生産性の損失、チームの混乱を合算すると、シニア人材の採用ミス1件の損失は150万ドル(約2億4000万円)に上るとしている。LinkedInのスレッドで最も鋭かった意見は、問題の本質を1行で再定義していた。

面接官の時間が確保されていないなら、その組織は面接を行う準備ができていない。そして面接の準備ができていないなら、求人を掲載する準備もできていない

ポリー・ローランド、CPGキャリアコーチ

人を処理対象のように扱わずにAIを使うにはどうすればよいか

これをうまく実行しているリーダーは、AIをスコアカードを実行する手段として扱っており、スコアカードの代替物とは考えていない。そのパターンは一貫している。

求人を掲載する前にスコアカードを書く。この人は90日後、そして1年後に何を達成している必要があるのか。極めて優秀な採用と、単に許容範囲内の採用は何が違うのか。採用活動を始める前にそれを文章で答えられないなら、採用の準備はできていない。

面接を1件でも予定する前に応募を締め切る。応募受付とカレンダー開放を同時に進めることが混乱の始まりである。片方を十分速く閉じることができない一方で、もう片方はリアルタイムで埋まっていくからだ。さらに踏み込み、応募そのものに意図的な負荷を加える創業者もいる。その一人であるスペンサー・カールソンは、適度な負荷によって大量応募者がふるい落とされ、有意義な一次面接の割合が大きく高まったと述べている。

キーワードではなく、スコアカードに照らして選考する。キーワード照合は、履歴書フィルターを攻略する方法を学んだ人に報いる。スコアカードに基づく選考は、候補者が実際に残してきた成果が、その役割の要求に対応しているかを問う。AIに与える入力が、AIが返すすべての質を決める。

あらゆる段階でコミュニケーションを取り、プロセスをブラックボックス化しない。3日で明確な不採用通知を受け取った候補者は尊重されたと感じるが、定型メールを3週間待たされた候補者はそう感じない。ここでは権限委譲も役に立つ。エリン・ロックリーがスレッドで指摘したように、彼女はチームに何を探しているのかを正確にコーチングし、すべての会話を自分経由にするのではなく、多くの面接をチームに主導させている。

これを誤るとどのような代償を払うのか

採用はいまも買い手市場だと思い込んでいる創業者にとって、信頼に関するデータは警鐘となるはずだ。ガートナーが求職者2918人を対象に実施した調査によれば、AIが自分を公平に評価すると信頼している候補者は26%にすぎない。その一方で、大半の候補者は、自分の応募にAIが関与したことさえ知らされていない。企業が判断を機械に委ねてその場を離れようとするまさにその時、懐疑心は最も高まっている。

そのギャップは、採用までの所要時間を示すどんなダッシュボードにも表れない形で高くつく。迅速で誠実な回答を受け取った候補者は、不採用通知のブラックホールに消えたと感じた候補者よりも、再応募したり、友人を紹介したり、顧客になったりする可能性がはるかに高い。この厳しい市場で、誰かが面接に応じると言うことは、すでに自分の希望を差し出しているということだ。スレッドにいた創業者の一人、スティーブ・ベンボウが述べたように、壊れた採用プロセスは、優れた人材との信頼を、ほとんどのブランド施策が再構築できる速度より速く傷つける。

次に採用する人は、6カ月後にチームが称賛する人になるか、密かに後悔する人になるかのどちらかだ。その違いはたいてい候補者ではなく、探し始める前に誰を探しているのかを知っていたかどうかにある。スコアカードを書き、カレンダーを開く前に応募を締め切り、機械にはそれが勝手に作った基準ではなく、あなたが設定した基準を実行させる。採用とは、最初に減速することが、正しく到達するための最速の方法になるまれな領域である。

forbes.com 原文

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