リーダーシップ

2026.08.02 08:28

AIの力を最大限に引き出すリーダーの条件とは

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Salesforce(セールスフォース)では、従業員の83%がSlackbotを利用している。最も頻繁に利用するユーザーは、週に20時間を節約している。これは、1人あたり年間で約6カ月分の創出された労働力(キャパシティ)に相当する。SlackのCMO(最高マーケティング責任者)であり、SalesforceのEVP(エグゼクティブバイスプレジデント)を務めるライアン・ギャビン(Ryan Gavin)は、これらの数字を自社製品の売込みとして挙げているのではない。経営幹部(C-suite)が抱える「AIは実際にどこで収益を動かしているのか」という切実な疑問への答えとして提示しているのだ。

「生産性を2倍、3倍、4倍へと最大化することを考えるとき、それはコストを維持しながら企業の売上高(トップライン)を伸ばすための最良の原動力の一つになり得る」と、ギャビンはカンヌでのインタビューでForbesに語った。

では、持続的な効果を達成するための最善の道筋とは何だろうか。

以下では、従業員に適切なAIのフレームワークとツールを提供することで、どのようにして劇的な生産性の向上を実現できるのか、ギャビンが詳しく解説する。

AIを技術プロジェクトではなく、成長戦略にせよ

AI革命をリードする組織は、投資を成長に直接結びつけているとギャビンは言う。彼らは単なる効率化よりも、従業員の生産性、収益、そして顧客にもたらす成果において、測定可能な向上を優先している。

優れたリーダーたちは、エージェントの数を数えるのをやめ、1つの問いを投げかける。AIはビジネスのどこを動かすのか、と。

具体的には、従業員が事務作業ではなく収益に集中するために、どこで時間を取り戻せるのか。

テクノロジーを蓄積することから成果を標的にすることへの移行こそが、真の価値を手に入れている企業と、それを待ち望んでいるだけの企業を分ける境界線である。

「経営幹部のすべての意思決定者にとって、企業全体でAIをどのように適用しているかだけでなく、従業員の生産性などの面で最も大きなインパクトを与える領域はどこなのかを理解することが極めて重要だ」とギャビンは言う。

そこに到達しつつある企業は、Salesforceが「エージェント型企業(agentic enterprise)」と呼ぶものになりつつあると彼は指摘する。これはテクノロジーのアップグレードではなく、ビジネスがすでに稼働させているシステムの中で、人間、エージェント、プラットフォームが協働する新しい運営手法だ。目標は、AIツールを増やすことではない。組織の実際の運営方法を変えることにある。

https://www.forbes.com/video/3e631262-2f2f-4bde-8c6e-2dc5cb64b0d2/

AIを活用して「会話」を「成果」に変える

仕事とは常に会話によって成り立つものだった。変わったのは、今や会話が何をもたらすことができるか、という点だ。

これまでのコラボレーションは、プロジェクトを進めるために人と情報を調整することを意味していた。しかし、エージェント型AI(agentic AI)はそのダイナミクスを根本から変えつつあるとギャビンは言う。従業員が参照する独立したツールとして機能するのではなく、このテクノロジーはワークフローに能動的に参加する存在になりつつある。

「(AIは)従業員の働き方を変革し、彼らが日々実行できる業務を変革している」とギャビンは言う。

従業員が答えを求めたり助けを求めたりするのを待つ代わりに、AIエージェントは自律的にボトルネックを特定し、フォローアップを調整し、リアルタイムで解決策を提案することができる。AIが会話、データ、システム、チームを同時に横断して機能するとき、これまで見えていなかった意思決定の機会が明らかになり、従業員はそれに基づいて行動できるようになる。

「AIが当たり前のように機能するとき、つまり、新しいことを学ぶ必要がなく、そのAIが信頼でき、私や私のビジネスを理解しているとき、それは組織を変革する」

Slack CMO兼Salesforce EVP、ライアン・ギャビン

ギャビンが描くこの変化には、具体的な形がある。自社のデータ、同僚、そして連携された企業システムを熟知したAIが、会話の傍らではなく、会話の「中」で機能するのだ。彼はこれを「エージェント型企業(agentic enterprise)」と呼ぶ。仕事の単位は、タスクやチケット(問い合わせ)ではない。会話なのだ。

「これらすべてが単一のインターフェース(サーフェス)上で連動するとき、ツールを切り替える必要がなくなり、実際に価値のある仕事を進めることができるようになる」と彼は言う。ギャビンにとって、そのインターフェースこそがSlackである。メッセージングのレイヤーとしてではなく、エージェント、データ、そして人々が集束するオペレーティングシステム(OS)としてのSlackだ。

https://www.forbes.com/video/f28ffc12-5a43-4fa2-b8c3-503cb94e43c7/

AI適応力を基準に人材を採用せよ

AIが仕事の未来を再形成し続けるなか、有能なリーダーは「優れた人材」の定義を見直すべきだとギャビンは言う。定型業務を引き受けるエージェント型AIの準備が整うなか、企業が最大の強みを得られるのは、単に華麗な履歴書や専門的な経験を持つ人材ではなく、適応力と創造性を備えた従業員からだ。

「この時代における成功を考える際、私たちが注目していることの1つは、個々の従業員をどのようにしてこうした『創作者(メーカー)』へと変革させるかだ。従業員の成功は、自身の役割の再定義、そして毎日の仕事への臨み方の再定義から始まる」とギャビンは語る。

ギャビンの採用フレームワークは、意図的に破壊的なものだ。3年前に採用を勝ち取ることができた履歴書は、今や的外れな指標になりつつあるという。

「私が求めているのは、創造性を持ち、学び、探求したいと考えている、市場開拓(ゴー・トゥ・マーケット)のビルダーやクリエイターだ」と彼は言う。

エージェント型企業において、永続的なスキルとは専門分野の知識(ドメイン知識)ではない。エージェントを指示し、その出力を吟味し、会話を成果に変換する能力だ。これはソフトスキルではない。新たな「コアコンピテンシー(中核能力)」なのだ。

https://www.forbes.com/video/fe913724-d08b-455d-9e4c-fc20964ab315/

forbes.com 原文

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