欧州

2026.08.02 09:00

スペイン領になぜ突然移民が殺到したのか? モロッコ当局の関与を示す証言も

北アフリカに位置するスペインの飛び地セウタで、モロッコから到着した移民を拘束する軍関係者と市民警備隊。2026年7月31日撮影(Adri Salido/Getty Images)

こうした中、モロッコ当局が当初、スペイン側に渡ろうとする群衆を阻止せず、意図的に流入を許したのではないかとの疑念が広がっている。英紙タイムズの取材に応じた複数の越境者は、モロッコ当局から「あちらの方向に進め、あちらの方向に進め」と言われ、セウタに渡るよう促されたと証言している。一方、モロッコとスペインはともに、今回の事件が政治的な理由で意図的に仕組まれたものだという主張を否定している。

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モロッコはかねてより、政治的な理由から移民問題をスペインに対する圧力として利用する可能性があると考えられてきた。セウタは北アフリカに位置するスペインの領土だが、モロッコと直接接しており、スペインはこの飛び地の移民管理をモロッコ側の協力に頼っている。モロッコはこれまで、外交上で対立するたびに国境管理を緩めたと非難されてきた。今回のような移民の突然の大規模な流入は、同国が協力を停止した場合、どれほど深刻な事態になるかを相手国側に示す手段となり得る。

この問題は、西サハラ問題とも一部関連している。西サハラは、同地域を事実上支配するモロッコと、隣国アルジェリアの支援を受ける独立派武装組織「ポリサリオ戦線」の双方が領有権を主張しているアフリカの係争地だ。この問題を巡っては、スペインはモロッコの立場を支持してきたが、アルジェリアとの関係強化をはじめとする最近のスペインの動きが、モロッコとの間に新たな摩擦を生み出している。

セウタでは2021年5月にも同様の事例が発生し、わずか2日間で8000人を超える移民が人口約8万5000人の同市に押し寄せた。ビバス知事は、地元当局は「流入した移民の数を把握することさえできない状況にある」と述べ、「セウタ市民は今、苦悩、不確実性、不安、そして恐怖に満ちている」と訴えた。

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サンチェス首相は、これを「スペインと欧州に対する深刻な危機」と位置付け、国境管理のために軍を派遣し、移民の多くをモロッコに送還した。当時、西サハラの独立を目指す分離主義運動の指導者ブラヒム・ガリがスペインで偽名を使って新型コロナウイルス感染症の治療を受けたことで、モロッコとスペインの関係は緊張していた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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