AIが職場を再構築しつつあるなかで、今後10年にわたり優れた人事リーダーを特徴づける能力の多くは、依然として明確に「人間的」なものであり続けている。急速な変化、変わりゆく従業員の期待、そしてますます複雑化するビジネス環境を乗り切るうえで、リーダーにはテクノロジーそのものを超えたスキルが求められる。
適応力やシステム思考、ストーリーテリング、チェンジマネジメントといったこれらのコンピテンシーは、人事プロフェッショナルが戦略性、影響力、実効性を保つ助けとなる。以下に、Forbes Human Resources Councilのメンバーが、未来に備えるために人事リーダーが今から磨き始めるべき新たなスキルについて語る。
1. コミュニケーションと先見性の強化
職場はかつてないほどダイナミックかつ急速に進化している。人事リーダーは優れたコミュニケーション能力を備え、組織のさまざまな職能や階層にわたる人々を鼓舞できなければならない。次に何が来るのかを見通し、自社にとって意味のある形で解釈する鋭敏な力が不可欠である。 - Connie White, Altos Labs
2. 人間的スキルを通じた適応力の構築
技術的スキルが急速に進化するなか、適応力の価値はますます高まっている。当社の研究では、変化を乗り越えて繁栄する組織における4つの「人間的差別化要因」が特定されている。それらは、新たな可能性を探る「好奇心」、適切な判断を下す「洞察力」、学びに対して心を開き続ける「謙虚さ」、そしてコラボレーションを加速させる「つながり」だ。これらの人間的スキルが、適応力の基盤となる。 - John Morgan, LHH
3. 文脈的判断力の強化
AIを超えて人事リーダーが今すぐ開発すべきスキルのひとつが、決定を下す前にデータ、人間の行動、リスクを総合的に考慮する「文脈的判断力(Contextual Judgment)」だ。AIが至る所に普及するなか、優位性はAIが明らかにした内容を解釈できるリーダーへと移行する。人事が下す最も重大な意思決定は、人間、信頼、評判に関わるものであり、これらは「シグナル」と「意味」のギャップのなかに存在する。AIはすべてのリーダーの基準を底上げするが、判断力こそがその上限を決めるのだ。 - Holly Maurizio, Cecilian Partners, Inc.
4. 組織科学者としての思考
人事リーダーは組織科学者にならなければならない。つまり、単に測定指標を追跡するだけでなく、人とパフォーマンスに関する仮説を立て、単に何が起きたかではなく、「なぜその結果が生じたのか」をデータを用いて説明することだ。報告から予測へのシフトこそが、人事の本質的なビジネス上の意思決定の場での席を確保し、サポート機能からビジネスの推進役へと人事を変革させる。 - Laura Coccaro, ICIMS
Forbes Human Resources Councilは、あらゆる業界の人事エグゼクティブを対象とした招待制の組織である。参加資格はあるか?
5. 好奇心と批判的思考の育成
新たな技術や自動化が職場を変え続けるなか、人間的な差別化はますます重要になっている。変化への適応力に加え、AI時代に際立つためには批判的思考力が欠かせない。より深い問いを立て、新たな視点を求め、内省の時間を持つ好奇心を備えたリーダーが強く求められる。 - Kristen Howe, Alexander Group
6. チェンジマネジメントの習得
チェンジマネジメントは、今後10年間で人事プロフェッショナルに役立つ、最も見落とされているスキルだ。データは重要だが、人事の業務量が増加し、進化し続けるなかで、将来の目標やニーズを明確に測定・予測できることも極めて重要になる。人事の本質的な役割が変化を推進し、監視することである以上、これは必須の資格とされるべきだ。これにより、スキルがより洗練され、効率が向上する。 - Tiersa Smith-Hall, Impactful Imprints, Training & Consulting
7. ビジネス指標という共通言語で語る
数字を理解し、数字で話す能力、それこそがCEOやCFOなどの経営幹部に影響を与える鍵だ。AIを使って数字を処理するか、手作業で行うかは問題ではない。最終的に問われるのは、その情報を使って会社のために正しい意思決定を推進し、経営チームに影響を与えられるかどうかだ。 - Amee Parekh, Stello Technologies
8. 変化の心理学の理解
変化の心理学の理解が必要だ。1つの会社に20年勤めるというキャリアは、今や親の世代の話である。生き残るということは、激動のなかで迅速にピボット(方向転換)することを意味するが、組織全体を巻き込めなければ、そのピボットは失敗する。人々が実際に変化をどのように受け止めるかを理解し、それを通じて信頼を得られるリーダーこそが、絶え間ない混乱を強みに変えることができる。 - Tom Tang, May Mobility
9. 行動を促すストーリーテリングの活用
物語を語れなければ、人を集めることも、ある方向に動かすことも難しい。戦略資料では人は動かないが、物語は人々の世界の見方や、何のために闘う気になるかを形作る。ストーリーテリングはいくつかの記事と継続的な反復練習で習得できる。「四半期末までにこのプロセスを明確化してください」と言う代わりに、このプロセスを頼りに自らの能力を伸ばし、部門全体の勝利に貢献しようとしている最近入社した2人の物語を語るのだ。 - James Glover, Flint Learning Solutions
10. リーダーとしての自己認識の深化
表面的なものではなく、自分がどのように存在感を示し、他者に影響を与え、行動を形成しているかについての深い理解、すなわち「自己認識」である。雑音、バイアス、混乱、そして絶え間ない変化に満ちた世界において、自己を制御し、適応し、立ち止まり、コミュニケーションを図り、違いを超えてつながることができるリーダーは、技術的スキルだけに頼るリーダーよりも優れた成果を上げるだろう。 - Chandran Fernando, Matrix360 Inc.
11. 成長マインドセットと共感の融合
AIの先にある私の答えは、成長マインドセット(グロースマインドセット)と共感であり、これらは密接に関連している。成長マインドセットを持つことで、足元が揺らぎ続ける状況でも効果的に機能できる。好奇心を持ち続け、挫折を学びの機会と捉え、適応し続けることだ。そして共感は、そのバランスをとる重りとなる。AIが人々の働き方を変えるなかで、真の仕事とは人々を不確実性のなかで導くことだ。長く生き残るリーダーは、成長し続ける好奇心を持ち、同時に人々を巻き込める温かさを備えている。 - Anuradha Mayer, Infoblox
12. ラーニング・アジリティの育成
AIの先にある「ラーニング・アジリティ(学習の機敏性)」、これこそが人事を重要であり続けさせる唯一のスキルだ。特定のスキルは、今日はAI、明日は他の何かによって陳腐化する。しかし、学び、学びほぐし(アンラーン)、そして適応する能力が失われることはない。また、人事自身がリスキリングを行わなければ、従業員にそれを求めることはできない。アジリティは単なるスキルのひとつではなく、その後に続くあらゆるスキルの原動力となるエンジンなのだ。好奇心を持ち続け、価値を提供し続けよう。 - Sheena Minhas, ST Microelectronics
13. よりスマートな人間とAIの引き継ぎを設計する
AIを超えて、リーダーが磨くべき新たな運用スキルは「ハンドオフ・インテリジェンス設計」である。これは、人間、AIシステム、チーム、意思決定者の間で仕事を移す際に、適切な文脈、意図、責任範囲、意思決定権限、エスカレーション経路を保ったまま移行させる能力だ。多くの組織では、意味を欠いたままデータだけが引き継がれることで価値が失われている。インテリジェントなハンドオフは判断を保ち、曖昧さを減らし、次の担い手やシステムが自信をもって行動できる状態を整える。 - Dr. Timothy J. Giardino, myWorkforceAgents.ai
14. 人間中心のリーダーシップの実践
私が最も投資したいスキルは「人間中心のリーダーシップ」である。すなわち、ますますデジタル化する職場において、信頼、帰属意識、そして意味のあるつながりを生み出す能力だ。テクノロジーが豊富になるほど、人間の能力の価値は高まる。心理的に安全で、強い帰属意識を育む環境を築けるリーダーは、テクノロジー単体では生み出せないエンゲージメント、レジリエンス、イノベーション、そして成果を引き出すだろう。 - Britton Bloch, Navy Federal
15. システム思考の適用
それはシステム思考である。相互につながる力が組織をどう形作るかを見る力だ。リモートチーム、ギグワーカー、部門横断プロジェクトによって仕事がより流動的になるなか、依存関係をマッピングし、波及効果を予測し、レジリエントな構造を設計できるリーダーが活躍するだろう。部分の最適化ではなく、全体を理解することが肝要である。 - Jonathan Westover, Human Capital Innovations
16. ナラティブ・フルエンシーの構築
人や組織に関する複雑な意思決定を、取締役会、投資家、そして現場のチームを(しばしば同時に)動かす言葉へと翻訳する能力、すなわち「ナラティブ・フルエンシー(物語を流暢に語る力)」が役立つ。AIは洞察を導き出すことはできるが、人を行動へと駆り立てる信頼を築くことはできない。それは依然として人間の役割だが、大半の人事リーダーはまだこの領域を十分に開発できていない。 - Ritu Mohanka, VONQ
17. 意思決定を促す経済学の理解
経済学の知識は、組織と人事が効果的に計画を立てるための情報に基づいた意思決定を可能にするため、人事リーダーにとって鍵となる。経済学の原則は、労働市場、経済動向、組織の持続可能性を理解する助けとなる。さらに、経済学に精通することは、より良い意思決定、財務意識、教育計画、そしてビジネスの成功を促し、個人と社会の双方に恩恵をもたらす。 - Dr. Nara Ringrose, Cyclife UK Limited
18. 持続可能な変革戦略の策定
AIを超えて、未来に備える人事リーダーやエグゼクティブにとって最も重要なスキルは、持続可能なチェンジマネジメントを推進することだ。従来の変革モデルは、しばしばチームを限界まで追い込み、組織的な疲弊や燃え尽き症候群を引き起こす。今後10年間の真の効果とは、人間の限界を尊重した変革フレームワークを設計し、長期的なパフォーマンスを維持するために移行のペースを調整することだ。 - Sherry Martin



