国境を越えてセウタに押し寄せる多数の移民を捉えた動画はSNS上で拡散され、国内外から批判の声が上がっている。米実業家のイーロン・マスクは「まるで映画『ワールド・ウォーZ』のようだ!」と述べ、移民の急増は「紛れもなく侵略だ」と批判した。その上で、「スペインの予算は不法移民によって破壊されるだろう」と指摘した。
スペインの極右政党ボックス(VOX)のサンティアゴ・アバスカル党首も移民の流入を「侵略」と表現し、「サンチェス首相の腐敗した政権は権力を維持するのに必死で、殺し屋を呼び寄せている」と非難した。同党首はさらに、サンチェス首相を「裏切り者、腐敗した男、見苦しい人物」と呼び、退陣を求めた。
セウタは北アフリカに位置するスペインの飛び地で、地中海とモロッコに面している。16世紀以降スペインに属しており、同じくモロッコと国境を接する沿岸都市メリリャとともに、スペインが現在も保有する数少ないアフリカ領土の1つだ。セウタとメリリャは欧州への玄関口として、アフリカからの移民が目指す目的地となっている。
セウタでは2021年5月にも同様の事例が発生し、わずか2日間で8000人を超える移民が人口約8万5000人の同市に押し寄せた。ビバス知事は、地元当局は「流入した移民の数を把握することさえできない状況にある」と述べ、「セウタ市民は今、苦悩、不確実性、不安、そして恐怖に満ちている」と訴えた。サンチェス首相は、これを「スペインと欧州に対する深刻な危機」と位置付け、国境管理のために軍を派遣し、移民の多くをモロッコに送還した。当時、西サハラの独立を目指す分離主義運動の指導者ブラヒム・ガリがスペインで偽名を使って新型コロナウイルス感染症の治療を受けたことで、モロッコとスペインの関係は緊張していた。


