北アフリカのスペイン領セウタに、陸続きのモロッコから数万人の移民が押し寄せた。地元当局はスペイン政府に対し、国家非常事態を宣言するよう要請した。泳いで国境を渡る移民の様子を捉えた動画がソーシャルメディア(SNS)で拡散され、右派の政治家をはじめ、国内外から批判が殺到している。
セウタの国境警備を担当する組織のラシド・スビヒ代表は、国境は「完全に崩壊」し、混乱に陥っていると述べた。米AP通信によると、セウタ自治政府のフアン・ヘスス・ビバス知事はスペイン政府に対し、国家非常事態宣言を出すよう求め、警察と軍隊の増派を要請した。一方、スペイン内務省は、移民問題を理由に国家非常事態を宣言することはできないとの立場を示した。
スペインのペドロ・サンチェス首相はX(旧ツイッター)に、政府は「セウタの状況に即座に対応するよう全力を尽くしている」と投稿。「必要なあらゆる資源を動員している」とともに「モロッコ当局や国際機関とも協力している」と説明した。
これに対し、野党国民党のアルベルト・ヌニェス・フェイホ党首は「セウタの状況は絶望的だ」と指摘し、「国家安全保障上の危機に直面している以上、政府は義務から目を背けることはできない」と批判した。同党が加盟する欧州議会最大会派の欧州人民党(EPP)もXに、欧州委員会は「スペインの国境警備を怠ったサンチェス首相に責任を問うべきだ」と投稿。「その代償を払う」のは欧州だと指摘した。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相はXに、移民の急増に対し「非常手段を講じる用意がある」と投稿した。同首相はスペインとの国境管理の強化を検討していると述べ、「イタリアは傍観しているわけにはいかない」と懸念を表した。
移民が7月末に急激に流入した背景は不明だが、スペインの野党は、サンチェス政権が4月、約50万人の不法移民を合法化し、在留資格を与えたことを例に挙げ、移民受け入れに寛容な同首相の姿勢が今回の大規模な流入を招いたと批判した。



