計算資源を外部に貸し出すマイクロソフト、自社で使い切るメタ
メタの利益率が予想に届かなかった要因を掘り下げると、インスタグラムの親会社である同社の株価が急落した理由が見えてくる。利益率低下の原因は、売上高が28%増加したのに対し、経費が55%も増加したことにある。対照的に、マイクロソフトの営業利益は売上高の伸びと完全に一致する18%増を記録した。
マイクロソフトは自社のAI処理能力をサードパーティに貸し出している。そのため、同社のAI関連支出はAzureの43%の成長や6780億ドル(約106.45兆円)の受注残として表れる。メタは自社の処理能力を自社で消費しているため、同様の支出は減価償却費としてしか姿を見せない。その額は46%増の64億ドル(約1兆円)で、広告事業の費用として計上され、これを相殺する外部からの売上高は存在しない。
クラウド構想の具体策を示さないメタに、アナリストが不信感を抱く
マーク・ザッカーバーグは、VR事業への期待から社名をフェイスブックからメタ・プラットフォームズへ変えたことで知られる。その事業は開始以来800億ドル(約12.56兆円)を超える損失を垂れ流してきた。そのザッカーバーグは、クラウド事業の計画を認めながら、具体策は語らなかった。
この戦略はアナリストの不信感を招いた。メタは「計算資源を直接販売するよりも、インテリジェンスを販売する方が大幅に高い利益率を期待できる」としている。JPモルガンのダグラス・アンムスは、 AIの計算資源を買う側でありながら売る側にもなろうとする矛盾を説明せよと、メタ経営陣に迫った。 。
簡単にいえば、マイクロソフトの株価が上昇したのは、同社のAIコンピューティングサービスに企業が代金を払っているからである。メタの株価が下落したのは、外部の支払い顧客と契約を結んだ上ででそうしたサービスを構築し運営したいという、願望の段階にとどまっているからだ。
マイクロソフト株には、強気シナリオも弱気シナリオも揃っている
1年後を見た場合、マイクロソフトの株価は、メタよりも大きな上昇が期待されている。
マイクロソフトの強気シナリオを後押しするのは、Azureの成長、巨額の受注残高、90億ドル(約1.44兆円)相当の価値がある3000万ユーザーのCoPilotライセンスである。株価も52週高値を29%下回る水準にあり、実績ベースの株価収益率(PER)は25倍、設備投資の大半はすでに顧客へ売り渡し済みだ。
弱気派が指摘するのは、フリーキャッシュフローを上回る四半期あたり500億ドル(約7.85兆円)の設備投資、支出が変わらないのに前提変更で減価償却費だけが減るというねじれ、縮小するWindowsとXboxの事業、そしてOpenAIとの緊張をはらんだ関係だ。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、マイクロソフトはこのOpenAIの営利部門の27%を保有している。
36億人の利用者と訴訟リスクを同時に抱えるメタ
メタの強気派は、28%の売上高成長、36億人の日間アクティブユーザー数、広告単価の12%上昇を好感している。弱気派は、キャッシュフローがほぼゼロであること、社債で賄う設備投資の調達、自社株買いの中止、累積する減価償却費、2027年の設備投資予測の欠如、および同社自身が重大な損失につながりうると警告する、未成年の被害をめぐる訴訟である。
投資家として、AIインフラの構築に資金を投じる前に、対価を支払う外部顧客が存在することを求めるだろうか。もし答えが「イエス」であれば、マイクロソフトにはすでにその実績がある。メタがそれを示せるのは将来かもしれないし、あるいは示せないかもしれない。


